過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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愉快な葬式、あるいはアメリカ人とユーモア

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24年前のこと。
妻の姉に当たるスーザンが40歳になった時、彼女の7人の兄弟姉妹たちは誕生パーティのかわりに彼女の葬式を出すことに合議決定した。 スーザンはこの家族の8人の子供の中では最年長で、そのすぐ下の妹が僕の妻といういうことになる。 葬儀会場は妹のジュリーの屋敷と決まったあと、親戚一族や知人たちに葬儀の告知が郵送された。
葬儀当日には、当事者のスーザン以外は参列者は喪服で現れた。 僕は Press(報道班) と大きく書かれた腕章を付けさせられて首からカメラを下げて登場した。 つまり今日の写真係を仰せつかったのである。



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スーザンのキャスケット(棺) には生花が飾られ壁に立てかけられた。 (念のためにいうとスーザンはもちろん中に入っていない)
牧師に扮した弟のダニーがミサを司る。
庭の隅に置かれたスピーカーからオルガンの響きが流れ、賛美歌を歌う参列者のあちこちからすすり泣きが聞こえる。
(そして笑い声も)



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右端のダニーとジュリーはこの場で不謹慎な笑顔など見せるべきではなかったのだ。
左端の母親を見てごらん。 アカデミー賞レベルの演技だった。 そして後ろで沈痛な想いに浸る父親さえも。




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黒い喪服姿の妹キャサリンは役に入れ込み過ぎてほんとうに泣き出していた。 (ふだんから感情表現の激しいひとである)
そして、そのキャサリンをなだめている叔父ジョーも、スーザンにキスをする叔母ヘレンも、黒のベールで後ろ姿を見せる叔母ジェーンも、3人とも今はもうこの世の人ではない。


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墓石の前で追悼文を読むのは義弟(キャサリンの夫)のジョージ。
ジョージの本職は地元のラジオ局のアナウンサーだが、ゲイに扮して身体をくねらせるのには僕も我慢ができず、厳粛なミサの最中につい声に出して笑ってしまった。 (彼の右手小指に注意)


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普段はマッチョが看板の弟マークはこの日は女性のドレスに身を包んでいたが、裾を持ち上げてパンティストッキングの太ももを見せながら僕を誘惑しようとした。
マークは24年後の現在、フロリダで家庭を持って3人の娘の父親になっている。 その彼のところへ、僕は来週からしばらく遊びに行ってくるつもりだ。


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コメント:

*

これは凄くいいですね。
主役も主催者も参加者も、みな相当に高度なセンスを持っていないとこういうことはできない。
素敵な一族ですね。羨ましいです。
私もやってもらいたいなあ。
2013/05/26 [micio] URL #O/XG6wUc [編集] 

* Re: No title

micio さん、

誕生パーティを葬式にしてしまうというようなユーモアが
日本で可能なのかどうか、そのへんを知りたいです。
親しい友人間でならともかく親類一族を含めてしまうと
必ず目をひそめる人がいるのは間違いないような気がするのですが・・・
2013/05/26 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

まず無理なのでは。
死を穢れと考えているうちはダメだと思います。
せいぜい生前葬かな。
つまらないですね。日本人て。
2013/05/27 [micio] URL #O/XG6wUc [編集] 

* Re: No title

micio さん、

そういえば日本には生前葬というのがありますね。
私の理解する範囲では日本の生前葬は
風習というよりも芸能人が自分の過去に区切るをつけるための
自己満足的な催しで、ユーモアが基底にあるものとは違う
という感じがあるのですがどうでしょうね。



2013/05/27 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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