過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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秋がきて秋がゆく

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墓地の秋
Dayton, Ohio USA


いつものように今朝5時前に起きて、外の気温を見たらなんと1℃だった。
晩秋というよりはもう冬である。 昨夜からヒーターを入れたので家の中は21℃に保たれていて温かいが、犬を外に出す時に裏庭のドアを開けたらいきなり冷気に襲われてその瞬間僕はシャッキリと完全に目が覚めていた。 犬たちは地面に重なった枯葉の上をかさこそと音を立てて歩くと、さっさと用を足してまっすぐドアに向かって走り帰ってきた。 犬も寒いんだ。 

枯葉といえば、プレヴェールの詩にコスマが曲をつけたシャンソン 《枯れ葉》 ほど昔からジャズのミュジシャンに好まれて演奏されたナンバーはあまり無いんじゃないかと思う。 その理由は(自分もミュジシャンの端くれだったから分かるんだけど)メロディがことさら美しいうえに、コード進行がすごく自然に流れるのでプレーヤーにとってインプロヴィゼーション(アドリブ)がやりやすいからだろう。
有名なアルバムはそれこそ無限にあって、エディット・ピアフやイブ・モンタンのフランス陣のオリジナルから、アメリカに渡ってシナトラ、キング・コールのシンガー連中。 ジャズ界でもちょっと考えるだけでビル・エヴァンス、チェット・ベーカーとポール・デズモンド、マイルス・デビス、キース・ジャレット、スタン・ゲッツ、とあとからあとから出てくる。 いや、自分のアルバムにこの曲を入れていないプレーヤーはまずいないんじゃないか、と言っていい。

なかでもぼくが好きなのはこのベニー・ゴルソンの古いアルバム。
彼のクインテットは、自身のテナーとカーチス・フラーのトロンボーンのユニークなサウンドで十代の僕を魅了したものだ。 彼等のアドリブの旋律を、僕は今でもほぼ完璧に、いっしょになって口ずさむことができる。 「枯葉」 の教科書的な演奏と言っていいだろう。
秋になると僕はこの演奏を思い出す。





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コメント:

* 今、生きている。

好きですこの写真、きれい~。

ずいぶん昔に、ずいぶんお若くて亡くなった方なんだなと思ったら、
1918年て、第一次大戦の終わった年だったんですね、、、
この墓碑は永遠に、この美しい枯葉に散り敷かれていくのかもしれませんね。


日本はいま、本当にきもちのいい季節ですよ。
いつもこの時期になると、高村光太郎の『秋の祈』の冒頭を思い出します。

  秋は喨喨と空に鳴り 
  空は水色 鳥が飛び 
  魂いななき 
  清浄の水 心に流れ 
  こころ眼をあけ 童子となる 

よい季節に生を受けられましたね。
見るものも触れるものも、胸を通り抜ける呼吸も、すべてが凛と澄みわたり、
生きる喜びをしみじみと感じさせてもらえます。

この快楽は、まだまだ一ヶ月は続くんですヨ?
Septemberさんは、だからやっぱり日本の秋に戻るべきひとだと、
ええ、ご自身のご決意どおり、思っちゃいました。(笑)

風邪、ひかないでくださいネ。


2012/10/12 [belrosa] URL #- 

* 枯葉

september さん、こんにちは。
ゴルソンの『枯葉』、懐かしい! このアドリブを聴くとゴルソンは本当に作曲家だと思います。
『枯葉』の歌詞を覚えたのは、コラ・ボケールのレコードでした。今でも聞くコラのシャンソンで懐かしいのは『三つの小さな音』という曲で、『かくも長き不在』という映画の中で、彼女が歌う唄に合わせて、アリダ・ヴァリとジョルジュ・ウィルソンが踊ります。アリダ・ヴァリはイタリア出身という設定で、イタリア訛りの仏語を話していました。
この映画は私にとって、今でも仏映画の最高です。
墓地の写真を見るにつけ、パリに行った時、ピアフも眠るラ・ペール・ラシェーズに行かなかったことが悔やまれます。
2012/10/12 [ペッシェクルード] URL #j9tLw1Y2 [編集] 

* DUG

新宿のジャズ喫茶:DUGに足しげく通っていた頃を思い出しました。
もう20年も前のことになっちゃいましたけど…
郷愁に誘われてAmazonでこのアルバムをぽちっと注文してしまいました。
届くのが楽しみです。
2012/10/12 [nicoURL #KqigePfw [編集] 

* 晩秋を截り取った一葉の写真、飽きません

September30様

 中西部の地方都市の郊外にあるのでしょう、人も余り訪れない墓地の片隅に埋め込まれた墓碑と、其処に吹き寄せられた数十枚余りの落葉。何処にでも有りそうな晩秋の景色ですが、それが9月氏の手に掛かると、心の中に音も無く忍び込み、記憶の底に沈潜して往く情景に変換されて行きます。
 何回眺めても飽きません。

 投稿の先達が言及された「第一次世界大戦」。季節は晩秋。ちょうど良い機会ですので、その昔、私が豪州で見かけた「戦没者の墓碑列」を勝手に紹介します。

 今から22年前のこと、西オーストラリア州の州都パース(Perth)に1週間ほど滞在。一種の海外放浪で、良く晴れた9月初旬、人口百万の都市にしては閑静なパースの郊外にある植物園を訪問しました。世界の植物分布地図では特異な地位を占める豪州ですが、その中でも西オーストラリア州は更に特異性に富み、外見から診ても「これが植物?」と疑いたくなるような花があちこちに咲いていました。
 で、そうした珍奇な植物の中を逍遥しつつ、園内を更に奥に進むと十メートル以上もの幅広い道路が出現したのです。植樹された植物の種類変更を示す境界設定だったのですが、その道路沿いに白い小さな木製の標識が何処までも続いています。

