過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

Profile

September30

Author:September30

Visitors Counter

Search form

モンパルナスの恋

T05paris062-blognew.jpg

真夜中過ぎのモンパルナス
Paris, France

     あのひと
     コーヒーいれた
     ミルクをいれた
     砂糖をいれた
     スプーンをとった
     かきまぜた
     あのひと
     コーヒーのんだ
     カップをおいた
     なにも言わず
     タバコに火をつけた
     煙で輪をつくった
     灰皿に
     灰をおとした
     なにも言わず
     ふりむかず
     あのひと
     椅子からたって
     帽子をかむった
     レインコートを着た
     雨が降ってたから
     それから
     あのひと
     出て行った
     雨の中に
     なにも言わず
     ふりむかず
     それからわたしは
     両手で顔をふさいだ
     泣いた

     ーーーーーーージャック・プレヴェール   渡部兼直 訳

にほんブログ村 写真ブログ モノクロ写真へ
スポンサーサイト
UserTag: モンパルナス 
PageTop >>

コメント:

* 以前自分で訳したのを。。。

おそい昼食
彼はコーヒーを飲む コップで
彼はミルクを注ぐ コーヒーカップに
彼は砂糖を入れる カフェオレの中へ
小さいスプーンで
彼はそれをかき混ぜる
彼はカフェオレを飲む そしてコップをおろす
言葉を発さずに タバコに火をつける
一本のタバコ それで円を描く
煙で                       
そして彼は灰を落とす 灰皿のなかに
私に何も語らず 私をみようとせず
彼は立ち上がった 
彼は 帽子をかぶる
彼は 雨用のコートを着る
なぜなら雨がふってたから
そして彼は去った 雨の中へ
一言も言わず 私を見ずに
そして私は
頭を抱える
それから 私は泣いた
Jacque PREVERT(1900-1977)
paroles, 1945



この人の詩は好きでよくリヨンで読んでいました。
paroleは今でも大好きな本です。

2011/02/21 [inei-reisan] URL #pNQOf01M [編集] 

* Re: 以前自分で訳したのを。。。

inei-reisan さん、
プレヴェールの詩で私が好きなのは、あの 「バルバラ」 です。
訳は同じく私の親友であり先生でもある渡部兼直さん、

想い出してくれ バルバラ
あの日、プレストは雨がこやみなく降っていた
おまえが歩いていた にっこりと
花やかに うっとりと きらめいて
雨に濡れて
想い出してくれ バルバラ
プレストは雨がこやみなく降っていた
ぼくはおまえとシャム通りですれちがっている
おまえがにっこりした
ぼくもつられてにっこりした
想い出してくれ バルバラ
ぼくの知らないおまえ
ぼくを知らないおまえ
想い出してくれ
想い出してくれ ぜひともあの日のことを
忘れないでくれ
ひとりの男がポーチで雨やどりしていた
男がおまえの名を呼んだ
バルバラ!
おまえはかれをめがけ走って行った
きらめいて うっとりと 花やかに
雨に濡れて
おまえはかれの腕に身を投げた
想い出してくれ このことを バルバラ
ぼくが <おまえ呼び> しても 気を悪くしないでくれ
ぼくは愛する人を おまえ呼びする
たとえ一度しか見てない人でも
ぼくは愛しあう人たちを おまえ呼びする
たとえ知らないひとたちでも
想い出してくれ バルバラ
忘れないでくれ
あのおだやかなしあわせな雨は
しあわせなおまえの頬に
しあわせな街に
あの雨は 海に
倉庫に
ウエサン島の渡し舟に
おお バルバラ
戦争のなんたるむごさ
おまえはどうなったのか
あの鋼と火と血の雨の下
そして おまえをいとしく抱いた
あの男は
死んだのか 行方不明か 生きているのか
おお バルバラ
プレストに雨が降っている
あの日に降っていたように
だが すっかり変わってしまった
なにもかも破壊されてしまった
これはとむらいの雨だ
すさんだ ぞっとする とむらいの雨
もはや鋼と火と血の嵐でさえなく
ただ 雲だけ
水ぶくれの犬になって
流され
腐って行く
プレストから遠く はるか遠く
もう なにもない
2011/02/21 [September30URL #MAyMKToE [編集] 

* なんとも

素敵な翻訳ですね。また気に入りました。彼の詩がいろいろな方に翻訳されるたびに日本語とフランス語の違いを感じ,フランス語が素敵な言葉だと再認識させられます。
とくにこのバルバラへの呼びかけかた、人によってかなり変わってくると思うのです。彼女への思いや、彼女の動き一つも翻訳一つで変わってくるのが、とても面白いです。あと男の人と女の人が翻訳したのでもかなり変わってきますよね。この詩は女の人が訳したら、きっとエゴイストな感じになってしまうのではないのでしょうか?
今度自分でエゴイストな感じで翻訳してみようと思います。

個人的には彼のLa grasse matineeもお気に入りです。え?あの暗い詩?といわれそうですが。。笑
よい一日を。
2011/02/21 [inei-reisan] URL #rayiHRxo [編集] 

* Re: なんとも

inei-reisan さん、
この詩の中で何度も出てくるリフレーンの「想いだして バルバラ」は訳者によって
「忘れないで バルバラ」とか
「覚えているか バルバラ」とかいろいろあるようです。
どちらにしてもこの句はこの詩の命ですね。
この句が詩のリズムを確定して、次から次へとたたみ込むように情感を高めていくのは、まさに音楽です。
2011/02/22 [September30URL #MAyMKToE [編集] 

コメントの投稿

:
:
:
:
:

:
: ブログ管理者以外には非公開コメント
PageTop >>