過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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孤独な人間たち

rockyfork-blognew.jpg

最後の朝
Rocky Fork, Ohio USA

みずうみのそばの山小屋で過ごす、最後の朝だった。 誰もが、ちょっぴり、疲労感と哀しみを味わっていた。 なぜならこれが楽しかった家族のヴァカンスの終わりであり、夏の終わりだったから。
写真の中の人たちはあんなにも仲の良い緊密な家族でありながら、それぞれの人生の250分の1秒をカメラに切り取られたこの瞬間、おたがいに何の繋(つな)がりも無く存在する孤独な生きものように僕には見えた。

ニコンF ニッコール24ミリ コダック トライX 絞りF8 シャッター250分の1


26年も前に撮られたこの写真を見ていると一つの家族にもいろいろな変遷があったのだなあ、とあらためて実感が湧いてくる。 あの年の夏、アメリカの中西部の小さな村で、身内の数家族とともに忘れられない一週間を過ごした。 その当時は僕らはまだボストンに住んでいたころで、三年後にこの中西部へ引っ越してくるなんて予想もしていなかった。
黒い眼帯をかけたオヤジさんは今ではもうこの世の人ではない (この時のオヤジさんは現在の僕よりもずっと若かった)。 幼かった僕の二人の子供たちと姪っ子はすでに三十歳前後に成人している。 左端に背中を見せている女性は義弟の奥さんなのだが、数年前に離婚をした。 右端のお義母(かあ)さんもオヤジさんが亡くなったあとは急に老け込んで、最近は健康状態もあまり良くない。 前景のもうひとりの義弟は、この時には独身だったのが、今はフロリダ州で結婚して三人の子持ちになっている。 そして、奥のキッチンでミルクを注いでいるのは、まだ若々しい我が Green Eyes である。

みんなみんな変わってしまった。 しかしそんなことを言う僕だって・・・。

上の写真とその下のキャプションは、いまから26年前の1986年10月12日のボストン・グローブの日曜版に載せられた僕の作品で、その年の写真コンテストに6400人の中から一席に選ばれた。 そのころラボの暗室技師として働いていた僕は、フォトグラファーとしてはアマチュアだったのでこのコンテストへの参加資格がもらえたのだった。 一席に選ばれても僕は別に有名にも何にもならなかったし、それで仕事があちこちからくるようになったわけでもなかった。 その代わりに、賞金にもらった2000ドルの一部でずっと前から欲しかったのに買えなかったニコンの20ミリのレンズを手に入れることができた。


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コメント:

* こんにちは

こんにちは
この写真、凄く好きです。
ロバートアルトマンの映画のような、群像劇というか...
様々な『物語』を感じます。
こういう写真が撮りたいです。
しかし義父さん、かっこいいですね。
2012/02/22 [kenURL #- 

*

こんにちは

ヴァカンス最後の日の朝食の風景で
そこにいる人々の人生の250分の1秒をカメラで切り取る・・・
なんてカッコいい言葉なんでしょう~
写っていない右側に何があるのかも気になりました。
26年前の自分の事も思い出したり…
今までの人生で一番幸せだった年でした~(笑)



2012/02/22 [キキURL #PDFQKA4U [編集] 

*

つい自分の家族、親類と重ねてしまいます。
一族だけでなく地域の昔ながらの人間関係を
束ねていた祖父が亡くなったとき、胸から背中にかけて
大きな穴があいたような喪失感を味わいました。
案の定、あんなにも仲良く緊密な関係を持っていた人達は
数年でバラバラになってしまいました。
でも、もしかしたらそれが本来の姿だったのかもしれないと
この写真とキャプションをみて思いました…
2012/02/22 [nico] URL #- 

* Re: こんにちは

kenさん、こんにちは。
群像劇を写真で撮るというのは私のもっとも好きな手法かもしれません。どこにでも転がっている場面ではないので難しいのですが、欲張らないでせいぜい2つの物語におさえればけっこう可能性はありますよね。

若いころのオヤジさんは大男でユーモアがあって男らしくて、映画のジョン・ウエインにそっくりでした。
2012/02/23 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: No title

キキさん、こんにちは。
キキさんにそう言われて、自分の人生で一番幸せだった年なんてあるのだろうか、と考えました。子供のころならあったかもしれないけど覚えていないし、やっぱり高校生の時が一番幸せだったなあ、という気がします。
それ以後は・・・?
2012/02/23 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: No title

nicoさん、そういえば私のこの家族もオヤジさんがいなくなってから、潜んでいた確執や醜い嫉妬が表面化してきたようです。なにしろ8人兄弟にそれぞれの配偶者、35人もの子供たち、という巨大家族ですから。
2012/02/23 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

お義父さん、かっこいいですよね。
以前、September氏と口論した話を読みましたが、傍から見たらゴジラとキングギドラが戦っている感じ?
2012/02/23 [micio] URL #O/XG6wUc [編集] 

* Re: No title

micioさん、あれはすごかった。 でもあのあと、二度と起こりませんでした。
今から思うとあれも懐かしいのです。
2012/02/24 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* こんばんは

素敵な写真です
写真は年数を経て 味わいや意味が
増すものかもしれませんね
なんて思います

当方ブログへのコメントありがとうございました
私もブログ村から何度か訪問しておりました
その方からのコメントということがわかり
大変嬉しく思いました
2012/02/25 [hitsuji_yuURL #- 

* Re: こんばんは

hitsuji_yu さん、コメントありがとうございます。
写真という一枚の紙切れがどんな深い意味を持つことがあるか、たぶん誰にも覚えのあることでしょうね。
ふだんの日常の何気ないスナップショップにそんな写真が撮れればといつも思います。
これからもよろしくお願いします。
2012/02/27 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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