過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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鴨川の夜-京都 (1/3)

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先斗町


僕にとっての京都は十二年ぶりだった。 四条河原町の雑踏の中を人混みに揉まれて歩きながら、この町もすっかり東京の渋谷のようになってしまったと感じていた。 十二年前と比べてどれだけ変わったかと訊かれても僕には答えようがないが、四十年以上も昔にまだ二十代の頃に時々訪れた京都とはまるで違ってしまっていた。 

紀州での同期会のあと、ステージⅡである京都までやってきたのは11人のうち9人だった。 そして昨夜は先斗町の料亭で川床料理なるものをご馳走になった。 今回のメインイベントだったのである。 昼間はあんなに暖かかったのに夜になると気温が下がり、川原の上に張り出された桟敷は少し寒かった。 店で用意してくれた毛布を肩からかけて、僕らはビールの代わりに熱い酒を飲んだ。 夕暮れ時なら河原の景色が眼の前に広がるのだろうが、この時刻には鴨川はどっぷりと闇の底に沈んでいた。 風はなかったがひんやりと顔に感じる空気に、すぐそこに川が存在するのがわかる。
 
この店は 「中華風の会席料理」 で知られているらしい。 次々と出てくるものが、なるほど中華の食材を使いながら伝統的な京都の料理と感心するほどうまい具合に融合されていた。 京都での幹事役をかって出た無口なHが、この夜も我々に何も告げずに予約してくれたコースは、 

●季節の彩り冷製盛り合わせ
●かぼちゃ団子と蟹身の淡雪スープ
●海老と銀杏のあっさり炒め
●生麩の田楽と京赤地鶏の天麩羅
●鰤のソテー 山椒風味のソース
●山形産米沢三元豚のブラックビーンズソース
●ちりめん山椒のお粥と香の物
●デザート (日替わり)

食べ疲れ、飲み疲れ、話し疲れて外に出る。 夜の先斗町界隈は文字通りネオンの洪水だった。 そして人の洪水だった。 気をつけて歩かないとすぐ人にぶつかりそうになる。 周りは若い世代の人たちで溢れていた。 蠱惑的なネオンや提燈(ちょうちん) の渦に取り巻かれていると、何とはなしに 「紅灯」 という言葉が胸に浮かんできた。 そこからの連想で、あれほど祇園を愛した放蕩歌人、あの吉井勇の歌を思い出そうとしていた。

紅灯のちまたにゆきてかへらざる 人をまことのわれと思ふや


放蕩というのは、それをしている者にとっては他人が考えるより、もっとずっと辛い事なのではないのだろうか?

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コメント:

* 確かにそうです

先斗町の雰囲気が変わっています
錦もそうですが、地元向けの本来の店が少なくなりました
もっと静かでしたし、看板もあれほど出してはいませんでした
2011/11/15 [のさ] URL #6Q0aW8YQ [編集] 

* Re: 確かにそうです

のささんは京都にお住まいなのか、京都をよく訪ねるのか、あの界隈をよくご存知のようですが、旅行者ではないのささんの目で見てもやはり変っているようですね。
2011/11/16 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

「放蕩というのは・・・・」の一行、同感です。
もっとも女がしたという話は聞いた事がありませんが、
荒む一歩手前の虚無感が解るような気がします。
でも男の色気とうのも感じたりします(笑)
2011/11/16 [ムー] URL #qiVfkayw [編集] 

* Re: No title

ムーさん、男がすれば放蕩。 女がすれば御乱行?。 ですか? (笑)
同じことなんだけど、何となく違う感じがするのは日本人特有の男尊女卑の表れかな。
壇一雄を読んでいて共感したり、憧れてしまうのは、私にも放蕩の素質があるのかも。

2011/11/17 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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