過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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風習の違いということ

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近所のパーティでビールを飲む男
Somerville, Massachusetts USA


もう5年も前になるだろうか。
この写真を以前のブログに載せた時、日本から数人の読者がコメントを付けてくれた。 ところがコメントの内容はどれも 「ビールをラッパ飲みしている男のこと」 ではなくて 「男がビールをラッパ飲みしていること」 についてだった。 人前でビールをラッパ飲みするようなことだけはしたくない、と書いた人もいれば、そんなことが日常的にできる階級層の人間を捉えた、社会派のドキュメンタリーとしてこの写真を見た人さえいた。

これには慌ててしまった。 そして考えさせられた。
長年アメリカに住んでいるばかりに、日本の風習を全く忘れていた自分に気がついたのである。
アメリカではビールはラッパ飲み、と決めている人達が実に多い。 (アメリカには大瓶のビールはない) 特に若い世代に多いようだ。 家庭ではもちろんだけど、パーティやバーなどで、それがとくにかしこまった場所でもない限りビールはラッパ飲みなのだ。 その辺の大衆的なレストランやバーではビールを注文するとウェイトレスが必ず、「グラスを付けますか?」 と訊いてくる。 ほとんどの人が "No" と答えるようだ。 僕自身はグラスを持ってきてもらうことが多いが、それはグラスで飲んだほうがビールの味が良い、というそれだけの理由である。

思い出したのは、以前日本に帰国した折に、それほど親しくない知人の家での野外パーティに招待された時のことだった。 暑い夏の盛りで、普段はほとんどビールを飲まない僕も、そこに冷やしてあったビールの小瓶を取り上げて何気なしにラッパ飲みしてしまったのだ。 それを見た当主の奥さんが、「あらあら、まあまあ、グラスがありますのに・・」 と呆れた口調で云うとあわててグラスを持ってきてくれた。 あとで何を言われたかは知る由もないけれど、少なくとも彼女に対する僕の印象が落ちてしまったのは確かのようだった。

考えてみるとこういう風習の違いは、大したことじゃない、で済まされないことが多い。 それが日米間のビジネスの世界だと大変なことになる場合がある。  まとまる話がなかなかまとまらない原因が、ビジネスのマナーや話の進め方などの些細な風習の違いから来ていたということが何度もあった。 僕がアメリカの企業に雇われた理由の一つは、そんな違和感を緩和するという役目もあったのは否めない。

というわけで、僕が今日云いたかったのはビールの飲み方ウンヌンではなくて、風習の違いは時として思わぬ結果を招くことがある、ということなのだった。 世界がどんどんとグローバル化して行く中で、これは見逃せないことだ。
お互いの風習の違いを理解するのは簡単なことではないけど、大切なのは、違いが存在するのだということをお互いが常に意識することじゃないのだろうか。

あ、ところで、
ビールをラッパ飲みすることは (まだ拘るか!)、あとの洗い物が少なくなるという大きななメリットがあるのです。


人がいちばん気にするのは
人間性に反する行いではなく
風習や習慣に反する行いをした時だ。
プルターク






* 風習の違いは今まで何度も書いた。 例えば 『レディファーストの国 アメリカ』


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コメント:

*

ワイングラスをシツコクシツコクシツコク回す友人と暫く距離を置こうと考えている私は間違っているのでしょうか?
2013/08/25 [bowlingalone] URL #- 

* ビール文化

最近はラッパ飲みする片手に掛かる瓶の重さも気にならなくなりました。日本ではそんなことしたこと、そういえばなかったなあ。と。

フランスで勤めていたチュニジアのおじちゃんが、入れたての日本の緑茶に砂糖を入れまして、それにドン引きしてから約数年。なんと今の彼が緑茶に砂糖を入れるのです。もう、これは逃げられないなと、われながら感じ、覚悟をきめました。今では砂糖入り緑茶も私の中ではアリなのです。。
2013/08/25 [inei-reisan] URL #ZoAvoCE2 [編集] 

* Re: No title

bowlingalone さん、

あははは、
そういうことをする友人に「なぜ?」と訊いたり、皮肉を云ったりしない、ということ自体
距離はすでに置かれているのではありませんか?

