過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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イタリアの旅 ボローニャ (2)

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乗りものたち
Via Zamboni, Bologna, Italy


イタリアの大都市ではそれがローマであれ、フィレンツェであれ、ミラノであれ、市街地の雑踏を走っているのはほとんどがこの写真に見える、4種類の乗り物だった。つまり、自転車、スクーター、オートバイ、そして軽自動車だ。
網の目のようにめぐる細い路地をこれら4種類の乗り物がまるで地面を動き回る昆虫のように、右往左往しながら走り回る。旅行者が時々まちがって、レントした大型のバンかなんかをうっかりこの雑踏に乗り入れようものなら、たちまちにっちもさっちも動きがとれなくなって、うしろに長い列をつくる車から無数のホーンがまるで調子はずれのファンファーレのように襲いかかってくる。

それが、ハイウェイになると話は別である。

ところでアメリカで僕の運転するクルマに同乗した人が、口をそろえて言う。
僕の運転が怖い、と。
少し感情を害した僕が、「でも、免許を取ってから、40年以上になるけど日本でもアメリカでもヨーロッパでも無事故だよ。 スピード違反は数限りなくあるけど」 と抗議をすると、「それはあなたがたまたまラッキーだっただけよ」 とか言って、みんな助手席に乗るのを嫌って後部座席に乗ろうとする。だから数人が同乗する時はいつも後部座席の取り合いになるのだった。
僕に言わせれば、アメリカのドライバーほどマナーが悪くて不器用でそのくせ自分勝手なのは世界中探しても無い、と確信している。そんなアメリカ人たちが、僕のクルマに乗ると、「怖い」 と言うのはどういう事なのか?

僕は日本に住んでいた時からクルマをいじることが好きで、自分で改造した車でラリーに出ていたこともあった。今でもそれは変わらず、現在僕の運転するドイツ車は購入したあといろいろと手を加えてある。車高を下げたり内臓コンピューターのチップをアップグレ-ドしたりエグゾーストを取り替えたりシフトノブを短くしたり、クラッチを強化したりタイヤをより大き目のより幅広のものを付けたり、そのほかいろいろ細かなところに手を加えた。それで購入した時のもともとスポーツ仕様の250馬力をなんとか350馬力まで上げることに成功した。ギヤシフトはもちろんクロース レシオの前進6スピードである。
だから当然ながら運転には自信を持っていたのに、ゆっくり走ることが安全運転だと信じているアメリカ人には、僕のヨーロッパ式の運転は命知らずの無謀運転としか映らないようだった。

その僕がイタリアに行って、イタリアのハイウェイにクルマを乗り入れたとたん、僕はまるで水に放たれた魚のように実に生き生きとするのだ。ここではアメリカと違って、追い越し車線をトロトロと永遠に走り続ける車など絶対に無いし、右側から追い越しをかけるような無謀運転をする車も無いし、危ない割り込みも無い。それでいてビュンビュンとすばらしい速度で飛ばしている。飛ばしたくないクルマは右端の車線にへばり付いて、自分の速度で走っていれば誰の邪魔にもならないし、誰にも文句は言われない。 
バックミラーの中ではるか背後からみるみる迫って来たクルマが、躊躇(ちゅうちょ)することなく左側からアッと思うような速度でレーンを変えて、悠々と遅い車を追い抜いて行く。 
そのクルマを背後から追って来た別のクルマが、さらにすばらしく速い速度で追い抜いて行く。 
そのクルマを別のクルマがさらに速い速度で...
まことにリズミカルで見ていても気持ちが良い。彼らの運転はそれ自体が一つのアートと呼べるものだった。
しかもそれがすべて完全な秩序と統制のもとに易々と遂行されるのは、まるで厳かな儀式を見ているような気がした。 
僕はつい嬉しくなって叫ぶ。 
Viva Italia!

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コメント:

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september さん、こんにちは。
私がスキーをやっていた頃、よく雪の三国峠をノーチェーンで越したことがあります。事故は起こしたことはありませんが、雪道運転にうぬぼれていたのでしょうね。
思い出すのは、ヒロアキがあなたの車の後部座席で「スピード落とせ!」と絶叫していた羽田に向かう首都高で、あなたの車の、直線コースでの130k(?)を示す運転でした。
2010/10/21 [pescecrudo] URL #j9tLw1Y2 [編集] 

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ペさん、こんにちは。
思い出しました。たしか佐々木さんもいっしょだったでしょう。
あのクルマは当時若者に人気のあったスカイラインのGTBという「羊の皮をかぶった狼」と呼ばれたクルマでしたね。
2010/10/21 [September30URL #MAyMKToE [編集] 

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車の作り方、車の捉え方・・・全ての面において
アメリカとヨーロッパでは違っているように思います。
日本車はどっちつかずで好きにはなれなかったので
私もよく改造して乗っていました。
今はそんな財力も体力もなくなりましたけど(笑)
2010/10/23 [kentilfordURL #CrGd4Py6 [編集] 

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kentilfordさん。日本の車はどちらかというとコンセプトでは欧州車に近いのではないでしょうか。
私の車もその時は6気筒にツインターボのついていたのを財力を使ってさんざん改造したと思ったら、そのあとの新しいモデルが8気筒で350馬力のエンジンを載せて出てきたのでがっかりでした。
2010/10/23 [September30URL #MAyMKToE [編集] 

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欧州で一番快適なのはなんといってもドイツです。
アウトバーンとマナーの快適さ。
ワタシはイタリア人の運転にはいいイメージがありません。イタリアでは皆がそうだから目立たないかもしれませんが、マナーは悪く我が物顔で走っています。
2010/10/25 [上海狂人] URL #wuZV7DPc [編集] 

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上海狂人さん、ドイツで車を運転したことのない私には分かりませんが、イタリアではフランスでもスペインでも経験しなかった「快適さ」を味わったのは事実です。ちょっと危険だったな、と思う瞬間がありましたがその原因はいつも自分のルール違反にあったようです。
ということは私自身もマナーの悪い我が物顔で走るドライバーということでしょうね。
上海狂人さんも私の車には恐くて乗れないでしょう。(笑)
2010/10/26 [September30URL #MAyMKToE [編集] 

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