過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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わが家の動物たち (1/2)

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白兎


若者が、遠方の恋人に1年ぶりに出会う日を指折りながら待ちわびるように、陰鬱な冬の風景に閉じ込められてしまった僕は、あの暖かい春をただひたすら待っている。 せめてブログのうえで過ぎ去った季節に帰ってみたい・・・

わが家の庭には季節に応じて野生の鹿やウサギだけでなく、タヌキとかリスとかモグラとか、さまざまの小鳥たちが訪れる。 生きた動物だけではない。 あるとき芝刈りをしていて、庭のあちこちにおかれたガラクタのなかに動物がけっこういるのに気がついた。
夏になるとワインを飲んだり、時には夕食も取ったりするこのポーチの鉄製の丸テーブルも、気候がよくなるまでは鉢植えの台になっていた。 そこへ置かれたこの粘土細工の白ウサギを、わが家の犬たちが最初に見たとき、いきなり吠えついて駆け寄っていった。 そのくらいうまくできている。 良く見るとウサギのうしろの鉢には小鳥の雛とそれを狙うカエルが置かれていた。




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獅子


ポーチの壁にはライオンが架けられている。 イタリアでいやというほど見たライオンの守護神である。
2匹のライオンがポーチの両側の壁からしっかりと我が家を守ってくれているので、火事とか泥棒とかの災難は今まで一度も無かった。
これを見るたびに僕が思い出しているのは、ヴェネツィアはムラーノ島のヴァポレット乗り場の近くの、古い家の扉にあった2匹のライオンだった。 これとまったく同じ作りで、ライオンの表情も同じだった。 違うのはムラーノ島のそれは青銅でできていた。 いや、ただライオンを思い出した、というのは正確ではない。 つまり、3年前にムラーノ島のライオンを見た時にその場でわが家のこのライオンを思い出していたのだが、その 「思い出していた」 という記憶がわが家のライオンを見るたびに僕に帰ってくる、ということなのだ。 記憶とは時にはすばらしい具体性をもっているものだ。




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カウベル (Cowbell) は放牧中の牛の首にかける大きな鈴の事である。 それから始まってカウベルというラテン音楽の楽器にまで発展した。 むかし大学のジャズバンドで、ピアノを必要としないラテンものを演奏する時にカウベルは僕の担当だった。 ちょうど日本の坊さんが金属製の木魚を幾つか違うリズムで叩く感じだと思えばいい。
この牛はわが Green Eyes がどこかの蚤の市から見つけてきたもので、カウベルを模した風鈴である。 しっかりと錆び付いてもう鳴らなくなった風鈴は、わが家の前庭のモミジの枝から下がっている。




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ブラス製の蝶は南フランスの Isle-sur-la-Sorgue という舌を噛みそうな名の小さな町の蚤の市での戦利品。
これも見るたびに、あの蚤の市の裏手で、透き通るようにきれいな水が流れていた掘割りを思い出す。
モミジのタイルが乗っている切り株は、2年前の大嵐で根こそぎ倒れた前庭の菩提樹で、二階建ての屋根よりはるかに高い大木だったが、ラッキーにも家の上に倒れなかった代わりに道路を塞いで、まる1日のあいだ交通遮断をした。 市から出動してきた一隊が巨大な伐採機やクレーンやトラックを使って運び去るときに1片だけ残してもらった。 そしてそのことを後悔した。 男が2人がかりでようやく動かせるほどの凄い重さなのだ。 たぶんこの位置からあと何百年かは動かされることはないだろう、と思うぐらいに重かった。

(続く)


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コメント:

* こんにちは

なんかどの動物達も写真が生き生きしていてまるで動き出しそうですね。september30さんの愛犬の写真もぜひ見てみたいです。
私はといえば数年前友達に幸運の印と本物の馬蹄をもらったのに、なんとその馬蹄を逆に向けて部屋にかけていたことが判明しました。
逆にかけると運が逃げていくそう。。。なるほど納得です。笑
2011/01/29 [inei-reisan] URL #pNQOf01M [編集] 

