過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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昭和を恋う - 日本の旅(5)

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伊藤足袋店


アメリカに暮らしながら遠い日本を思う、という生活をもう何十年と続けてきた。
そんな時に思い出す日本というのは、当然ながら自分が20代の終わりごろまでを過ごした昭和の時代の日本だから、時々実際に帰国して現実の日本を目の当たりにすると、そのギャップの大きさにびっくりし、そして混乱してしまう。






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咲い地蔵


今回の帰国でも、犬のようにクンクンと鼻を鳴らして昭和の匂いを嗅ごうとするのだけれど、東京のような大都会で、しかもわずか数日の滞在では、どうしても探し当てることができなかった。






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トップスター


その点、自分の郷里である山陰の田舎ではどうだったか、というと…
そこでは町中いたる所に昭和を見ることができたけれど、それら前時代の遺物たちは死体となって遺棄されているか、生きていても息絶え絶えに死を待っているかのどちらかだった。






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出現地蔵


にも関わらず、なぜかホッとする自分をそこに見出すのは、かつてここに確実に自分が生きたという実証を見るからに違いない。
それは今の日本に住む人々にはまず理解できない感覚なのだろうなあ。 笑われてしまいそうだ。






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おなじみや


今日の1連の写真は朝日町通り。
その昔、ここは夜の盛り場だった。 酔客やバー勤めの女たちが狭い町筋を右往左往する中を、少年の僕は胸をときめかせながら好奇心の目をいっぱいに開いて通り過ぎたものだった。






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沖縄酒場 ゆんたく


バー、クラブ、レストランが軒並みに延々と続くこの町並みは、今では見る陰もなく衰退したとはいえ、それでも数年前よりはいくらか活気を取り戻したように僕には思えた。 その印象をタクシーの運転手が確証する。
「そうです。 少しずつ息を吹き返して来ているようです。 まあ昔のようにはならんでしょうけどね。」

ひょんなことからこの町に僕が住む家もできた今、住んでみてもいいという気持ちが強い。
よしどうなるか見届けてやろう。
そう思った。





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茶の世界 - 日本の旅(4)

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容子の茶室
米子市旗ケ崎


容子の家には茶室が2つある。
1つはこの屋敷が建てられた時に北の端に造られた4畳半の茶室で、障子の外には荒れ庭が広がり、朝の数時間だけ陽が射すこの茶室はほとんど1日中薄暗くてひっそりとしている。 谷崎潤一郎の 『陰翳礼讃』 をそのまま再現したような趣のあるこの空間を僕は好きで、この屋敷に滞在するたびに1日に1度はそっとここへ忍び込んで、ひとりでぽつねんとする習慣があることを、ここの屋敷の主人は知らないに違いない。

そして容子の2つ目の茶室がこの写真。
もともと客間として使われていた十畳間を、裏千家の師匠である容子が大きな茶会をやるための茶室に改造された。 縁側の障子にふんだんに陽があたり、障子を開けるとそこには庭が広がっていて、すぐ眼の前に今回のクイズとなった杏の樹がある。
この部屋はふだんいろいろな目的に使われる。 洋式の応接間を使わない時はここが客間となったり、すぐ隣が台所だから宴会にはもってこいで、たまにしか帰国しない僕を迎えて多勢の友人たちが集まってくれるのもこの部屋だった。 宴会のあと、車で来た来客が酔っ払って帰宅を諦めて、押し入れから出した布団を並べて、男も女もいっしょにそのまま雑魚寝するのもこの部屋である。 ここでの大宴会のことは以前の記事 『酒池肉林の夜』 に書いたことがある。


実はこの2つの茶室の他に容子はもう1つ茶室を持っている。
国立公園大山の山中に建てた山荘がそれで、ここは茶室としてはたまにしか使われることはないようだが、宴会の会場としては僕も何度も来ている。 10年ほど前まではこの山荘は深い雑木林にポツンと囲まれてひっそりとしていたのに、いつの間にか周りに次々と別荘が建ち、すぐ隣にテニスコートまでできてしまった。

3つの茶室を所有する日本人なんてそんなに多くはいないだろうが、どんな気分なんだろうと考えてしまう。 例えばとことん俗人である僕が、マセラーティとランドローバーと日産GTR の3台を車庫に持っているような感じだろうか?

