過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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うさぎちゃん、こんにちは

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不思議の国から来たウサギ



1月21日(火) 快晴 気温 零下18°C

厳しい寒さが続いている。
昼間は雲ひとつ無い真っ青な空があるのに、冷たい風が吹いていて寒がりの僕はどうしても外に出る気が削がれてしまう。 もし外に仕事を持っていればそんなことは云っていられないので、家で仕事をすることの贅沢さを今更のように実感する。 その代わり、完全に運動不足になっているのを脳も身体も感じていて、毎日ぶくぶくと肥ってきているようないやな錯覚に襲われる。 
それで今日は夕方近くになって何日かぶりで犬を散歩に連れて行くことにした。 このところ犬のことは妻に任せきりだったのだ。 勇敢にも零下18度の世界へ出て行くことは僕にとっては大決断だった。 ジーンズの下に友人が日本から送ってくれたスパッツをはいて(Mさん、ありがとう)、厚手のセーターをしっかりと着込んで(義妹のジュリー、ありがとう)、毛糸の帽子をかぶり(妻よ、ありがとう)、去年のクリスマスに娘が呉れた冬のコートを着て、マフラーを首に巻いて(J君、ありがとう)、英国から来た皮にカシミヤの内張りの手袋をして(息子よ、ありがとう)、玄関脇の姿見の前に立つと、そこには丸々と膨れた東洋系の魁偉(かいい)な顔をしたエスキモーがいた。

昨夜は雪が降って数センチ地面に積もっていたのが、今日の陽光で完全に溶けて道は汚く濡れていた。 角を曲がって図書館の方へ行く横道を歩いていたら、数メートル先の路上に何かキラリと小さく光るものがある。 陽が落ちたあとの夕暮れに頭上の街灯の光を反射して  何かがホタルのように光っていた。 近づいてよく見ると、それがこのブローチだった。 手に取って汚れを拭ってやるとそれは3センチほどの小さな兎だった。 誰かが冬のコートの襟に付けていたのが落ちてしまったに違いない。
僕はそれをポケットに入れてまた犬と一緒に歩き続けながら、そういえばいつか、やはりこうして犬と歩いていた時に、ひらひらと風に吹かれて20ドル札が飛んで来たことがあったのを思い出していた。 (僕はもちろんそれに飛びついた)

帰宅してそのブローチをよく見ると、金の兎がギターを弾いている。 さっき拾った時には気が付かなかったが兎の頭の部分は真珠でできていた。 裏側には14Kと彫ってある。 妻に見せると、これはけっこう古いものよ、と云っていた。 落とした女性はきっと沈んでいるに違いない。 どうしようか、という話になった。 警察に届けてもしょうがないし、あの近所の電柱に張り紙をするしかないだろう、という結論に達した。

とにかくこの金の兎は今夜は僕の所有となった。
ひょっとしたら、つい先日ブログにギター弾きのアシャのことを書いたばかりだから、これは遠くロシアの彼女から僕へのプレゼントかな。
それとも、僕の周りには兎年の女性が数人いるから、その中の一人からの愛のギフトかも知れない。
寒い寒い冬の夕暮れに拾った金の兎は、指先に沁み、心に沁みた。


 

月夜の浜辺


月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちてゐた。

それを拾って、役立てようと
僕は思ったわけでもないが
月に向かってそれは抛(はふ)れず
浪に向かってそれは抛(はふ)れず
僕はそれを、袂に入れた。

月夜の晩に、拾ったボタンは
指先に沁み、心に沁みた。

月夜の晩に、拾ったボタンは
どうしてそれが、捨てられようか?

                 ――― 中原中也





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コメント:

* 帰れますように

動物の形をしたものにはやはり愛着が湧きますので、
落とされた方もきっと落胆されていると思います。
持ち主さんが貼り紙に気づいて、このブローチがもとのおうちに戻れたらよいですね。
私もコートに黒いキノコのブローチを付けていますが、
この記事を読んで思わず確認にゆきました( ̄▽ ̄;)
2014/01/23 [nico] URL #- 

* Re: 帰れますように

nico さん、

さっそく昨日の午後にあの周辺に数枚の "Lost and Found" の張り紙をしました。
図書館の近くなので図書館の掲示板にも出しましたが
今のところ誰からもまだ連絡はありません。
2014/01/23 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

私からの愛のギフトではありませんが、私は兎年生まれです。元上司のHSさんも兎年です。無事に持ち主の手に戻りますように。
2014/01/24 [Endless] URL #d2yN2EXI [編集] 

* Re: No title

Endless さん、

そうですか!
EndlessさんもあのHさんも兎ですか。
これで私の周りの兎さんがまたまた増えました。
2014/01/24 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* 便乗

私もうさぎv
持ち主さんのもとに帰れるといいですね。
もし、誰も名乗り出なければ、Septemberさんのところへやって来た、押しかけ女房ならぬ、押しかけ、さすらいのギターうさぎ
2014/01/25 [わにURL #- 

* 落し物

落とし主が見つかるといいですね。回りまわって帰ってきた落し物にはなんとなくまた愛着がわき増えますものね。それにしても張り紙は私はいままでやったことがありません。でも一番有効な手っ取り早い方法で、この情報社会でもできないこともあるんだなぁと思いました。
2014/01/25 [inei-reisan] URL #pNQOf01M [編集] 

* ついでに、オハイオからも、便乗

おいどんも。

Septemberさんちのダイニングで今コーヒーをすすりながら、朝刊(夕刊はないので、すべて朝刊)広げてらっしゃる方も、雅子さまも、そして我が心のエマニエル夫人も。

