過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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出雲の城、紀伊の城

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松江城
島根県松江市


松江は僕の好きな町だ。 僕の住んでいた鳥取県の米子市からは、県境を越えて島根県に入るとすぐのところにあるから、子供のころからよく行った。 山陰の大阪と呼ばれてガサガサと賑やかな商業都市の米子の町に比べると、松江はおっとりとして静かな情緒があり、なんとなくロマンチックな町だった。 高校のころガールフレンドといっしょに汽車に乗って松江まで遊びに行くのは、人目を忍ぶ逃避行のようなスリルがあったのを覚えている。 なかでも松江城のある場所は公園になっていてそこは桜の名所でもあったから、学校の遠足とか家族ぐるみで花見に何度も行っている。

城といえば、つい最近は和歌山城に行った。 和歌山城は徳川御三家のひとつだったから、城としての規模は松江城とは比べものにならないほど大きい。 しかし何となく感動が薄かったのは城全体が鉄筋コンクリートで復元されているせいかもしれなかった。 あとで調べてみると和歌山城ほど不運に見舞われた城もなかったようだ。 建立されたのは松江城とそんなに変わらない1600年前後なのに、何度も失火を出したりおまけに雷が落ちたりして、そのたびにあちこちが焼けたようだ。 しかも終戦直前には米軍による和歌山大空襲で城は全焼してしまった。 現在の和歌山城は1958年に完全復興されている。

そこへいくと、松江城は建立以来一度も火事が無く空襲にもあわなかったから、建てられた時と変わらないままに400年のあいだ、眼下に宍道湖を見下ろすこの高台にひっそりと建っている。 城の内部に入って、薄暗い中に黒光りする急階段を登ると、過去の侍たちの亡霊がそこここに潜んでいそうな不気味な雰囲気がある。 そして大きく開け放された天守閣からは、美しい松江の町が見渡せた。
僕が日本に帰るたびに、そして山陰の郷里に帰るたびに、ラフカディオ・ハーン (小泉八雲) もあれほど愛したこの町を見ることなしに日本を離れることはまずなかった。


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