茶の世界、なんてタイトルを書いたけど僕など覗いたこともないようなまったくの別世界に思える。
ただ、江戸時代から茶道が盛んであったこの山陰地方では、それほど遠くの別世界でもないようだ。 子供の頃、友達の家へ遊びに行くとそこのお祖母ちゃんがよく抹茶をたててくれたが、こちらの狙いはお茶よりもそれについて出るお菓子だったのはもちろんである。 現在でも郷里に帰って他家を訪問すると出されるのは抹茶が多い。 作法も何も知らない僕はただがぶりと飲むだけなのに、そんなことを気にしないところが茶の世界なんだろうと思う。 大切なのは主と客の心の通じ合いだ。 ということである。







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旅先のクイズの結果は?

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梅か杏か? (1)




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梅か杏か? (2)



正解の 『杏 (あんず)』 と答えたのは12人中の4人だけだった。

もしこのクイズに選択肢を与えていたら次のようになっただろう。

① 桜 (サクラ) バラ科スモモ属
② 梅 (ウメ) バラ科サクラ属
③ 桃 (モモ) バラ科モモ属
④ 杏 (アンズ) バラ科サクラ属
⑤ 李 (スモモ) バラ科スモモ属

ここで植物学上の分類を見ると、梅も杏もバラ科サクラ属となっているのに、かんじんの桜がバラ科スモモ属となっている。
ひょっとしたら植物学者さえも混乱してこれらの5種の区別ははっきりついてないんじゃないか、と思ったんだけどまさかそんなことはないだろうな。
とすればわれわれ凡人が戸惑ってしまうのも無理はないよね。 もっとも果実を見れが区別は明らかなんだけど。

中でも梅と杏の区別は、花だけを見る限りでは日本人でさえも難しいらしい。 唯一の違いは花の萼(ガク)が真っ直ぐなのが梅で反り返っているのが杏、ということになっているそうだ。 でも僕自身の印象としては樹にも違いがあるように思える。 つまり、杏の樹は梅の樹ほどクネクネ、ゴテゴテと曲がっていないように思えるのだけど、花樹に疎い僕がこんなことを言うと笑われてしまうかもしれない。

とにかく…
『杏』 と答えた4人の女性の博学には脱帽して全員に賞を差し上げたいと思ったがそうもいかず、抽選の結果は真っ先第1番に回答してくれたムーさんに決定。 さすが屋上庭園で薔薇を栽培する人だけあって、バラ科の花には観察が鋭い。 (男に対する観察力もそれに劣らず厳しいけど。)


ムーさん、おめでとう。
住所氏名を非公開コメントにして送ってください。
お好きな写真を指定することを忘れないように。
数日経ってもご返事のない場合は棄権とみなして次の方を選びます。




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旅先のクイズ - 日本の旅(3)

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ある朝、容子の荒れ庭の片隅にひっそりと咲くこの花を見つけた。
これは何の花?

正解の中から抽選で1名を選んで、僕のブログ上のどれでもお好きな写真を差しあげます。 
締め切りは今日から1週間。
答えは非公開コメントにして下さい。



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廃墟に立って - 日本の旅(2)

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6年前は… 1



6年ぶりに米子へ帰った。
6年前のある日の午後、もう何十年と訪れたことのなかった古い町筋をゆっくりと歩きながら写真を撮った。 この一連の写真はその時のものである。

商店街の大部分はもすでにビジネスを閉じていて、開いている店は少ない。 開いている店にもシャッターを閉じている店にも、子供の頃の思い出があった。
夏の土曜夜市の晩など、この通りは人の波で溢れていたものだ。 浴衣姿にうちわの家族連れが活気に満ちたこの通りを夜遅くまで歩いていた。 それなのに6年前のこの街にはすでにその面影がなかった。





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6年前は… 2






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6年前は… 3






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6年前は… 4






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6年前は… 5






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6年前は… 6






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6年前は… 7






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6年前は… 8






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6年前は… 9






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6年前は… 10






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6年前は… 12






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6年前は… 13






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6年前は… 14






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6年前は… 15



そして6年後の今、同じ町筋に立った僕は唖然としてしまう。
店という店はすべて閉まり、無人の道筋はガランとして人影が無く猫1匹歩いていない。 まるで廃墟だった。
米子の町が廃墟になったとは思えない。 昔は生活の中心だった古い街が外へ外へと広がって行き、郊外に巨大なデパートやマーケットが出現し、それに連れて人々の住居も周りに散らばっていったのだろう。 この数十年、地方都市ならどこでも起こっている現象なのは日本だけじゃなくてアメリカも同じじゃないか。 町も人もそうして変わっていくんだ。

変わらないのは自分だけ…








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