 最初は「植樹された植物の品種を説明する展示説明板だろうう」と誤解していたのですが、標識には植物の名称や特徴の記載はありません。替わりに其処に書かれていたのは、人名と出身地、生年・没年、そして死没した土地名でした。
 標識を何十枚と読み進む裡に、鈍感な私も共通する特徴に漸く気付きました。各人が何れも若くして死亡した上に、没年が1915--1918年頃に集中して居るのです。死没した地名も欧州が大半で、中でも頻出していたのが、第一次世界大戦の激戦地として知られるトルコのガリポリ(Gallipoli)でした。
 そうです9月さん、それは第一次大戦の戦没者標識だったのです。

 彼らの出身地はと云えば、西オーストラリア州とか、ニュージーランドとか、ヨーロッパから遠く隔たった南半球の田舎であり、故郷から欧州まで徴兵されたのでした。
 遠い異郷の地で、植民地宗主国の利権確保の為に戦死するとは、結果として「犬死」そのものです。宗主国の支配層の利益のために使い捨てにされたのですから、さぞや無念だったことでしょう。

 私が植物園を訪問したのは、晴天とは云え平日の午後であり、私以外には誰も墓碑標識の参観者は居ませんでした。宗主国の支配層の捨て駒にされ捨てられた上に、今や訪れる人とて極めて稀な豪州の僻地で淋しく眠るばかり。見渡す限り、植物園のはずれまで続く白い標識は、宛ら「戦場で野晒しにされた白骨」に見えましたね。
 「豪州の9月初旬」と云えば9月さん、東京辺りでは3月の下旬に相当します。桜も未だ咲かない肌寒い季節で、静謐そのものの植物園が急に、うら寂れた共同墓地に見えてきました。 

 話が湿っぽくなりました。
 で9月さん、口直しに何時もの如く、この季節に時々聴く曲を勝手に紹介します。上記と同じ「枯葉」ですが、唄っているのは女性歌手。背景の枯葉が中々に渋く、英仏二ヶ国語で聴かせて呉れます。サイトの案内は、例の如く別便にて御報せします。お待ち下さい。
2012/10/12 [Yozakura] URL #Y2lB8pKc [編集] 

* 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012/10/12 []  # 

* Re: 今、生きている。

belrosa さん

自分の誕生日あたりから10月末のハロウィーンにかけてのひと月が
1年中で私が一番真面目になる時期かもしれません。
季節がそうさせるようです。
光太郎の詩に感じるような、冷え冷えとした透明な秋の空気に包まれていると
いつのまにか気分が沈静していって
つい自分の 「過ぎたこと、過ぎて行くこと」 に想いを運んでしまい、
世の儚さ、時の移りの速さ、ひとの命の短さ、生きることの切なさ、
のようなものを感じている自分がいます。

だからこの季節はどちらかというと苦手なのかな。(笑)
2012/10/12 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: 枯葉

ペさん、こんにちは!

ゴルソン/フラーのクインテットを聴くたびにいつもいっしょに湧いてくるのが
ペさんのことなんですよ。
今回もこの記事を書きながらあの頃の新宿を思い出していました。

『枯葉』の詩を初めて聴いたのはたしか高校生の頃、
マンボさんの部屋でジェラール・フィリップの朗読が最初でした。
すげえ凄みのあるガラガラ声だなあ、と思った記憶があります。
2012/10/12 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: DUG

nico さん

私も昔の新宿を思い出していました。 でも私のは40年以上の昔です。(笑)
木馬、Dig、きーよ、それにアカシア....

このアルバムでピアノを弾いているレイ・ブライアントは私のお気に入りでした。
彼のスタイルを自分のものしようとして、
彼のように弾こうとしていた時期が私にはありました。
2012/10/13 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: 晩秋を截り取った一葉の写真、飽きません

Yozakura さん

オーストラリアのパースの植物園での描写を読みながら、
私の脳にその情景がはっきりと形をとって組み立てられていました。
そして、今すぐにでもそこへ行って写真を撮りたいという衝動を抑えることができません。
私の写真が起因となってYozakuraさんの古い記憶に繋がっていったことをとても嬉しく感じました。
しかもその記憶を私や私の読者とシェアしていただいたことを感謝します。

上の写真の墓地にはあの大戦の戦没者だけが埋葬された一角があるのですが、
家族の墓に入らないでそこにあるのはなぜなのだろうと考えてしまいました。
またその隣の斜面には、無数の小さな可愛い墓碑が無秩序に置いてあって、
その没年を読むとどれも生後数ヶ月から数年ででなくなった子供たちばかりです。
子供同士をいっしょにしてやれば、寂しがらないでいっしょに遊ぶだろう、
という親たちの思い入れなのかもしれませんね。

いや、ほんとに話が湿っぽくなりました。
音楽でも聞いて気分を晴らしましょう。(笑)

2012/10/13 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* お気に入り歌手のステージです

9月30日さま
 「気分を晴らしたい」との由、お気に入り歌手の昔のステイジ動画があります。今から25年も前、バブル経済の上り坂の時期でしょうか、テレビの歌謡番組に大きな社会的影響力があった時代です。
 9月氏も公言する「お気に入り歌手」が、自身が作詞作曲した作品を自ら伴奏している動画はなかなかの熱演で、同じ歌手のほかのステージと比較してみても興味深いものがあります。
 サイトの案内は別便で。
2012/10/16 [Yozakura] URL #Y2lB8pKc [編集] 

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2012/10/17 []  # 

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