過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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2017年02月04日

寒くない日は街を歩こう 4

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The Neon Cinema



巨大で殺風景な駐車ビルに囲まれて、申し訳無さそうにひっそりと生存するこの小さな建物が、デイトンのダウンタウンでたった1軒の映画館だと言えば、誰もが驚く。
一昔前まではそうじゃなかった。 大きな映画館が3軒もあった。 サイズとしてそれほど大きいとはいえないデイトンのダウンタウンの、お互いに歩いてすぐの距離にこの3軒があった。 その中の1軒が前に紹介したヴィクトリアで、これは舞台芸術のシアターに変身することでちゃんと生き残り、あとの2軒は郊外のモールへと逃げていったのだ。

このネオン・シネマは数人の映画オタクの若者たちがパートナーを組んで営業しているそうで、中へ入るとさらに2つのシアターに分かれていて、右が140の座席を持つ大(?)シアター、左が座席70の小シアターとなっている。 上演フィルムは最新のアート系の作品からインディーズ自主映画や古い名画がほとんどで、ハリウッド製の大衆向けヒット映画などはまずここには来ない。 だからいつ行っても観客はまばらで、これで商売になるのかとつい余計な心配をしてしまう。 観客層は当然ながら学生やシニアの知識人らしき人たちで占められていて家族連れとか若いミーハーなどはまず見られない。
ところが先日ここで観た今話題の Manchester By The Sea は大小両シアターで上演時間をずらしてやっていたが、僕らが行った遅い時間にも珍しく席は1つ残らず占められていた。 開演前にパートナーの1人が壇上に現れて挨拶をした所によると、この2週間は両シアターが完全に満員だったそうだ。 客席から大きな拍手が湧く。 常連だけが行くバーやカフェがあるように、ここはそういう人達のための映画館なのだろう。

僕がこの映画館を好きな理由はもうひとつあって、それはリクライニングの座席のクッションが他のどこの劇場よりも実に座り心地がいいのである。 それだけじゃなく、太った人でも楽に座れるように贅沢に幅が取られているから、両隣りの観客と肩やヒジがぶつかることもない。 前後のスペースもゆったりしていて座席を後ろに倒せばウーンと言いながら両足を前に伸ばせる。 飛行機で言えばエコノミーとファーストクラスの違いである。
上記の Manchester By The Sea は上演時間が2時間20分と長かったが、ちっとも苦にならなかった。 苦にならなかったのは良い座席のせいだけじゃなくて、映画自体が秀逸でまったく時間を忘れてしまったせいもあるけど。







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