過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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僕はキッチンの異邦人

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顔のある台所
Oakwood, Ohio USA


わが家のキッチンはふだんは Green Eyes の支配下にあって、彼女がそこで費やす時間は僕よりも圧倒的に多い。
たまに僕が急に食べたくなったものがあると、たとえば「ベーコンと紅生姜入りの炒飯」とか、「赤ワインで煮詰めたハヤシライス」とか、「ぜんざい」とか、「ピリ辛鶏手羽の唐揚げ」だとかはどうしても自分で作ることになる。 そしてこのキッチンを一時占領するのだが、占領したとたんに僕はいつも困ってしまうことが多い。
どこに何があるかまったくわからないのだ。

もともとわが家は百年も前に建てられた家だから、住みやすいように内部を改装したといっても限度がある。 特にキッチンは狭くてカウンターのスペースもあまりなく、そのうえ壁一面に大きな窓が取られているので、ものを掛けたりする場所がまったく無い。 そこへもってきてこの場所をふだん支配する人がアーチストときてるから、その結果はもう想像がつくと思う。

そうなのです。
我が家のキッチンは良く言えば芸術的混沌、悪く言えば乱雑この上もなく、他人がいきなり侵入してきて料理をするのはまず不可能にできている。 それじゃあ他人でなく住人のひとりである僕にとってもなぜ不可能かというと、それはこういう訳だ。
乱雑であること自体は僕はあまり苦にならない。 (僕の仕事机だってそうだ) たとえどんなに乱雑でも、物の所在地がちゃんと決まっていれば何の問題もないはずなのだ。 ここを掘り起こせばやがては自分の探している皿に行きつくとか、あれを除けると調味料がすべて並んでいるとか、というぐあいに。
ところが、わが Green Eyes はキッチンと限らず家中の物の置き場所をその日のフィーリイングしだいで自由奔放に変える、という世にも恐ろしい習癖があるのだ。 料理の真っただ中で数秒の余裕しかない時に物が見つからないと、僕はただオタオタとしてしまうのである。 いつもあるべきところにあるものが無いということは、僕の生活信条に大いに反することなのだ。
それでも彼女が家にいる時はただ聞けばすむ事なんだけど、ある時などどうしても見つからなくて、歯医者で治療中の彼女に電話をして聞いたら、なんと僕の探していたものは地下室にまで移動していた!

いつの頃からか、僕がキッチンに入る時はあらかじめ必要なものを全部確認してから料理を開始する、という手順になっている。


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コメント:

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なんて素敵なキッチン。そして、なんて美味しそうなお料理!いつかレシピを公開してください。
2012/09/25 [わに] URL #- 

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このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012/09/25 []  # 

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このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012/09/25 []  # 

* Re: No title

わにさん

責任のない鑑賞者には素敵と映るかもしれませんが、しかし住人にとっては・・・
料理のほうはほとんど自分の創作ですが毎回食べたあとに自己批判を
「次回は豆板醤を倍量入れること」 とか 「ワインの量をおさえて!」 とか
メモをしてきたので少しずつ良くなってきています。
料理の数はあまりありません。
2012/09/25 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

最後の一文を読んで、いい夫なんだなぁと感心してしまいました。私の場合はかんしゃくを起こして、なにもしなくなりそうです。
2012/09/25 [川越URL #uvrEXygI [編集] 

* Re: No title

川越さん

かんしゃくを起こすことは私には許されないのです。
なぜなら
それをすると自分の食べたいものが永久に食べられません。
2012/09/26 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

キッチンは主婦の牙城。混沌の中に実は自分ルールがあったりします。自分以外は寄せ付けないのもそれ故?たまに息子がほしいものが見つからなくて、癇癪を起こしています。そして私はそれに、癇癪を起こし返して対応しています。進歩なし。
Green Eyes さんのキッチンには、美学が反映されていると思いました。もうすべて任せて、自分はテーブルに座ってお茶をいただきながら、その置物何処で見つけたの?とか、おしゃべりしたくなるような場所ですね。
2012/09/27 [わに] URL #- 

* Re: No title

わにさん

「キッチンは主婦の牙城」を私ほど実感している同居人は他にいないと思います。
例えば調味料のコショウにしても
黒コショウ、白コショウ、レッドペッパー、カイエンペッパー、一味、七味、山椒胡椒、などが
あちこちにバラバラに置いてあるなんて、
しかもいつも場所が変わっているなんて
私はこの虐待によく耐えてきた、と自分が愛おしくなります。(笑)
2012/09/27 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

September30さんのお宅のキッチン、
アーティストの奥さまのセンスが発揮されていますね☆

私たちのキッチンは
お家でもやはり職人魂が発揮されてしまうのか、
置物などの装飾品は一切置かず、
お掃除しやすいように常にスッキリ整頓しています。

調味料はコンロ前のカウンターにまとめて置いてありますし、
お鍋はここ、お皿はここ、とすべてが決まっています。
だから主人と私、どちらが使っても
探しまわることはありません。

でも先日実家に帰ってお料理したら…
まるでSeptemberさんのようになってしまった私。(笑)
お気持ちお察しします。。。
2012/09/28 [tony] URL #mQop/nM. [編集] 

* Re: No title

tony さん

整頓という語は我が家には存在しません。
混沌の一語です。 まるで宇宙の創世記のような光景です。
キッチンだけではなくすべての部屋がそうですが
かろうじて私の仕事部屋だけは免れているのです。
2012/09/29 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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