過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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夫婦げんか

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海辺の休暇
St.Petersburg, Florida USA



つい最近、といってももう3週間以上前になるけれど、フロリダに住む義弟のところへ遊びに行ったきた。
フロリダといえば、冬という季節を嫌う人種が避寒地としてアメリカ中から集まるところだから、この異常な暑さの中でさらに暑い場所へ遊びに行くというのは一般的に見れば狂気の沙汰ということになる。 冬は嫌いではないくせに寒さに弱い僕なんか、本来なら真冬にここへ来るべきなのだ。 毎年のようにそう思いながら、いつもうかうかして、そろそろ休暇を取りたいなあと思い始める頃にはもう夏になっている。 それに、なんといっても休暇は夏だよ、と決め込んでいるようなところもある。 バカンスという語自体にすでに灼熱の太陽の輝きが含まれていると感じるのは僕だけかもしれない。

義弟のマークと嫁さんのローラはいつものように大歓迎してくれた。
彼らはなかなか気持ちのよい夫婦で、巨大な一族の中で僕と気が合うという点では数少ないカップルと言えるかもしれない。 だからここに来ると気を使わないで我儘も言えるし、お客様扱いにされてあれこれと勝手にプランを立てられたりすることもなく、適当に放って置いてくれるのも嬉しい。 僕が一人でうろうろしたいという奇癖の持ち主だということを、彼らはよく承知しているのだ。
三人の娘があって、上の二人は大学、下の子は高校生である。 学校はもう夏休みに入っているのに上の二人は帰省しないで、離れた大学の町でアルバイトをしているので、家にいるのは高校生の子だけだった。 そのせいで、以前来た時は元気良い三人の女の子たちの声で華やかだったこの家は、いまはひっそりと静かだった。

マークとローラはふだんは仲が良いのに時々喧嘩をする。 原因はいつも些細なことである。 車で目的地へ着くまでの道順だとか、レストランの選択だとか、待ち合わせの時間や場所を決める手順だとか、買い入れる酒の銘柄だとか、テレビで見る映画の決定だとか、他愛もないことだ。
男同士だからということでマークの側に立つつもりはさらさらなくて、ごく中立的立場から僕が見る限り、大体いつも旦那の言い分の方が筋が通っていると思われることが多い。 といってもちろん僕がそばから口を出すことはなくて、黙って終わるまで放っておく。
思うに、ローラにはコントロール癖のようなものがあるようだ。 旦那が一生懸命にやっていることを、任せておけばいいと思うのについあれこれと口を出さないではいられないらしい。 決して批判的な発言というのではなくて、親切心からヘルプをしようとしているのはよくわかる。 ただそのために、すんなりいくべき簡単なことが不必要な迷路に入り込んでしまうことがある。 大抵の場合はマークは黙って聴いているだけなので喧嘩になることはないが、それがある一線を超えるとマークの反撃が開始される。 そして二人のやり取りが徐々にエスカレートして行って口論はますます佳境に入っていく。 旦那の浮気だとか嫁さんの金の使い過ぎだとかの深刻な争いではないので、観戦しているこちらも気が楽といえば楽である。

今回の滞在でもハイウェイを移動中の車の中でそれが起こった。
いつもなら知らん顔をして放っておく僕だったが、ハンドルを握って時速120キロで疾走中のマークの激昂ぶりが、これは我々全員の生死に関わるかもしれないと思われる状態に達した時に、僕はつい口を出してしまった。
「おいおい、お前さんたちの睦言を聴いていたらやたらと喉が渇いて腹が減ってきたよ。 どこかで下りて飯にしようぜ」
それで二人が笑い出して停戦にしてくれたのでホッとした。

そこで我々は次の出口で下りてランチにしたのだが、 レストランの選択は、また戦争が再開しては大変なので僕が勝手に取り仕切ることにした。
ランチは僕がご馳走するから、という条件付きで。


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コメント:

*

あはは。お腹が空いているから、苛立ってしまうのでは?
仕事でUKとやり取りをしているのですが、お昼前と後では別人のようになり、いきなり話がまとまったりします。
っていっても、こちらも夕飯前なんですがね。
2013/07/26 [micio] URL #O/XG6wUc [編集] 

* Re: No title

micio さん、

そうそう! お腹が空いていたというのは絶対ありますよ。l
ビジネスの世界でそれが影響することは私も経験しました。
特に私はその性癖が強くて、腹がへると極端に機嫌が悪くなるので、誰もそばに寄って来ません。
仕事場でも家庭でもそうでした。
2013/07/26 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

September30さん、こんにちは。

今回のお話を身につまされる思いで読ませていただきました(笑)
同じようなことがうちでも時々起こります。
普段、私はあまり口を出さない方なのですが
たまにどうしても我慢できず、一言添えることがあり
それがきっかけでちょっとした言い合いなったりします。
コントロール(親切心でヘルプ?お節介?)したがるのは女性の方に多くみられるのでしょうか・・・
これからは下っ腹に、うんっと力を入れて余計な口は出さないように気をつけなくっちゃ、と思いました。
2013/07/28 [Mika] URL #GmSQBN1s [編集] 

* Re: No title

Mika さん、こんにちは。

日常生活の細かなところに気がつくのは、概して云えばやはり女性のほうでしょうね。
でも夫婦という形のロールプレイのゲームでは
お互いの役柄を尊重することがルールとして必要だと思います。
われわれ亭主族も、時には主役を演じてみたいと思う時はあるのですよ。
そういう時は黙ってやらせて欲しい。
あなたのヘルプが必要のときは、かならず質問というかたちで
あなたに帰ってくるのはまちがいありません。
2013/07/28 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* 海辺の休暇のドラマ

septemberさん、

このお写真、登場人物の視線の先がばらばらで、そろって不機嫌そうですが、どのようなシーンだったのでしょうか。カメラを向けても大丈夫だったというところも含めて謎だらけです。

それから、Mikaさんへの「あなたのヘルプが必要なときは、かならず質問というかたちであなたに帰ってくるのはまちがいありません」とのお返事に横からちゃちゃを入れるのをお許しください。

主役を任せた方がいい場合もあるというのはわかりますが、「明らかにヘルプが必要なのにそれを認識していない」というときはどうしたらいいですか?  
2013/07/30 [うらら堂] URL #PTRa1D3I [編集] 

* Re: 海辺の休暇のドラマ

うらら堂さん、

この写真はおっしゃるように、それぞれがそれぞれ別の世界に生きている250分の1秒を
シャッターが切り取ったという意味で、登場人物は少ないとはいえ
私の好きな「群像劇」となりました。
写真の世界でいう 'juxtaposition' というやつです。
カメラが残酷に記録するのはいつも美しいものばかりとは限りません。
そこから物語を引き出すのは見る人の自由、ということですね。

「明らかにヘルプが必要なのにそれを認識していない」
と判断するのはもしかしたらそう判断する側の傲慢さかもしれません。
そういう場合は私は
「だいじょうぶ? 何か私にできることある?」 と投げかけてみて
あとは相手の反応次第でしょう。
相手の答えがNOなら、あとは放っておきます。
失敗することで学んでいくということは、我々がふだんいつも経験していることではないでしょうか。
2013/07/30 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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