過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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音楽との出会い

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子供のころ、我が家にはこの写真にそっくりのポータブルの蓄音機があった。
それは母が勤めていた幼稚園の備品だったがふだんは我が家で保管されていたので、僕はいつでも好きな時にそれで遊ぶことができた。 
取っ手をぐるぐるとまわしてSPのレコードを乗せる。 サボテンの棘のような形をした小さな針を穴に押し込んでネジで固定する。 それからそのどっしりと重い頭を注意深くレコードの溝に下ろしてやると、僕はとたんに、行ったこともない音楽の世界へ入り込んでいた。 針がレコードに擦れるシャーシャーと耳障りな雑音の向かう側から聞こえてくるのは、なんと甘美で誘惑に満ちた未知の世界であったことだろう! それが僕と音楽の出会いだった。

音楽好きだった母が集めていたレコードはそれほど数はなかったが、僕は繰り返し繰り返し聞きすぎて最後にはレコードが擦り切れてしまった。 フルトヴェングラーが指揮するベートベンやモーツァルトに混じって、シベリウスの交響詩『フィンランディア』があった。 この曲は先生たちが見せる人形芝居で怖い場面になると、きまってあの冒頭の部分がこの蓄音機で鳴らされたものだった。
しかし僕がことさら好きだったのは、ほんの数分で終わってしまうこの小曲、ダカンの『郭公』だった。 レコードの白いラベルに 「ハープシコード演奏ランドフスカ女史」 と書かれていたのまではっきりと記憶している。
僕が5,6歳の頃のことである。



〈郭公〉 ダカン



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