過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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二つの写真展-京都 (3/3)

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京都駅


南禅寺のあとは、僕の乗る米子行きの長距離バスの時間までにまだ数時間あった。 小さい美術館の一つや二つは回れるだろう、ということで、僕がまだ行った事のない国立近代美術館に、ここでも皆が付き合ってくれるという。 タクシーで着いてみると、道を挟んだ向かいの京都市美術館がフェルメールの特別展示の初日らしかった。 一行の興味はむしろそちらの方にあったようだったが、何百人という長蛇の列を見てあっさりと諦める。
この国立近代美術館では思いがけない拾い物があった。 ここにはあの 『ライフ誌』 の報道写真家、ユージン・スミスのパーマネント・コレクションがあって、かなりの数のモノクロ写真が展示されていた。 あの 「水俣」 シリーズのように誰もが知っている映像もあったが、初めて見るものの方がはるかに多く、僕らは一つ一つ丹念に見ていった。


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Photo by Elliott Erwitt


エリオット・アーウィットというアメリカの写真家がいる。 僕の大好きな写真家である。 彼の写真集は何冊も持っていて、ふだん、ふと思って引っぱり出して見る写真集といえば、このエリオット・アーウィットかアンリ・カルティエ=ブレッソンと決まっているくらい僕のお気に入りの写真家なのだ。
先ほどユージン・スミスを見た国立近代美術館のロビーで、このアーウィットの特別展が市内の小さな美術館で現在開催中というポスターを見た時、あっ、これは見逃せない、と今日の幸運に感謝をした。 それでまたまた一行を引きずって祇園町の京都現代美術館(小さな建物でタクシーの運転手さえも知らなかった) までやって来た。
誰もが一度は眼にした事のある有名なイメージの数々。 マリリン・モンローの寂しげなポートレートだとか、ニクソンとフルシチョウフの危険なテンションの溢れる会見だとか、ケネディ大統領の葬式での喪服姿のジャクリーンだとか、膨大な数のオリジナルプリントがそこにあって、一行の誰もが熱心に鑑賞をしていたようだ。

個人生活でのアーウィットは大の犬好きで、愛情とユーモアに溢れる犬の写真集 “Son of Bitch” は、ペット愛犬家にはこたえられない本である。 ぜひ見てほしい。 いっぺんに好きになってしまう事は僕が保障します。


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Photo by Elliott Erwitt



このエリオット・アーウィットについては、実は後日談がある。
あの日いっしょに美術館を回った一行の中のひとりであるIが、東京に帰って家族に今回の旅の話をいろいろとしていて浮かび上がってきたそうだ。
Iには家族同士で長年にわたって仲良く行き来をしている一家がいる。 その息子さんとIの二人の娘さんとが幼い頃に幼稚園でいっしょだったという所から、この二家族の付合いが始まったらしい。 その男の子が今は成人して写真の道へと進み、ニューヨークのアーウィットのスタジオでアシスタントとして働いているという。 Iの下の娘さんなど、ボストンに住んでいた時に、幼馴染を訪ねてニューヨークまで行って、そこのスタジオでアーウィットにも会っている。
しかもその幼馴染の彼が今年の冬に結婚をする事になっていて、Iの娘さんは結婚式に出席する予定だそうだ。
エリオット・アーウィットは自分が可愛がっているアシスタントの結婚式の写真は自分が撮る、と約束したそうだ。


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コメント:

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どうやったら犬がこちらを向いて、こんなに可愛らしいショットを撮らせてくれるのかしら、と思ってしまいました。うちのわんこも、こういう表情はするのですが、こんなかわいい瞬間を撮らせてはくれません...って、結局こちらの腕が問題なのですね...(汗)

そういえばSeptember 30さん、日本の美術館では、写真撮影OKでしたでしょうか?
2011/11/19 [けろっぴ] URL #ok7oinrE [編集] 

* Re: No title

けろっぴさん、日本での忙しい日程の中で行った美術館はけっきょくこの京都の二つと、東京の国立博物館でした。
でも国立博物館では今までにした事がないほどゆっくりと時間をとって、一度出て食事をした後また帰ったりして、ほとんど一日をここで過ごしました。
この三つの美術館は内部での撮影は自由でした。
2011/11/20 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

こんにちは。コメントは暫くぶりです。
アーウィットのエントリー、興味深く拝読いたしました。
アーウィットは私も凄く好きで、その視点を学びたいと思ってますが
どうも自分には彼のような資質はないようです。なのでもっぱら
ミニマルな風景を撮るわけです。まあ、しょうがないですね。
2011/11/21 [matsuURL #TY.N/4k. [編集] 

* Re: No title

Matsuさん、こんにちは。
アーウィットの写真を見ていていつも思うのは、カメラを持つ持たないにかかわらず、いかに自分の目で周りをよく見ていないか、いう事ですね。 

2011/11/22 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

こんにちは。私も彼の写真が好きです。
アーウィットが私の愛犬と同じ犬種ニューファンドランド犬、大きくて黒い熊のようなワンコを街角で撮影したのを見つけてから更に好きになりました。
2011/11/25 [アンリ] URL #- 

* Re: No title

アンリさん、こんにちは。
アーウィットは日本ではあまり知られていない写真家のひとりかも知れません。 そうかと思うと、フェルメールの絵のようにアメリカではあまり話題に上らない画家を日本では知らない人がいない。 なにが理由なのか? すごく興味があります
2011/11/26 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* フェルメール展のこと

フェルメール展開催に関わっていたのか、あるTV局が長きに渡り、毎日丁寧な案内(コマーシャル?)を
放送していました。「手紙(恋文?)」をテーマに編集されたもので、特に女性の方は興味を喚起された
と思います。TVメディアの影響は強いです。
2011/11/26 [henri8] URL #.QduX8eU [編集] 

* Re: フェルメール展のこと

henri8さん、なるほど、そういう形でいろいろなものがメディアにより一種の流行を作り上げるのが日本なのかも知れません。
2011/11/27 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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