過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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写真家と人妻の恋

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屋根付きの橋
Carillon Park, Dayton, Ohio


ある時、日本の知人がオハイオ州の我が家を訪ねてくれたことがあった。
ところが僕の住む町は人を観光案内できるような所はあまり無い。 そこで 「何がしたい?」 と訊いたら返ってきた答えが 「屋根付きの橋が見たい」 だった。
ちょうどその頃日本で封切られたアメリカ映画がヒットして、その映画の主題となった屋根付きの橋がとたんに有名になってしまったらしい。 「屋根付きの橋を見るツアー」 を旅行社が組んで多くの日本人が映画のロケ地、アイオワ州まで出かけて行ったそうだ。 いかにも日本人らしい話だと思った。
僕の住むまわりにはクルマで三十分以内の距離に屋根つきの橋が幾つか見られるので、知人は写真をたくさん撮って、満足して次の目的地へと発って行った。

その映画というのが、"The Bridges of Madison County" (マディソン郡の橋) である。
アイオワ州の辺鄙な田舎に、「屋根付きの橋」 の撮影に来ていた写真家(クリント・イーストウッド)が、そこで偶然に出逢った農家の中年主婦(メリル・ストリープ)と恋におちいり、ふたりは旅行中の主人が留守にしている彼女の家で四日間をいっしょに過ごしてしまう。
それから24年が過ぎて彼女が亡くなった時、実家に集まった長男と長女が遺品の整理をする中で一台の古いニコンFがでてくる。 それといっしょに出てきた日記と手紙が、確かに実在した彼女の不倫の恋の物語を明らかにする。
自分たちの母親は平凡な主婦として一生を終わったと信じていた子供たちにとっては、思いもかけないことだったろう。

僕が見たのも随分と昔のことなのではっきりとは思い出せないが、強く印象に残っているのは、夫のいない家に見知らぬ男を迎え入れたことで、何となく不機嫌になっていたメリル・ストリープのぎこちない心が、夜が更けるに連れて微妙に変わっていくという場面だったと思う。 ちょうど舞台の芝居を見ているような気がしたのを覚えている。
ぜひ近いうちにもう一度見てみたい、と思っている映画の一つである。

ところで・・・
なぜ橋に屋根をつけるのか?
理由は二つある。 まず橋そのものを風雨から守るため。 当然ながら昔は橋は材木で作られたので、屋根があるのと無いのとでは橋自体の寿命が比較にならないほど違うんだそうだ。
もう一つの理由は、橋の近所で働く農民だとか通りすがりの旅人だとかが、嵐などに遭ったときにここで難を逃れるためだった。

ちなみに、映画のマディソンという名の郡(county)は、同名の郡がアメリカ中いたるところにある。 僕の住む地域にもある。
とりあえず上の写真は 『モンゴメリー郡の橋』 となるわけだ。 僕の家から自転車でも行けるほどの距離である。


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コメント:

*

september さん、こんにちは。
屋根付きの橋は日本にもあるらしいですが、私が知るイタリアの橋は、ヴェネツィアの北に
あるバッサーノ・デル・グラッパにアンドレーア・パッラーディオが設計したアルピーニ
(第一次世界大戦等で活躍した山岳兵の事)橋とかコペルト(屋根があるため)橋とか呼ばれる
パッラーディオの橋です。木造ですから腐敗すると彼の設計で再建されるそうです。
この町に行ったのは、葡萄かすから作られる葡萄焼酎、グラッパ酒の主産地なので、
それを味わうためでしたが。
2012/10/26 [ペッシェクルードURL #j9tLw1Y2 [編集] 

* Re: No title

ペさん、こんにちは。

私の限られたヨーロッパ経験の中で、木造の橋を見た記憶がありません。
家屋と同じでともかく全部石で作るものだとばかり思っていたので
ぺさんのコメントで驚きました。

グラッパという酒がヴェネツィアの近くのグラッパで生まれたというのは
以前にペさんに教えて頂いたことでした。
私のお気に入りで、ベネツィアではこればかり飲んでいました。
アメリカでも手に入るのでたまに買いますが、
何故か味が違うと思うのは
あれはやはりイタリアでイタリア語に囲まれて飲むのもなのかなあ、
という気がします。

日本酒はやはり日本で、
というのと同じ感覚かな。
2012/10/26 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

日本だと河は高低差があるので、嵐のとき、橋にいるほうが危ないと思います。
橋ごと流されてしまうから。
風雨をよける場所にはなりにくい。
2012/10/27 [みん] URL #6moyDOY6 [編集] 

*

そういえば先週はインディアナ州西部で毎年恒例のCovered Bridge Festivalがありました。何でもフェスティバルになってしまうものなのですね。「マディソン郡の橋」は高校時代に母が買ってきた本を借りて読みました。本は一晩で読み切って感動したのですが、私の思い描いた人物とクリントイーストウッドのイメージのギャップがあり過ぎて、映画を観てがっかりしたパターンです。(イーストウッドは名優だと思うのですが・・・)
2012/10/27 [Endless] URL #d2yN2EXI [編集] 

