過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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海に癒やされた日々

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海辺の町の遠近法

Winthrop, Massachusetts USA


日本を離れてボストンに住み、2年もたたないうちに妻と別れる、という事件があった。
それは二人でよく話し合って結論に達した、という種類の別れではなく、ある日突然に訪れた交通事故のようなもので、妻の意志など訊くこともなしに僕が一方的に壊してしまった関係だったといえる。 とにかく一人になりたかった。
そして一人になってみて分かったのは、自分の中に占めていた彼女の存在は思っていたよりもずっと大きかったという事実だったけれど、そのために妻への怒りが萎(しぼ)んだということはなかったようだ。 彼女の方ではどうだったのだろう、とあとになってよく思ったが、それを尋ねてみるような機会は永久に来なかった。

一人になってガランとしたアパートに耐えられず、僕はちょうどその時バークリーに留学してきたアルトサックスの丸田良昭さんにアパートを又貸しして、ボストンから逃げ出してしまった。 ペンシルバニア州のフィラデルフィア郊外の日本レストランが、マネージャーの仕事を提供してくれたのである。 (この時のことは以前 「フィラデルフィア物語」 に書いている)。

そして、数年ぶりにまたボストンに戻って来た時、僕はなぜか無性に海の近くに住みたいという気持ちが強くて (ペンシルバニア州には海がない) ボストン郊外のウィンスロップという古い小さな町にアパートを借りることにした。 海岸の砂浜の延長といってもいいほど海に近いところにその建物はあって、僕は夕方になると酒の入ったグラスを手にして波打際までやってくると砂の上に腰を下ろして、茫洋たる大西洋を長い時間眺めて時を過ごした。
そのあたりは真夏になると水着姿の若者達で溢れた。 僕はいつか天使のような美しい少女が迷い込んでくるかもしれない、と期待をして入り口のドアをいつも開け放しにしておいたが、迷い込んできたのは近所に住む数匹の猫たちだけだった。

この話の続きといってもいいようなものを、もう2年も前に書いていたのを思い出した。 ・・・  ボストンの冬


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コメント:

*

失礼かもしれませんが、写真もこの話も好きです。
つくろうと思っても、なかなか1人の時間も作れないものです。無い物ねだりなんでしょう。
2012/11/15 [上海狂人] URL #ks8IdFps [編集] 

* Re: No title

上海狂人さん、

一人で寂しい時は誰かといっしょにいたらなあ、と願うのに
いざ、人と一緒にいるときは
今度は一人になりたいと思ってしまう。
人間とは勝手で我が儘なものです。
2012/11/15 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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