とはいえ、
友人のその動作が真からのワイン鑑賞者としてなのか、
それとも「そうするものらしいし、カッコいい」というようなものなのか?
前者なら尊敬に値するし、後者なら彼の俗物的な面の表れ、と私なら解釈するかも知れませんね。

実は私自身、初めて飲むワインはグラスで何度か回してからゆっくり鑑賞しているようです。
だからといってそれだけで私との距離を置かないでくださいね。(笑)



2013/08/25 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: ビール文化

inei-reisan さん、

おかげでビールの御本家ドイツでもラッパ飲みするのだ、とわかりました。
アメリカだけではないか、と思っていたから。

砂糖入り緑茶ですが、
私も最初の頃、緑茶に砂糖を入れたり、ご飯に醤油をかけて食べるアメリカ人を見ると
許されない大犯罪のような気がして、目を三角にして怒ったものです。
でも考えてみれが、自分が美味しいと思って飲んだり食べたりするのなら
何をしても構わない、と思うように今はなったようです。
ただこの人たちが日本でそれをやらないように、とは切に願います。彼らのために・・・
2013/08/25 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

習慣の違いは国内でも世代間でも起きますね。
北海道ではお赤飯のアズキを甘納豆で炊くと聞いたときは仰天しました。
母はトマトやスイカに塩を振りましたが私はしません。
ビールのらっぱ飲みはライムを入れたコロナビールだけします。
これはなかなかイケます。
2013/08/26 [ムー] URL #qiVfkayw [編集] 

* Re: No title

ムーさん、

そうそう、食べ物に関してはそれこそ本が一冊書けるでしょう。
すき焼きの関東風、関西風の違いとかね。
あとは正月の雑煮がお澄ましになるか味噌が入るか、とか。

それからこれは私だけの習慣だろうと思うのは
ラーメンに必ずお酢をいれること。
これは子供の頃からそうしていました。

先日娘が1周間帰省した時に家中でやったのが
ライムの一片を押し込んだコロナのラッパ飲みでした。
日本に浸透してるとムーさんに聞かされて、
日本人はそこまでやるか! と驚きです。
(ふだんビールを飲まない私が飲むのは、コロナかギネスと限られています)
2013/08/26 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* 飲酒運転

さすがに日本でもコロナはラッパ飲みしかないでしょうね。私は自宅で飲むようなことはないけど、メキシコ料理屋さんに行ったら、やっぱりコロナです。

ところでビール&習慣の違いで思い出したことがあります。ある夏の午後、友達が運転するトラックに乗っていたら、ラジオから「夕方家に帰るときにビールを飲みながら運転するのはやめましょう」というメッセージが聞こえてきました。時は30数年前、場所はバーモントの田舎道なのだけど、足元にはビールの空瓶がころころ倒れていたから、冗談でも無駄な警告でもなかったと思われます。飲酒運転といってもいろいろある(あった)のですね。

2013/08/26 [うらら堂] URL #PTRa1D3I [編集] 

* Re: 飲酒運転

うらら堂さん、

この写真が撮られたのは
うらら堂さんが時折ヴァーモントからボストンに回遊に出て来られたのと
同じ時期ですね。

夏の夜、アメリカの田舎道を恋人のトラックに乗って
カウンティフェアの ferris wheel に乗りに行くうらら堂さん。
まるでジェームス・ディーンの「エデンの東」です。
観覧車の中での初めてのキスもあったのだろうか?

