過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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恋のレジュメ 1

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朝の情事


ふり返ると・・・
ボストンでの30歳から37歳にかけての7年間が、僕にとって一番苦しい時代だったといえる。
それ以後には二度とそんな時代は来なかったし、それ以前のあの若さと混乱の東京時代でさえ一種の華やかさに満ちていたと思う。 それにくらべると、この離婚と再婚という二大イベントにに挟まれたボストンの7年間は、僕が暗鬱な潮流に押し流されながら漂流を続けた時代だった。 その間に僕は音楽 (そのためにアメリカに来た) に見切りをつけたばかりではなく、壊れた結婚の後遺症にかかっていてそれもかなりの重症だった。 いや、それは正確ではない。 妻との醜い離婚に傷つけられた僕が、自暴自棄になってすべてを棄ててしまったその中に音楽も入っていた、というべきだろう。 そのまま日本に帰ればよさそうなものだったけど、僕は日本へ帰るくらいならこのまま地獄へ堕ちてもいいと思っていた。 妻が象徴する日本と日本人に、僕は目を背けたくなるような激しい嫌悪感を感じるようになっていた。

そんなわけで異邦の地でいきなり孤独のどん底へ突き落とされてしまっていた自分。
男が絶望的に寂しい時にやることはだいたい決まっている。 何かに熱中するか酒を呑むか旅に出るか女と寝るか。
僕はそれを全部やった。徹底的に・・・

何かに熱中するといえば、音楽を捨てたあとの僕に残されたものといえば写真しかなかったから、それに一挙にのめり込むことで一日一日をなんとか生きのびる目的にしようとした。 それがすこしずつ仕事にもつながってゆき、細々と生活を支えながら漂流をし続けた。 カメラのシャターがきれる時の、あの、頬を平手打ちされるような小気味良い音ほどあのころの僕を慰めてくれたものはなかった。 僕は毎日浴びるように酒を飲み、そしてカネの許す限りカメラをかかえて旅に出たが、その旅はどす黒い絶望と微かな希望を両肩に支えたセンチメンタル・ジャーニーだった。

そして女といえば、
僕はあの7年間にたぶん数十人の女と寝たと思うけど、その中でちゃんとつきあってその一人一人をはっきりと思い出すことができる女たちが9人いる。 2年以上つきあった女もいれば数ヶ月で終わってしまった関係もあった。 しかしその中で、僕が命をかけて恋をした(ちょっとオーバーだけど当時はまさにそのつもりだった)、といえるのは5人と限られてしまう。 そしてその5人は、一人は僕が捨て、二人は僕を捨て、もう一人は不可抗力ともいえるような状態で訣別することになってしまった。 そしてあとの一人は・・・・

さっきから階下のリビングルームでテレビを見ている。



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コメント:

* 「赤裸々なところ」

「赤裸々なところ」がこのブログの一つの特徴ですが、

此処までお書きになる、その心境は?その理由(わけ)は?
2013/03/17 [henri8] URL #av6ed.vY [編集] 

* Re: 「赤裸々なところ」

henri8 さん、

私の人生も、競馬でいうなら今最後のコーナーを回りこんでいるところで
そのあとはフィニッシュ・ラインまでの直線コースが待っているはずです。
満足のいく納得のいくラストスパートをかけて
レースの終盤戦を幸せなものにしたい、
そのために自分の過去を整理して現在を見つめていきたい。

というのがそもそもこのブログを始めた心境であり理由だったと思います。
忘れってしまったこと、忘れたいこと、忘れてはならないこと
そんなことを思い出しながらのメモワールと言えるかもしれません。

答えになりましたか?
2013/03/17 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

生き延びるために捨てられたのなら、
その女性たちはきっとそれでいい。と思うのだと思います。
深い絶望をやりすごすのに、男には女、女には男。
人間で開いた穴は人間でしかうめられない。
悲しみを知る人は信用出来ないけど、ひかれます。
2013/03/17 [ムー] URL #qiVfkayw [編集] 

*

初めまして。
僕はSeptember30さんとは比べ物にならない程甘っちょろい北米生活を送っておりますが、まだまだ悪戦苦闘中であります。
いつも素敵な写真のお話を拝見させて頂いております。
今回のお話、とても深かったです。ありがとうございます。
2013/03/18 [H.OURL #HfMzn2gY [編集] 

* 過ぎたこと、訪いくること


‘THE GIFT’

  No strings of pearls in a velvet glove
  The thing I long for is the gift
  Of love

  ベルベットの手袋につつまれた真珠を つなぎ留める糸はいらない
  約束なんて 何もいらないの
  ほしいのは ただ ギフト
  神さまがくれた この恋のひとときだけ 


大好きな歌です。
訳してみると、刹那的というよりは深いカルペディエムを想わせる歌詞で、
今回の記事にはピッタリだと思いました。

Septemberさんの来し方は、
まるでこの真珠のように、バラバラのひと粒ずつとして知ってきたのだけれど、
少しだけ糸を通してみてくださったんですね。
もっとも謎めいていた時代は、、、やっぱり、魅惑的でした。

それにしても、なんときれいな、色っぽい写真なのでしょう! ベルニーニを思い出しました。
Septemberさんがこういう物語を撮られるなんて、意外に過ぎて、驚いて、
ちょっとジェラス感じつつ(笑)、珍しいですよね、モナさんのときの「砂の女」以来かしら。

