過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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スペインの旅 - ガウディとフラメンコ (2/2)

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スペインの旅は予定を立てる段階でさんざん迷わされた。
ガウディに会うのはバルセロナと決まっていたけど、フラメンコはやはり本場のアンダルシアで聴きたい、と思っていたから最初はバルセロナからマドリッドを経由してコルドバ、セビリアまで回るという大げさな計画をたてながら、前後の日程からどうしてもそれは無理となり、結局バルセロナに留まることになり、そこでフラメンコを鑑賞する結果になった。 その代わりバルセロナにゆっくり滞在できることになったので、駆け足の忙しい旅の嫌いな僕にとっては必ずしも失望というわけではなかった。


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フラメンコは踊りと唄と楽器(ギター)の三者が一体となった芸術で、外国人のわれわれはどうしても踊りを主役に見てしまうのは仕方がないとして、僕自身は踊りと同じくらいに惹かれたのはその唄だった。
老年に近い男達の、美声とはといえないが腹から搾り出されるような太い声は、ジプシーの祈りのようにも聞こえた。 そしてそこには素朴な生命力や悲しみの裏に強い土の匂いがした。 



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フラメンコのダンサーは豊満な体つきの女性が多い。 しかも若い子は少なくて、いかにも人生や男の經驗をさんざんなめて成熟した女たち、という感じがする。 ドレスの裏に隠された柔らかい身体と強靭な筋肉のアンサンブルには不思議なエロチシズムがあった。
そしてまるで少年のような若さと端正なマスクを持つ相手役の男性ダンサーに、僕は嫉妬を感じていた。


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踊りの最中に一人のダンサーと眼が合った。 そしてまた合った。
何度も合った。。。。
彼女の挑むような、訴えるような強い視線から僕は眼をそらすことができず、 胸の鼓動が高くなっていった。 踊り終わった彼女が椅子に腰掛けてまたこちらに視線を投げてきた時に、僕は勇気を出してカメラを顔まで持ち上げていた。

あれは何だったのだろう? 恋? 誘い? それとも戯れ? いたずら?  
温かいバルセロナの深夜、あの眼を思い出しながら雑踏の中を歩きまわり、 女というものは、行きずりの旅人の心さえこうしてつかの間の虜にしてしまうことのできる不思議な生きものだと、あらためて思った。

(終)



Jose Reyes




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コメント:

* 赤いドレスの女

いいですネ~、なんて蠱惑的なまなざし。

そうやすやすとは降りていかないわよ、欲しかったら昇ってらっしゃい
そんな、高い女の顔が、
同性から見てもふるいつきたくなるほど魅力的です。

女性読者としては、その男性ダンサーのお顔もぜひ拝見したかったところですが(笑)
そうか、September さんは、こういう高い感じの女がお好みなのですね。
うん、男も女も、本物のプライドのある人は素敵です。


フラメンコは、実は手の踊りですよね。

以前の稽古場の隣がフラメンコスタジオで、何度か先生の公演を観たのですが、
あの手!
魔術的に繰り出される指づかいの妖しさは、
いつのまにか観るものの魂をめくるめく恍惚感で絡めとっていってしまって…

幻惑されるってこういうことかと、忘れられない体験になっています。

2013/05/17 [belrosa] URL #eJbgdmWg [編集] 

* Re: 赤いドレスの女

belrosa さん、

高い女を自分のレベルまで引きずり降ろす・・・
男としてこれ以上の歓喜はありません。
もっとも、高い女といってもいろいろあって
プライドの高い女性、防御心の高い女性、自意識の高い女性、
どれもわれわれ男性にとってはハードルが高くて難関です。(笑)

フラメンコは手の踊り・・
じつにその通りです。
私の一連の写真も顔ではなくて手に焦点を合わせるべきできだった
と気がついたのはあとのまつり。
プロの写真家ではない、ただの男にしか過ぎない悲しさです。
2013/05/18 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

最近ロマンティックな話が多いですね。フラメンコは咽せるような色気がたまらないですね。しかも女性の生命力の強さが。ぜひアンダルシアで味わいたい。
2013/05/18 [上海狂人] URL #wuZV7DPc [編集] 

* Re: No title

上海狂人さん、

私もどうしてもアンダルシア地方に行ってみたいという気持ちが強く、
この旅の数年後にスペイン南部を廻ってポルトガルまで車で足を伸ばす予定を立てながら
同行者たちの希望で(多数決)その年はまたイタリアに行くことになったのは残念でした。
いつかきっと・・・
と思っています。



2013/05/18 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

昔、アルハンブラ宮殿の反対側の洞穴に見に行きました。
ジプシーの一家で、
お婆さんから子供まで踊っていました。
なんて言うか、血の違いだー。と感じました。
同じ女とは思えない肉体的な迫力、眼力。
足を踏み鳴らし踊りながら男と交わす動物的な性愛の表現。

日本人だなー自分は、と心の底から感じました。
一緒に見に行った男性に感想を聞いて見なかったのが残念です。


2013/05/20 [ムー] URL #qiVfkayw [編集] 

* Re: No title

ムーさん、

実は私はフラメンコを見ながら
自分にも同じ血が流れてるように感じてしまいました。
眠っていたその血が唄と踊りとギターに揺り起こされて
熱くたぎっていました。

これだけラテン系の国々に惹かれるのはそのせいかもしれません。
2013/05/21 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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