2013/08/26 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

あ〜、ビールのラッパ飲みは何の違和感もなく普通にやってました。自宅に(日本人の)お客さんが来ている時にも、グラスを出す事なく瓶ごと出していました。瓶の色や形、ラベルのデザインなどを見ながら話しが盛り上がる事もあるのですよ・・・と苦し紛れに言い訳。

親しい友人達だから許されているだけで、実はマナー違反だったのですね。理由はおっしゃる通り、洗い物をなるべく減らすためです!
2013/08/27 [Endless] URL #d2yN2EXI [編集] 

* Re: No title

Endless さん、

ヨーロッパでよく経験したことですが
どこのレストランへ行ってもテーブルはどこでもかなり小さいのですね。
その小さなテーブルに必ずワイングラスと水のグラスがセットにして置いてあります。
だから、4,5人でテーブルを囲むと、もうそのグラスだけでテーブルがいっぱいになってしまう。
それ以外に塩、胡椒、砂糖、ヴィネガーなども綺麗な容器に入って並んでいるうえに、
ワインをボトルで注文したりペリエなどを取ったりすると
さらにそれもビンで出てくるから、
出てきた食事を置く場所なんてほとんどないんです。

ビールのラッパ飲みとは関係ないことだけれど
グラスの節約ということから、ふとそのことを思い出していました。
2013/08/27 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

その奥さんは、Septemberさんの印象が落ちたのではなく、客にラッパ飲みさせたという自分の手落ちに慌てたのではないでしょうか。

これってきっと、ビールの中身にもよるのではないでしょうか。アメリカのビールはラッパ飲みがおいしいのかしら。日本のビールはキンキンに冷やしてぐいぐい飲んで喉越しを楽しみますから、ラッパ飲みでは楽しめないのかも。日本で見掛ける小さなビールグラスはドイツではちょっと考えられませんし、大きなグラスのビールを飲み干さずに延々と話し込むドイツのスタイルを日本のビールでやったら、とても飲めたものではないでしょう。
ドイツでも少なくとも私の周囲では「ラッパ飲みする(してもいい)ビール」「グラスで飲むビール」が分かれています。特に酵母入りのビールはグラスに注がないとおいしくありません。あと、若者のパーティーや映画館などではラッパ飲みが多く、それに適したビールが提供されます。

風習の違いと言えば、ドイツ人(欧米人皆そうでしょう)は立ってシャワーを浴びますが、日本のお風呂場でそれをされると、お風呂のお湯は汚れるし壁はびしょびしょになるし、ましてや大浴場では大顰蹙を買いますよね。しょっちゅう反射的に立とうとするのを抑制して習慣づけるのに苦労しました。
2013/08/27 [どくとるくま] URL #m.2.LkcQ [編集] 

* Re: No title

どくとるくまさん、

それが、奥方の手落ちではなかったのですよ。(笑)
ビールを冷やした桶のそばに、ちゃんとグラスが置いてあったから。
芝生に寝転んでビールを飲むのに、瓶とグラスを両手に持つよりは、と
無精を決めただけなのでした。

キンキンに冷やした日本のビールは私は苦手です。
せっかくの味が殺されてしまうから。
大好きなギネスの黒ビールなど、室温より少し冷えたぐらいのを飲むのが私の好みです。

アメリカでもドラフト、つまり生ビール類は最初からグラスやジョッキで出てきますね。
しかし記事にも書いたように、ビールはグラスで飲んだほうが美味しいという自説は曲げていません。

シャワーの話は・・・
実は初めて知りました。
日本の友人宅で私はいつも立ったまま浴びていたので
たしかにそこら中がビショビショになり、その後の始末を奥さんが大変だったろう、
と冷や汗が今になって出てきました。
座ってシャワーを浴びる、ということにはまったく思いもよりませんでした。
これからはそうしなくちゃ。(笑)

いろいろと有益なアドバイスを頂きましたね。
ありがとう。
2013/08/27 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

風習という観点からはそれて、ビールについてですが、
ベルギーには凄い種類のピルスナーがあり、それぞれに専用のグラスで飲みます。
理由は、勿論そう飲むのが一番美味しいから、だそうです。
グラスの形が本当に様々で、なかなか別の楽しみ方ができますよ。

ところでこの男性、以前はビール柄のシャツで登場してませんでしたっけ。
んん、それとも記憶違い、かな。
2013/08/27 [fumie] URL #LGP0CJfA [編集] 

* Re: No title

fumie さん、

それぞれ形の違うグラスで飲むというのは楽しそうですね。
私の町にもビールを専門に飲ませる大きなバーがあって
外国産のビールなど他で飲めないものがここでは飲めます。
小さなショットグラスで(タダで)試飲をさせるのでビールに目がない人には
たまらないらしいですが、私自身はあまりビールを飲まないので・・・

fumieさんはたしかオランダの南部、ベルギーに近い町に何年かお住まいだったのですね。
酒がほとんど飲めないというfumieさん、なんというもったいなさ!

