過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

Profile

September30

Author:September30

Visitors Counter

Search form

ミニマリズム・・・写真のレシピ(7)

T06pro147-blognew.jpg

空の藍にも染まらず
Le Crestet, France


ミニマリズム: 最小限主義。 1950年代に始まり、形と色の極端な簡素化を強調した彫刻と絵画の芸術運動


前回の「群集劇」では写真の画面が複雑であればあるほど劇としておもしろい、というようなことを書いた。
それが今回はそのまったく逆のアイデアを取りあげてみたい。
ミニマリズムなんて美術史上の言葉を知らなくても、要はできるだけシンプルな映像を創るということなので難しく考える必要はない。

「群集劇」の観客はゆっくりと時間をかけて、舞台上の役者から役者へと眼を移していく。 それぞれの登場人物の顔の表情だけではなく彼らのボディーランゲージ(身振りなど)を見ながら、画面のすみからすみまでを鑑賞するだろう。
ミニマリズムはそれとはまったく逆なのだ。 
簡単明瞭な映像がいきなり見る人の眼に飛び込んでくる。 一発勝負である。 インパクト(衝撃)があるという点ではこれ以上のものはないから、宣伝、広告など商業ベースのデザインに採用されるのもうなずける。 群集劇が、見る人の理性にゆっくりと訴えるとすれば、ミニマリズムはいきなりストレ-トに人の感性を刺激する。 

カラーなら色彩の対比、モノクロなら明暗や形の対比、を強調してできるだけシンプルな画面を構成してみよう。 
覚えておきたいのは映像が単純になればなるほどインパクトは強くなる、ということなんだ。 
そしてここで一番大事なのはコンポジションといういこと。
コンポジション(構図)という要素は絵画や写真にとってもっとも大切なことだけれど、ミニマリズムの画面ではそれが極端に大きな役割を果たすことになる。 だから、群集劇の機関銃的乱射とちがってシャッターをきる前に、「どんな絵を作りたいのか?」 をすこし時間をかけて自分に問いかけてみることは、とても良いアイデアだといえる。 それによってカメラの設定、レンズの選択などが自然と決まってくるからだ。

さあやってみよう。 被写体はあなたの周りに無尽蔵にあるはずだ。 遠くばかりを見ないで自分のすぐ近くもキョロキョロと見回してみよう。 あなたのすぐ目の前の机の上にも、何かが撮られるのを待っているかもしれないよ。


もっともっと
漁師の孤独
葦に潜む
トンネルの中の男
鳥取砂丘


写真のレシピ(1)』 『写真のレシピ(2)』 『写真のレシピ(3)』 『写真のレシピ(4)』 『写真のレシピ(5)』 『写真のレシピ(6)

にほんブログ村 写真ブログ モノクロ写真へ
スポンサーサイト

コメント:

* 熊谷守一という画家

僕の最も好きな画家の一人、熊谷守一(クマガイモリカズ)を御存知でしょうか?
ミニマリズムに付いては知りませんでしたが、彼の絵などその極地たるものではないかと思います。

September30氏の御感想は如何?
2012/08/01 [henri8] URL #av6ed.vY [編集] 

* Re: 熊谷守一という画家

henri8さん、
たしかこの人は日本のフォービズムの草分けのひとりと言われた画家だったな
と思って検索してみました。
絵を見るとたしかに共通点は多いですね。
若いころのものと後期のものとは
かなりスタイルが違ってきているような感じを受けました。


2012/08/01 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* 抽象画のこと

自分でもどうしてなのか理由は判然としないのだけれど、いつの頃からか抽象画が好きになりました。
とくにマーク・ロスコの絵が好きで(もちろんプリント版ですが)壁にかけて飽きもせず眺めていた時期がありました。

抽象は見ていていつまでも飽きません。それは芸術作品に限らず、表現されたものに欠かせない要件だと思います。

この写真のような視点をもちたいとカメラを持ち歩いていますが、満足な写真を撮れたためしがありません。
コンポジションて、レイアウトそのものですよね?
2012/08/02 [centerfield] URL #8bsxoj2c [編集] 

* Re: 抽象画のこと

centerfieldさん、

実は私は絵画の鑑賞に関しては完全な具象派なんです。
抽象画を描く仲のいい友人が日本にいて、彼女が盛んに私を啓蒙してくれているのですが
どうも今ひとつ飛び込んでけません。
centerfieldさんの逆で、見ていると飽きてしまうのです。

コンポジションというかレイアウトに関しては、
私にとって一番勉強になったのは美術館でした。
風景画にしても静物にしても肖像画にしても
要は、いかに全体のバランスが取れているか、ということが
「構図」なのだと思うのですが。
2012/08/02 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* 絵の嗜好と写真の作風

september30さんの群像劇を見るたびに、
僕はレンブラントの「夜警」や「解剖学講義」などの具象画を思い起こしていました。

「完全な具象派」という絵画の嗜好と、写真の作風にはつながりがあるのでしょうか。

先日たまたま野島康三の旧い写真集を見ていたら、同時代の画家で友人だった
岸田劉生の「肖像画」とまるで同じタッチの「肖像写真」に出くわしてびっくりしました。

2012/08/03 [centerfield] URL #8bsxoj2c [編集] 

* Re: 絵の嗜好と写真の作風

centerfieldさん、

レンブラントは大好きです。
そのことが自分の写真とつながりがあるかどうかなんて考えたこともありませんでしたが、
これも前に私達が話題にしたスタイルと同じで本人に見えることではなくて
第三者が感じることなのかもしれません。

レンブラントのあの有名な『自画像』が我が家の壁にかかっていますが、
彼が生涯に描いた二枚の自画像・・一枚は若く名声と富裕の絶頂にある時、
もう一枚は彼が愛人を失い息子を失ったあと、貧乏と失意のどん底で死んだ
その年に描かれたものです。
我が家にあるのはその後の方です。
2012/08/03 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

コメントの投稿

:
:
:
:
:

:
: ブログ管理者以外には非公開コメント

トラックバック:

>>>> http://blog1942.blog132.fc2.com/tb.php/419-0a69c6e0
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)