Septemberさんへの印象が、何かまたひとつ塗り変わった感じです。

2013/03/18 [belrosa] URL #eJbgdmWg [編集] 

* Re: 「赤裸々なところ」

「過ぎたこと、過ぎて行くこと」の精神、
理解していましたが、お答えを頂き、再認識致しました。

昨秋のお誕生日後のあの自写像の発表、
September30氏の新たな決意を感じています。

毎年、手帳に書いておく言葉、

「子曰く、詩三百、一言を以て之を蔽う。曰く、思邪無し、と」(詩編)
このブログの魅力です。
2013/03/18 [henri8] URL #av6ed.vY [編集] 

* 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2013/03/18 []  # 

*

数十人とって、、、。

他に好きな人を作れば過去の人は忘れるよ。

と言われましたが、いやなかなかそうもいかず。
2013/03/18 [micio] URL #O/XG6wUc [編集] 

* Re: No title

ムーさん、

悲しみを知る男を信用できた時に
女はその男を愛しているのでしょうね。
2013/03/18 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: No title

H.O さん、

ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。
2013/03/18 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: 過ぎたこと、訪いくること

belrosa さん、

歌の場合、メロディーと歌詞が両方とも秀逸な曲ってわりと少ないですよね。
この曲も最初メロディに惹かれて、歌詞を聞いてとても気に入ったので、
いつか訳してみたいと思ったのですが
belrosaさんに先を越されてしまいました。
ひょっとしたら、もうご自分でステージで歌っているのではないのですか?

私のブログも3年目に入り、
いままでバラバラに書かれてきた記事たちを
一貫した自分の生きざまとして繋げていく時期に来たようです。
記事中にあちこちリンクを付けることでそれをしたわけですが
読む人にとってはうるさく感じる人もいることでしょう。

写真については
女の肉体は写真などに撮るものではなく、男が触れるためにそこにある、
という私の美学はいまも変わりません。
2013/03/18 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: Re: 「赤裸々なところ」

henri8 さん、

実のところ私は論語の教えに背き
いまだに邪念だらけの生活を送っている毎日です。
いつの日か素直な気持ちで生きれるようになった時が
このブログの終わる時かもしれません。
2013/03/18 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: 三千世界の烏を殺し

鍵コメさん、

あの時期の私の体験を女性の側から言葉にしていただいた文章に感動しました。
何度も読みなおして
長い間ぼんやりとしか感じることができなかったものが
今はっきりと目の前に現れてきました。
ああ、そうだったのか、そういうことだったのか、
とさらに哀しくなりましたが、同時にほっと心が緩んだのも事実です。

ありがとう
2013/03/19 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: No title

micio さん、

英語に "rebound" という言葉があります、
これが俗語的によく使われるのは
恋に敗れた人がその傷を癒すためにすぐ次の恋を探す時に使われます。
その結果は悲劇的な結果に終わることが多いのです。
「時」が解決してくれるのを待つしかありません。
2013/03/19 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* 女につけられた傷は・・・

あら!ご明察です、‘THE GIFT -Recado Bossa Nova-’
毎回ステージに出すレパートリーなので意訳もしてありますが、
Septemberさんイイ勘してますね~!

それが、、、
Vシネマという家庭用映画の中の作品で使っていただいたため、唯一録音してある歌でして、
今、You Tube でのアップを準備している最中なんですね。
ちょうど同じタイミングだったので、ちょっとビックリしました。
Septemberさんとはなんかこういうことが多い気がする。(笑)


恋ってなんでしょうね。

なくてもいられる人と、なければ生きられない人と、
ひとには二種類あるような気がします。
どちらが幸せなのか。。。

「男につけられた傷は、男でなければ癒せない」
そんなセリフを書いたことがあります。
わかっているのは、恋の上書きを止めてくれた人が本当のひと…ということ。

男の恋には、そんなことはないのかしら?



2013/03/19 [belrosa] URL #eJbgdmWg [編集] 

* Re: 女につけられた傷は・・・

belrosa さん、

ライブでご自分が歌う歌は、訳した歌詞を英語で歌う前に聴衆に朗読する
というようなことを以前のコメントに書かれていたのを覚えていたので
この曲もたぶんそうなのでは、と推測したわけです。
You tube に載った時はぜひ聴かせていただきたいです。
belrosaさんはどんな声の持ち主だろう、と興味津々です。

恋ってなんでしょうね。
「男につけられた傷は、男でなければ癒せない」 - belrosa
「女につけられた傷は、女には癒せない。 新しい傷が古い傷を上書きしていくだけのことだ」 ― september30
2013/03/19 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

ああなんというか、そんなに激しい恋はしたことないけれど。いつもじぶんの恋じやあないか、とかんじてしまいます。前世のどこかでおあいしたかなあ。
2013/03/19 [上海狂人] URL #ks8IdFps [編集] 

* Re: No title

上海狂人 さん、

前世でお会いしたかもしれません。
あるいは
恋にパターンがあるとすれば、そんなに多くはないので
誰もが似たようなことをしてきたのかもしれなせん。
つきつめれば、恋って単純なものでしょう。
2013/03/20 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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