過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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イタリアの旅 フェッラーラ(3)

120526

碧空
Ferrara, italy


僕の運転する車がフェッラーラの町に入り、迷路のような細い路をぐるぐる廻っているうちに、いつのまにか町の中心部にある広場に出てしまった。 そのまま広場を抜けようとしたところで警官に止められた。 うっかり車両乗入禁止の標識を見落としてしまったらしい。 僕が警官に向かって三歳児のしゃべるようなカタコトのイタリア語で 「ワタシ、ジャポネーゼアルネ。 ヒョーシキ読メナカタアル。 イタリア語トテモトテモムツカシ。 デモコノ町キレイヨ。 スキスキ」 みたいなことを言うと、彼は両腕を広げるとフットボールの審判みたいに大きく上げて 「オオ ジャポネーゼ!」 とそれだけ叫ぶと簡単に許してくれた。



T07Italy0501-blognew.jpg

碧い瞳をもつ少女
Ferrara, Italy


車をちゃんと駐車したあと、ポルティコの下を歩いて広場に戻った。 広場にもどこにも人影がまったくなくて町中がひっそりとしている。 すぐ眼の前に小さなギャラリーがあって何かの写真展を開催中のようだったが、ポスターが出ているわけでもなくて小さなサインが貼ってあるだけだった。 あ、これはいい、と思ってドアを開けて中に入る。 暇そうにしている受付の女の子にパンフレットを渡されて二階の展示会場へと階段を上った。 無料であった。 狭い会場に十数点の写真が並んでいるだけの小さな展示で、訪問者は僕以外には誰もいない。  
いきなり目に飛び込んできたのがこのアフガンの少女。 あっ、と言ってしまった。

絵でも写真でも映画の一シーンでも、最初に見た時はそれほど衝撃的な感動を受けたわけではないのに、その映像がなぜかほとんど永久に脳の中にこびり付いてしまうことがある。 
このポートレート、報道写真家スティーブ・マッカリーが20年以上も前にパキスタンで撮った難民の少女がそうだった。 ナショナル・ジオグラフィック誌(1985年)の表紙になったのをはじめ、出版物やウェブサイトで何度も見ていたが、オリジナルのプリントを眼の前にするのは初めてだった。 少女の怯(おび)えた表情は、まるで銃のように自分に向けられてるカメラへの恐怖かもしれないし、あるいは自分をとりまく世界への恐怖だったのかもしれない。 そしてその異常といっていいほどの碧(あお)さを持つ瞳が、見る者の胸を突き刺す。 

イタリアの小さな町の小さなギャラリーでこの少女に会えるなんて・・・
だから旅は楽しい。
フェッラーラの記事は前にも書いているけど、たぶんこれでおしまいかな。

イタリアの旅 フェッラーラ(1)
イタリアの旅 フェッラーラ(2)



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コメント:

*

私の話すフランス語もネイティブの方から見たら
こんな感じなんだろうな~と思いながら拝見しました。(笑)

そして、少女の写真をみて“あっ”と言ってしまいました。

父が定期購読していたナショナルジオグラフィック誌で
見かけてからもうかなり経つというのに
忘れていなかった…というより忘れられなかった1枚です。
オリジナルとの偶然の出会い。羨ましいです。

テレビでもこの少女のその後を追っていたのを
観た気がしますがそちらのほうはあまり覚えていません…。
2012/05/26 [tony] URL #mQop/nM. [編集] 

*

september さん、こんにちは。
この写真、私にも見覚えがあります。しかしどこで見たのか覚えはないので、どういう曰くがあるものか、
全然知りませんでした。それを見た時、何か感じたんでしょうか、記憶に残っているということは。
更にもう一つ教えて頂きました。oca giuliva という言葉の深ーい意味を。有難うございました。

この町は私の好きな作家ジョルジョ・バッサーニが生まれ、映画監督アントニオーニは自分の街で何度も
カメラを回していますよね。
2012/05/27 [pescecrudo] URL #j9tLw1Y2 [編集] 

* Re: No title

tonyさん、この少女を20年後に行方を突きとめてマッカリーは会ったらしいけど、
その会見はあまり楽しいものではなかった、
という記事をどこかで読んだ記憶があります。
2012/05/27 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: No title

ペさん、こんにちは。
フェッラーラはボローニャの北部にある小さな町々を回った時に
パルマ、モデナ、ラヴェンナ、イモラ、チェント、などのどの町よりも撮った写真の数が多かったのは
それだけ私の興味を惹くものがあったようです。
2012/05/27 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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