過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

Profile

September30

Author:September30

Visitors Counter

Search form

群集劇を探してみよう

T07Italy0972-blognew.jpg

母と子
Piazza Maggiore, Bologna, Italy


英語にジャクスタポジション(juxtaposition) という語がある。 「並置」とか「並列」とかの意味なんだけど、フォトグラファーたちがこの言葉を使うときはもう少し深い意味があるようだ。 つまり、ある場面にいくつかの被写体が共存していて、それぞれが現実世界では互いに無関係でありながら、それを切り取るフォトグラファーによって何らかの意味を持ちはじめて、幾何学的な小世界を創り上げている時にこの言葉が使われる。 一つの画面の中に一つ以上の物語があると考えてもいいだろう。 これは映画の世界ではよく使われる手法で、日本語で言う「群集劇」がそれに近いかもしれない。

しかし映画と違って演出のない写真の世界ではこれがなかなか難しい。 偶然に頼ることが多いし、たまたまラッキーにもそんな情景に出会ったときに、瞬間的にそれをカメラに捕らえる準備がなくては、カルティエ・ブレソンの言った「決定的瞬間」は永久に失われてしまう。 でもそうした写真をものにしたときの興奮と満足は何と比較したらいいのだろう?  カフェで遠くに座っている魅力的な女性をうっとりと眺めていたら、こちらを向いてにっこりと笑ってくれた時の嬉しさに近いかな。

以前にブログに載せた写真を見返してみると、その類のショットがけっこうあったので幾つかを書き抜いてみた。

帽子
これはよく覚えていないけど、メインの被写体は明らかに三人のストリート・アーティストだから二人の日本女性はたまたまそこへ立っていたような気がする。 それとも「帽子」のジャクスタポジションが無意識に働いてシャッターを切ったのかもしれない。
横顔
何かが起こりそうな予感がして辛抱強く待っていると何かが起こることがある、という一例。
異邦人たち
乗り換えの空港のベンチに座ってうとうとしていて目が覚めたら、目の前にこの風景があった。 ラッキーとしか言いようがない。
三人の女
目の前の女性と壁際の女性を見て、もう一つ何かが欲しいと思ったところへ店のオーナーが歩いてきたのでやみくもに3枚だけ撮るチャンスがあった。 コメントに映画のワンシーンのようだと「ばけねこ」さんが書いているのは、彼女はここに「群集劇」を見たのだろう。
ピクニック
人が集まる場所では目を光らせていればいろいろなハプニングがある。 パーティや旅行などで人が撮ったスナップショットを見せてもらうと、そういう群集劇が撮った本人も気づかないで記録されていることがある。 

読者の皆さんもそういう目で以前のスナップショットを見直してごらん。 すばらしい群集劇を発見するかもしれない。 そのとたんにその写真がまったく違った意味を持ってくる事は間違いありません。



にほんブログ村 写真ブログ モノクロ写真へ
スポンサーサイト

コメント:

* こんにちは

今回のお話は凄く共感できます。
言葉にならなかったもやもやを、ずばり言い当てられたような気になりました。
ちなみに僕はこの中だと、ピクニックの写真が一番好きです。この混沌としてる感じといい、それぞれの人生を想像せずにはいられません。
こういう写真を撮れるようになりたいです。
2012/03/24 [kenURL #- 

*

こんにちは、September30さん。はじめてコメントさせていただきます。
数ヶ月前に「過ぎたこと、過ぎて行くこと」に行き当たり、RSSに登録させていただいています。

肖像権だの構図だの、自分はそういったありがちな社会概念に影響を受けやすく、結局花ばかりを撮ってしまっています。
青空に花。今でもわっ、きれいだなって思うと、レンズを向けちゃうし、きれいなものは好きなんですけどね。
親族の子供も、気が付くと「はい、チーズ」という構図で撮っています。

もういい加減脱出したい、September30さんを始め、素晴らしいスナップ写真作家の作品に憧れます。
『ピクニック』いいなあ。ピクニックに行く機会がないのがまず超えなければならない問題ですが、そんなゆるく時間が流れている場面でも目を光らせておく必要があるんですね、覚えておきます。
2012/03/24 [n.nURL #- 

* Re: こんにちは

kenさん、いつもいい写真を楽しませていただいています。
「ピクニック」ですが、この写真で私が一番気に入っているのは右端に写っている白い腕なのです。 (笑)
2012/03/24 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: No title

n.nさん、はじめまして。

肖像権の話はここで前にも出たのですが、日本ではちょっと異常なようですね。アメリカでは公共の場所である限り誰を撮影してもかまわないし、撮影されても文句がいえない、という原則があります。 もちろんその写真を発表するのも自由です。(ただしそれが商業的な利益につながる場合は別ですが)
でもフェイスブックなどは私的な映像で充満されていて子供の写真なども出ているし、ちょっと怖くなります。悪用しようと思えばいくらでもできるでしょうから。
2012/03/24 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

群集劇といえば思い浮かぶのは、いつかこちらで拝見した、カラーで、奥の鏡にSeptember30さんご自身が写り込んでいる、レストランの写真です。日常の一種運を切り取った中に、色々な想像を巡らせることのできる写真はほんとうに面白いですね。

肖像権問題は難しいですね。込み入った時代になったものです…
2012/03/25 [わに] URL #- 

* ピクニック

僕も、右端の腕がいいなあと思っていました!(笑)
2012/03/25 [kenURL #- 

* Re: No title

わにさん、あの写真をそういうふうに見てくださる人がいたとはとても嬉しいです。 撮った本人が気がついていないことを、見る人が何かを感じることがある、ということでしょうか。
2012/03/25 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: ピクニック

kenさん、たぶんそうだろうとわかっていました。
2012/03/25 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

コメントの投稿

:
:
:
:
:

:
: ブログ管理者以外には非公開コメント

トラックバック:

>>>> http://blog1942.blog132.fc2.com/tb.php/359-9edf1813
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)