過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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夢幻の世界へ

130401

Chihuly Exhibit at Dayton Art Institute
Dayton, Ohio USA


デール・チフーリ(Dale Chihuly 1941~) のガラス細工を見るたびに、そのユニークな色彩とデザインにいつも魅せられていた。 不勉強だった僕は、その名前からてっきりこの人は、ガラス工芸の本場イタリアのアーチストだと思い込んでいたら、ワシントン州で生まれたれっきとしたアメリカ人であった。 そしてアメリカ人として初めて、この蠱惑的な芸術のメッカである、ヴェネツィアのムラーノ島でヴェニーニ・ファブリカの弟子になってガラスの吹き方を学んだのだ。 長い間、僕はチフーリの作品はその幾つかを、偶然にあちこちで見かけただけだった。 たとえばシンシナティ美術館だとかトレド美術館だとか。 またラスベガスのホテル・ベラジオのメインロビーの天井はチフーリの作品で豪華に覆われていた。
それが2001年に、僕の地元の Dayton Art Institute がチフーリの特別展覧会をやった時に、耳飾のような小さなガラス細工から、天井まで届く巨大な彫刻まで、そのおびただしい数の作品をたっぷりと見る機会があった。 それだけではなくて、この美術館に勤務していた妻のおかげで、この片目のアーチストが実際に人を指図して、彫刻を会場に設置するところを見せてもらうことができた。

ずっと後になって、2007年の10月に娘を訪ねてペンシルヴァニア州のピッツバーグに行った時に、チフーリの名前を町中いたるところで見かけた。 たまたまそこのフィップス植物園でチフーリの作品を展示していたのだ。
びっくりするほど高い入場料を払ってこれを見に行ったが、館内に一歩入ったとたんにその不満はきれいに消えていたようだ。 ただの展覧会ではなかった。 植物園という保存された自然の中で、ガラスの彫刻が、あたかもその自然の一部のようにそこここに存在していた。 それは一種不思議な世界だった。 ガラスという人工の無機物が、現実に息づいている植物群から精気を分け与えられて、そこに棲息していた。



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Phipps Conservatory and Botanical Gardens
Pittsburgh, Pennsylvania USA


この植物園は建物自体がすべてガラス張りである。 つまりこれは巨大な温室なのだ。 照明を落された温室の中を歩いていると、密林を思わせる深い植物群にまじって、淡く光を発するガラスの生きもの達が、妖(あや) しい夢幻の世界をそこにくり広げていた。



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コメント:

*

こんばんは。
チフーリは、私にとっては、アメリカが生んだ怪物のように思います。
日本の美術館で2度程、彼のホウキ一本のDrawingと私のsax一本のセッションは、大変エキサイティングなものでした。
また、彼のシアトルの工房を訪ねた時に創作過程を観させてもらいましたが、とにかく、繊細かつスケールが大きい。そして、チフーリが創ったガラスというきわどい限りなく音楽や想像するあの世にも似たものを見せつけられました。
昨年、韓国に遊びに行った時も展覧会をやってましたよ。
私の家のリヴィングには、100号くらいの私の名前が大きく描かれたチフーリの ドローイング作品とSeptember30さんの写真が飾ってあります。何かの偶然が面白いですね。
余談ですが、チフーリは、ビートルズが好きなようです。
2011/03/08 [kzsax] URL #uaIRrcRw [編集] 

* Re: No title

kzsax さん、こんにちは。
チフーリとkzsaxさんの出会いは何だったのだろう、と興味がありますね。
私の町での展覧会はもう十年も前になるのですが、忘れられないのは、彼が展示の設定を指揮しているのを私がそばで見ていたとき、彼が振り向いて「この近くにスターバックスはありますか?」と訊いたので、私は車に乗ってスターバックスまで彼のコーヒーを買いにいってあげたことです。

チフーリと私の写真が同居しているなんて光栄この上もありません。
ありがとうございます。
2011/03/09 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

これは、これはこれは、、、素晴らしいです。そういえば以前、フェニックスに住んでいる友人が植物園で彼の作品を見たそうで写真を送ってくれました。ガラスはつくづくオーガニックなものとの相性がいいんだなと感心したのを思い出しました。
2011/03/09 [hsURL #X037UcDo [編集] 

* Re: No title

hs さん、チフーリはあちこちの植物園で作品を展示しているようですね。
これは彼が子供のころ、お母さんが庭造りが好きだった影響だというようなことを、自分のビデオの中で述べていました。
2011/03/09 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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