過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

Profile

September30

Author:September30

Visitors Counter

Search form

ピクニック

IMG198-blognew.jpg

Picnic
Public Garden, Boston


子供のころ、両親に連れられてピクニックに行ったという記憶がほとんどない。 そういえばピクニックだけではなくて、家族旅行というようなものに出かけたことなど一度もなかったと思う。 汽車に乗って近在の父の実家へ泊りがけで行くことは毎年何回かあったが、それは家族旅行とはいえない。 周りを見回しても、夏休みだからといって家族揃って観光旅行に出かけるような家庭はほとんどなかった。 だから僕の両親にはそんな余裕がなかった、というよりも、たぶんそんな時代だったのだろう。

ピクニックで覚えていることもあまりない。 春の桜の時期に花見に行ったこととか、いつもは父と二人で行く魚釣りに時々母がくっついて来たりしたことぐらいである。 僕の両親はそれぞれに仕事を持っていたから、休みの日などはたぶん外に出る気にならなかったのかもしれない。 あるいは、もっと度々親子三人で出かけたことがありながら、そのことが僕の記憶からきれいに落ちてしまっているのかもしれない。
いや、ひとつだけ覚えていることがあった。 それは隣県の大きな町で催された博覧会に行ったことである。 その時は親類の叔父叔母や従兄弟たちを含めた大人数でぞろぞろと汽車に乗って出かけた。 博覧会そのものに関しては何一つ覚えていないのに、そのあとに寄ったレストランのことが鮮明に記憶に残っている。 テーブルで隣に座った叔父が、小学生の僕に生ビールを一口、二口飲ませてくれたことだ。 薄飴色をして泡の浮いているその冷たい飲み物を口いっぱいに含んだ時、こんな美味いものが世の中にあったのか、と僕は目を丸くして驚嘆した。 いつも飲んでいるジュースやラムネや牛乳とはまったくちがうその不思議な味に、僕は未知の「オトナ」の世界への妖しげな誘惑を感じていた。

僕の長い酒暦がここから始まったのはまちがいない。



友とするに悪きもの七つあり。
一には高くやんごとなき人、
二には若き人、
三には病なく身つよき人、
四には酒をこのむ人、
五には武く勇める人、
六にはそらごとする人、
七には慾ふかき人。

吉田兼好 『徒然草』


にほんブログ村 写真ブログ モノクロ写真へ
スポンサーサイト

コメント:

* 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012/01/08 []  # 

* Re: リンクのお願い

鍵コメさん、どうぞリンクはご自由になさってください。
2012/01/08 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

こんにちは

いつもありがとうございます。
今年もどうぞ宜しくお願い致します。

子供の頃にあの苦いビールの味が美味しく感じるなんて!
いまだに美味しいとは思えない私ですが
小さい頃に舐めさせて貰っていたならば
今頃もしかしたら・・・酒豪になってたかしら。

September30さんが今年も
心地よい日々を重ねゆかれますように。
2012/01/08 [キキURL #PDFQKA4U [編集] 

* Re: No title

キキさん、一口の生ビールが私の酒人生の始まりだったわけなのですが、酒ならなんでもござれの自分が一番飲まないのがビールなんですよ。これは学生のころから変わっていません。
2012/01/09 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* こんにちは

この最後の条件にほとんど当てはまってしまいました。これではしようもありませんね、私。今年もほぞぼそながらブログ見させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
2012/01/25 [inei/reisan] URL #pNQOf01M [編集] 

* Re: こんにちは

inei/reisanさん、こんにちは。
最後の条件というのは 「欲深き・・・」 という個所ですか?
意味を取り違えていたらごめんなさい。
2012/01/25 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

コメントの投稿

:
:
:
:
:

:
: ブログ管理者以外には非公開コメント

トラックバック:

>>>> http://blog1942.blog132.fc2.com/tb.php/302-bea57760
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)