過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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酒、女、旅

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パリは燃えているか
Montparnasse, Paris


ひとの嗜好というものは時の移りにつれて変わるものらしい。 たとえば食べ物。 若い頃はとにかく味の濃いスパイスの効いたものでなければ満足しなかった。 インド料理、タイ料理、中華なら四川料理、というぐあいだ。 和食でさえも薄味の関西料理よりもこってりとした関東料理のほうが好きだったようだ。 それがいつのまにか変わってしまった。 今はどちらかというとずっとおとなしい味というか深みのある味というか、一口食べたとたんに 「旨い!」 というのではなくて、口に含んでしばらくするとじわじわと素材の美味しさが舌に沁み込むような食べ物に感激するようになってきている。
食べるほうだけではなくて飲むほうも同じで、昔はバーボンが大好きだったけど今はあの独特の匂いが鼻についてほとんど飲まなくなってしまった。 日本酒は辛口以外は飲まないのは今も変わらないが、最近はいつも冷や酒で飲むので昔みたいに燗をすることなどまずなくなってしまった。 冷や酒といっても冷やした酒ではなくて室温で飲む酒のことである。

それから嗜好が変わるといえばちょっと書くのは照れくさいけど、女性に対する好みも変わってきた。 若い頃は好きなタイプの女性といえば、面長で身体もほっそり、というひとに憧れていたようなのに、いつごろからかまったく逆のタイプの、顔は丸顔でどちらかというとぽっちゃりとした体つきの女性に魅力を感じるようになってしまった。 もっとも人に対する好みというのはあてにならなくて、惚れるというのは容姿ではなくて中身に惚れるわけだから、「好きなタイプ」 なんてのはまったく意味がないと思っているけど。

好みが変わってきたのは食べ物や女性だけではなくて、旅行もそうだといえる。
長いあいだ僕はヨーロッパにぞっこん入れ込んでいたから、年に一度の休暇がくると待ちきれないようにヨーロッパに飛んでいってしまう。 日本に帰りたいという気持ちが決してないわけではないのに、どちらをとるかとなると、どうしても日本を後回しにしてしまっていた。 日本の友人たちもそれでよくぶつぶつと嫌味を言っていたものだ。 それがどうしたわけか、この四,五年はよく日本に行くようになって、ある年などは三度も祖国の土を踏んでいる。

何が変わったのだろう、と考える。
いくつかの理由を考えつくけれど、その一つは、祖国日本に対してじわじわと押し寄せる危機感みたいなもの、あるいは壊れかけている風土に対する危なっかしさのようなものを感じているということ。 ヨーロッパは放っておいてもだいじょうぶ、いつでも僕を待っていてくれるという安心感がある。 ところが日本は 「帰れるときに帰っておかないと」 みたいな焦燥感のようなものがあるのは否定できないようだ。
それ以外の理由といえば、自分の身内のこと、友人たちのこと、再認識した日本文化や日本人、などいろいろである。
そこまで考えたときに、ふと前に書いた記事を思い出していた。 読み返してみてああそうかな、と思う。 『自分の中への旅』 というタイトルでちゃんと自分なりの答えを出していた。


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コメント:

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2011/12/09 []  # 

*

私は、辛いもの、すっぱいもの、苦いものが大好きです。変わったものばかり喜ぶので、友達から、変な目で見られることもしばしば。
食べ物だけなら、僻地でも、やっていけそうな気がします。
これって、考えようによっては、若いってことでしょうか?
でも、だんだんにやさしい味が好きになるって、解るような気がします。
若い頃は痺れるような生き方もよかったけれど、もうすでに、優しい時間の方が落ち着きます。
2011/12/09 [みん] URL #6moyDOY6 [編集] 

* Re: No title

鍵コメさん、ここ数年で好みが変わってきたというのは、なにかきっかけのようなものがあるのだろうかな、と思ってしまいました。
2011/12/10 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: No title

みんさん、そういうのを「ゲテモノ好き」 と言うんですよ。 (笑)
若さのせいもあるでしょうけど、みんさんの場合は歳を経ても変わらないような気がします。
でも男性への好みはゲテモノ好きでないほうが安全なのでは?
2011/12/10 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* ゲテモノ好き?

よく言われます。
からすみ、ホヤ、フグの卵巣の糠漬け、くさや、、、納豆!
Septemberさんには嫌われてしまいそう!

男性の好み?わたしの好きになった男性がゲテモノとは意識したことありませんが。
ほっといて下さい!笑!
恋は盲目。あるいは、あばたもえくぼ。
2011/12/10 [みん] URL #6moyDOY6 [編集] 

*

>顔は丸顔でどちらかというとぽっちゃりとした体つきの女性に魅力を感じる

この部分「だけ」はオヤジだなあと思いました。
2011/12/11 [micio] URL #O/XG6wUc [編集] 

* Re: ゲテモノ好き?

みんさん、納豆でも甘納豆なら好きなんだけど・・・  ところで関西では納豆といえば甘納豆を指すところもあるのですよ。
そして甘納豆や羊羹をさかなに酒の飲める私もゲテモノかも知れません
2011/12/12 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: No title

micioさん、えっ、こんなタイプの女性を好むのはオヤジだけなんですか? 知りませんでした。
もっとも私はオヤジの域をすぎてお爺の世界に入っていますけど。
2011/12/12 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* 甘納豆…。

甘納豆は、たまには食べますが。
わたしはネバネバの納豆の方が。
でも、変わった食べ物や人が好きなゲテモノ好きとしては、
Septemberさんとは相性いいかもしれませんね。
それに、、、丸顔だし。笑!
2011/12/12 [みん] URL #6moyDOY6 [編集] 

*

うんうん、とうなずいて読んでました。
以前は刺激のあるドキドキ・ワクワクが何においても好きでした。
食べ物・仕事・恋愛・旅行・・・ですがいつの間にかドキドキ・ワクワクは苦手になり安定・安心・ルーチン・想定内(ちと違うか)みたいないつもと同じ日常ほど心地よく感じます。
更に以前は沖縄を出てどこかで暮らすことを考えました。
でも今は沖縄で一生暮らすことを考えています。 
2011/12/12 [アンリ] URL #- 

* Re: 甘納豆…。

みんさん、私はゲテモノ食いどころかいわゆる食通でさえないので、食べ物の相性はいいかどうか・・・
そんなことは致命的ではないといえ、とても大切なことでもあるのでしょう。
2011/12/13 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: No title

アンリさん、落ち着くということができるのは幸せな証拠かもしれません。 逆に言えば、歳を経てもちっとも落ち着いていないのは幸せではないのかも知れません。
でもドキドキ・ワクワクはどんな年齢になっても良いものですよ。
2011/12/13 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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