*

動物がたくさんいると思うと、何だか楽しくなりますね!
うちには、犬の他には、テティベアぐらいでしょうか。
なぜか、皆、白なんですが・・。

写真はどれも個性的ですが、私は、最後の蝶がいいかしら?
でも、南フランスまで行かないとだめなんですね~。
2011/01/29 [bluemillefeuilleURL #Xlf.8pIU [編集] 

* Re: こんにちは

inei-reisan さん、こんばんは。
そういえばわが家の愛犬たちは以前のブログに載せたのは一匹だけだったかなあ。今度紹介しましょう。

馬蹄を逆に向けて、ということは裏表が逆ということですか?
どちらが正しい架け方なのかぜひ教えてください。
2011/01/29 [September30URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: No title

ハナさん、私が気がついたのは(家の中ではとくに)自分で思っていたより動物が多いことです。装飾品だとか小間物だとか、壁に架けた絵だとか、良く見るとけっこうあるものです。
ブラス製の蝶は、あとになってこれとよく似たものをアメリカのあちこちでも見かけました。別に南仏でなくてもよかったのです。ただ、見るたびに南仏の町を思い出すというのはかけがえがありません。
2011/01/29 [September30URL #MAyMKToE [編集] 

* U時型の

開いている方を上にして書けるだそうで。みごとに私はnのように逆にかけていたのです。運を受け入れるということでUの方向なのでしょうね。。今はちゃんと正しい方向で飾っていますがかなり運が流れ落ちていってしまった模様です。。
2011/01/29 [inei-reisan] URL #pNQOf01M [編集] 

*

白兎は手作りなんでしょうか。
耳やおなかのあたりの柔らかな曲線が本物のようで、
昔飼っていた白ウサギを思い出しました。

私は旅の思い出にシルバースプーンやリネンのキッチン小物を
買うことが多いのですが、ガーデングッズもいいですね。
かさばらなければ・・・ですけど。
2011/01/29 [nono_ra] URL #- 

* Re: U時型の

inei-reisan さんの、最初nから始めて、あとでuに変えるというやりかたは正しいのです。
まずnで今までの不運をすべて落としてしまってから、改めてuで幸運を受けるわけだから。
2011/01/29 [September30URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: No title

nono さん、このウサギは手作りでも骨董でもなく、近所の “Home and Garden”の店から$10 で妻が買ってきた安物です。薄暗い我が家のポーチではこのウサギの白がよく目立つので、初めての来訪者には「白兎の見える家」と目印になるのですよ。
2011/01/29 [September30URL #MAyMKToE [編集] 

*

白うさぎを見た時、September30さんのワンダー・ランドに案内してくれる白うさぎかしら、
と思いましたら、なんとおうちの中にもちゃんといたのですね。
この中では、私は牛が好きかな?
この錆び具合と、バックのグリーンがとても素敵です。
自分を見ているような気がしないでもない...(笑&涙)
2011/01/30 [けろっぴURL #ok7oinrE [編集] 

* Re: No title

けろっぴさん、「自分を見ているようだ」なんて、マンハッタンのど真ん中でバリバリ仕事をして、オペラやジャズのコンサートを楽しむ人が錆び付いているはずがありません。
錆び付いているのはきっと古い思い出でしょう。思い出というものは良いものも悪いものも、すこしづつ錆びて行くものなのです。
2011/01/30 [September30URL #MAyMKToE [編集] 

*

September30さん、そんな風に表現するとずいぶん格好よく聞こえますね。
一体どこのどなた?と聞きたくなります。
けれど、現実は...まるで地を這い回っているようです。
ここには、天国と地獄しか存在しないのでは...とよく思います。

古い思い出ですか...。
いい思い出は錆付かせたくないな...。
やっぱりこの牛、私のようですね。
バックの緑はセントラル・パークかもしれませんが(笑)
2011/01/30 [けろっぴURL #ok7oinrE [編集] 

* Re: No title

けろっぴさん、どんなふうに表現しようと、たしかにそのとおりでしょう?
あとは、天国になるか地獄になるかは気持ちのもち次第です。
錆びた牛はわが家の庭だけにしておきましょうね。
2011/01/30 [September30URL #MAyMKToE [編集] 

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