* Re: No title

みんさん、

日本で嵐といえば台風だと思うんだけど、
強風になるから橋の屋根などいっぺんに吹き飛ばされるでしょうね。
でも上のペさんのコメントによれば日本にも屋根付きの橋があるようですね。
2012/10/27 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: No title

Endless さん、

Covered Bridge Festival はアメリカではあちこちにありそうですね。

小説を本で読んだあと映画を見ると失望することのほうが多いようです。
本から自分の内部に組み立てていたイメージがどうしても映画のイメージと合いません。
それがロケ地の選択だとか脚本の作りだとかの場合もあるけど、
なんといっても多いのは俳優の選択です。
最近それを経験したのは村上春樹の『ノルウェーの森』でした。
原作者はどんな気持ちで映画化された自分の作品を見るのだろうと
とても興味があります。

2012/10/27 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* 私には良い映画でした

September さん、こんにちは。
小説は日本からの出張者がベストセラーだというのでお土産に持ってきて、
だから、20年近くも前ですね、読んだのは。
どうして ベストセラーなの?という位、感動も何も無かったのです。
それが2年ほど前、テレビで上映されたのを見て、

雨の中の別れのシーンは、やはり涙しました。
イーストウッドも雄雄しいのではなく、ちょっとしょぼくれて、それも味が出ていました。
原作をもう忘れているので、本と比べようも無いのですが、
とても憎い演出だと思います。
この別れの場面は動画でも見ることが出来ますね。

先ず雨の中でロバート・キンケイドがずぶ濡れになって、
じっとフランチェスカを見つめる、それから車に乗り込む。
雨の中をキンケイドの車、その後ろにフランチェスカの夫の運転する車がゆっくりとスタートする。
赤信号で止まり、青になっても前に止まったキンケイドの車はは発進しない、
ドアのノブに手をかけ、今にも下車してキンケイドの元に行くのではないかというそぶり。
この時、夫がクラクションを鳴らしてキンケイドの車に発進の催促。
クラクションを鳴らすか鳴らさないかで、人生が変わるかもしれないと思いました。

原作を読んで随分と時が経ち 原作を忘れてしまっている というのが幸いした映画かも知れません。
2012/10/28 [のほほん] URL #60nqeuCY [編集] 

* Re: 私には良い映画でした

のほほんさん、こんにちは。

あの映画は私は原作を読んでいないのですが
見た時に実はあまり感動がなかったのです。
その理由というのはたぶん、
当時私自身の生活が激変のさ中にあって
ゆっくりと映画鑑賞をするような気分ではなかったのでしょう。
何をしても、何を見ても、こころはいつもほかにあるような、
甘ったるいメロドラマ(と、その時は感じたような気がしますが)に我を忘れるような
そんな気持ちになれなかったからだと思います。

だから、今もう1度見てみたいと思うのです。
2012/10/28 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* 観てみたいな

この映画、当時はストーリーをちらっと見て、興味を持たなかったように思いますが、こうして説明されると観てみたくなりました。映画館では難しそうですが、ビデオはありそうです。
グラッパ、イタリアに行き始めの頃、教えてもらった「Caffè Con Grappa 」ですっかり気に入って、しょっちゅう飲んでいました。強いお酒.美しくて美味しいですね。

2012/10/29 [川越URL #uvrEXygI [編集] 

*

そのお話は印象が強く残っています。
ローズマンブリッジという橋だったと思います。
本も読んでみましたが私は映画の方が好きでした。
September30さん是非もう一度あの映画を見て欲しいです。
湿度が高そうなところだなぁ~なんて思って見てました。
2012/10/29 [アンリ] URL #- 

* Re: 観てみたいな

川越さん

この映画は原作がベストセラーになったあと、映画化の争奪戦があったようです。
スピールバーグなども興味を持ったらしいけど結局いろいろな経過があって
クリント・イーストウッドの製作、監督、主演におちついたのですが
当初、主役女優の候補リストには
イザベラ・ロッセリーニ、アンジェリカ・ヒューストン、ジェシカ・レンジ、マリー・マクドネル、シャー、スーザン・サランドン、
がのぼっていて、ロッセリーニが最強力候補だったにもかかわらず、最後にメリル・ストリープに決定したのはイーストウッドの強い要望だったそうです。
2012/10/29 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: No title

アンリさん、

ぜひもう1度見たいと思っています。
映画の舞台になったアイオワ州は私の住むオハイオ州からそんなに離れていないので
気候も似ていると思うのですが、たしかに湿度は高いです。(日本ほどじゃないけれど)。

映画とはまっったく関係ない話ですが、
私が勤めた会社で周りのアメリカ人が、日本語で「お早う」はなんというの? と訊いたので
オハイオと言えばいい、と教えたら、それじゃ「今晩は」は? と訊くので
アイオワだよ。 ととっさに答えたのですが、(もちろんジョークです)
それ以来全員がそれを使うので閉口したことがあります。

なぜアイオワと言ったのか、自分でもわかりません。
2012/10/29 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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