過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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雨の降る日の文章

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Bologna, Italy



子供の頃からそうだったのかもしれない。
たとえば、なま暖かいそよ風が窓から忍び込んでくる気持ちの良い春先だとか、目に眩しい太陽の光がいっぱいに射している夏の日だとかに、暗い家の中にいると何となく落着かない。 どこかで何かが、どこかで誰かが自分を待っているような気がしてそわそわしてしまう。 今すぐに外に飛び出して行かないとそのすばらしいものを永遠に逃してしまうような胸騒ぎがする。 それは歳を経た今でも同じである。
 
それが雨の日はちがう。 朝起きて雨の音を聞き、窓のカーテンを引いた時に灰色のどんよりとした重い空や、濡れた歩道を見ると、反射的に気持ちがちょっとだけ沈んでしまう。 ただ若い頃と違って、そのまますぐに憂鬱な気分になるということはもう無い。 そんな日には沈んだ気持ちが内へ内へと向かって行き、過去に起こったいろいろなことを思い出していることが多い。 それは必ずしも 「後悔」 とか 「感傷」 というようなネガティブの感情ではなくて、まるで長いあいだ出して見ることのなかった古い写真のアルバムを開く時のような、穏やかで鎮静した時間だった。

その昔、あたかも世界が自分の手の中に入ったような気がする陶酔感に浸った時もあれば、これ以上堕ちて行けないところまで堕ちてしまったと歯軋りしたこともあった。 そのどちらも、過ぎてしまえばたいした事ではなかった。 その時にあれほど確実だと思ったのに、結局は確実なものは何ひとつとして存在しなかった。

ひとつだけ確実なのは、今ここにこうやって自分が生きている、ということだけだ。
雨の降る日はなんとなく一日が長い。


Karen Carpenter 《雨の日や月曜日には・・・》




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コメント:

*

こんばんは。
本日、写真が届きました。
とてもうれしいです。
額装して部屋に飾りたいと思います。
ありがとうございました。
2011/09/02 [kentilfordURL #- 

* Re: No title

kentilford さん、気に入っていただければ嬉しいです。
あの写真はボストンの歴史に残る大雪で、私は仕事場から1週間も自分のアパートに帰れなかったのです。
帰ってみると、海辺にあった私の部屋は浸水で全滅していました。
1978年のことですが、あんなすごい豪雪はいまだに無いようです。
2011/09/03 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

カーペンターズ、大好きでした。
今でもどっかにLPレコード持ってると思うけど・・・・

お天気やなもので、雨は苦手です。
からっと晴れないと気分もすっきりしない質です。(笑)
ハリケーンの影響を気にしてます・・・
イーストの紅葉を前から計画してたもので、タイミングの悪い事です。
2011/09/03 [マコURL #- 

* Re: No title

マコさん、昔よくニューハンプシャ-で見た紅葉の美しさは今も目にあります。実現するといいですね。
2011/09/04 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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