ビール柄のシャツを着たカラー写真の男は違う男です。
2枚の写真の間には20年の月日が流れました。
2013/08/27 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

どくとるくまさんとfumieさんがグラスのことを書いておられますが、日本で「一口ビールグラス」と呼ばれているグラスのような物のを、シカゴのドイツ系のレストランで見たことがあります。

ただ、もちろん、ちびちびついで飲むというのではありませんでした。飲み比べセットというか、4オンスくらいのグラスで5種類くらいのビールが一度に出てきて、その中からお気に入りを見つけてねという趣向でした。ドイツではよくあるやり方なのかと思っていたのだけど、そうでもなさそうですね。

Septemberさん、残念ながら、観覧車にはたどり着きませんでした。ビール瓶はがちゃがちゃ鳴るわ、スカンクを轢きそうになるわで素っ頓狂なドライブだったし。でも...そうですね、トラックも場面に恵まれさえすればとってもロマンチックな乗り物です。
2013/08/27 [うらら堂] URL #PTRa1D3I [編集] 

* 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2013/08/27 []  # 

* Re: No title

うらら堂さん、

ああ、その試飲セットをやってるところは私の町にもあります。
よく試すのはビールではなくてワインですが、なかなか楽しいものですね。
ところでドイツのオクトーバーフェストの記事などでよく見る巨大なジョッキ、
よくもまああれだけの量を飲めるものだと感心します。
そういえばわが町のオクトーバーフェストの時期がまたやってきました。
(ドイツからの移民が多いのです)
秋の到来を感じさせる行事の一つです。

行事といえばカウンティフェアもその一つ。
確かもうすぐです。
観覧車で思い出すのは2年前に帰国した時に横浜のあの有名な大観覧車に
ある女性といっしょに行って切符を買ったあとで、
ものすごい長蛇の列を見て気を削がれて乗るのを止めたことがありました。
あの時の切符は、彼女はあのあと誰かといっしょに使えたのだろうか?
2013/08/27 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

鍵コメさん、

質問の答えは私信にします。
2013/08/27 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

観覧車回れよ回れ想い出は
君には一日(ひとひ)我には一生(ひとよ)
(栗木京子)

その方は、今でも切符が使えなくて、乗るはずだった観覧車からの眺めを思っておられるかもしれません。
2013/08/29 [梟サロン短歌部] URL #H6hNXAII [編集] 

* Re: No title

梟サロン短歌部さん、

いつの間に短歌部ができていたのですね。(笑)

栗木京子さんの歌、とても好きです。
切ない女の気持ちがいっぱいに詰まっている。
読んだあと、
いつかあの女性とまた会うことがあれば、
かならずあの観覧車へ乗ろうと決心しました。
2013/08/29 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

ビールは陶器で飲むのが一番美味しいと思っています。
見た目はガラスの方が美味しそうですけどね。(笑)

レディーファーストのお話、沖縄でのお話も読みました。
ぜひSeptember30さんに今の沖縄にも住んでみてもらいたいです。
ちなみに今も日本本土のことを内地と言いますよ。
2013/08/29 [ryo-nURL #- 

* Re: No title

ryo-n さん、

どうせなら自分が一番良いと思うやり方で飲んだり食べたりすべきでしょうね。
ガラスで思い出したのですが
なんといっても私が大嫌いなのはガラスをトップに敷いたテーブルです。
物を置く度に立たてるあの音が神経に響いてたまりません。

沖縄は帰国したらまずもう一度行ってみたい場所のリストの上位に入っています。
あそこにはアンリさんという読者がいらっしゃるのですが
最近はどうされたのだろう?
2013/08/30 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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