テーマとは関係ありませんが、我が家では、猫が一時、五匹になり、縄張り争いが激しくて手に負えなくなったことがあります。近くのコーヒーショップに「小猫もらってください」の張り紙を出し、何人からか連絡がありました。「避妊手術をしているか」は当然最初に聞かれ、次に多かった質問は、「つめを除去しているか」でした。前者はYes、後者はNo(それが条件なら、譲らない)と答えました。一匹は引き取られ、一匹亡くなり、ここ数年は三匹。いつの間にかルームメイトとしてお互いを認めたようです。みんなメスで、左からスー、ラン、ミキ、じゃなくて、Ivy、クロ、トラ。
2014/01/25 [November 17] URL #WV4V227M [編集] 

* Re: 便乗

わにさん、

またまたここにもウサギちゃんが。(笑)
私のごく身近に兎年の人が数人いて、それがまた全部女性なんです。
これって何か意味があるのでしょうかね?
2014/01/25 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: 落し物

inei-reisan さん、

張り紙をしてから4日目になるけど、兎のオーナーはまだ表れません。
こちらはゆうべからまた吹雪となり風が強いので
電柱の張り紙も吹き飛ばされたかもしれない、と心配だけど
それを見に外にでるのも億劫なくらいに雪が積もって道が凍り、零下の寒い気温なので
あと頼みの綱は図書館の掲示板ということになりそうです。
2014/01/25 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: ついでに、オハイオからも、便乗

November さん、

1970年初めの頃のことですが私もムチャチャという名の仔猫を飼っていて
出て行った妻が残していった唯一のものだったけど
失意の毎日がムチャチャによってどれだけ慰められたことか。
だけど、こんな不幸な男といっしょに生きていくのはあまりにも哀れだ、と思い
もう二度と弾くことはないだろうと決めていたピアノを売った時に、猫もいっしょに貰ってもらいました。

猫を好きな人と犬を好きな人はハッキリ別れるらしいけど
私は両方とも好きです。
2014/01/25 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re:Re: ついでに、オハイオからも、便乗

Septemberさん、

博多の実家には、僕が生まれる前から代々犬も猫も両方いて、それは最後の犬が1995年(猫は2003年に)亡くなるまでそうでした。

僕も両方とも好きですが、昨年オレゴンの海岸清掃のボランティアに参加した際、浜辺で犬を散歩させた人たちが、糞をビニール袋に入れた後、岩陰などに分からないよう残していっているのを沢山見つけた時、「犬」ではなく、「犬を飼っている人たち」に失望したことがあります。そんなことするのは、犬好きの人たちのほんの一握りに過ぎないのは分かっていても。

どうせこっそり残していくなら、ビニール袋に包んだ状態ではなく、砂に埋める程度にして、いつか波にさらわれるようにすればいいのに。あっ、人目がありますよね、そしたらやはり岩陰にでも。見ていた子供たちも、犬好きの立派な社会人に育ち、将来海岸を訪れたら、やはりその手で。

大震災の翌年あたりから、瓦礫が漂流の末、西海岸に打上げられています。地元の自治体は、太平洋の向こうから漂流してきた瓦礫を黙々と片付け、意味のありそうなものはすぐに処分せずに、持ち主を探したりしている(実際送り返すのはまれ)ようです。

僕が参加した週末は東北かららしきのものはなく、吸殻、空き瓶や缶、スナック菓子袋、バーベーキュー用の燃料の空き缶、といった海岸を訪れた人たちの残したものでした。皆さん、楽しかったようでなによりだす。
2014/01/26 [November 17] URL #WV4V227M [編集] 

* 卯(うさぎ年)の話

十二支に動物の名を付けるのはニック・ネイムで、
兎年ではなく正しくは卯年ですね。陰の支で女性の支になります。

月で云えば3月、季節は春本番、方角は真東、性は木性、
優しいながらも内に強い好色の傾向あり、と言われます。

September氏の生まれ日は戌(いぬ)で卯(うさぎ)とは
ベストの相性になります。又、氏の推命式には木性が欠けており、
木性である卯の人を周りにもつことはラッキーなのです。
2014/01/26 [henri8] URL #av6ed.vY [編集] 

* Re: Re:Re: ついでに、オハイオからも、便乗

November さん、

犬の糞の始末をしない飼い主というのはうちの近所にも何人かいて
我が家の芝生にも時々残して行きます。
見つけたら注意しようと思ってもタイミングが合わず犯人をまだ突き止めていません。
隣家の主人は腹に据えかねてある日そばの並木にかなり感情を爆発させた調子の注意文を貼り付けたのに
それでも止めないのは、どういう神経の持ち主だろうと、今では逆に興味を感じるくらいです。
2014/01/26 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: 卯(うさぎ年)の話

henri8 さん、

なるほどなるほど
昔惚れた女性と十二支が合わないという理由で結婚をしなかったというhenri8さんの言には
非常な重みがあります。

卯は女性の支なんですね。
どうりで、私の知る卯年の男性はなんとなく陰が薄いようです。(笑)
これからはせいぜい努力をして卯年の女性を周りに集めていきましょう。

私の生まれ日が戌だとは、初めて知りました。
ありがとう。
2014/01/26 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* 残念ながら卯年ではなくて

猫年うまれです。でも猫も犬も好き。我が家の最後の犬は数年前に昇天してしまいましたが、その子は猫と仲良しでした。猫にひっぱたかれても尻尾を振ってはしゃいでいたので、猫の爪で犬が怪我をしないように注意しておくようにと、私が獣医さんから忠告されていたくらいです。

ブローチの持ち主はまだわからないのですね。探しておられるのでしょうに。
それにしても、うさちゃん、この持ち方でギターを弾くのは難しそうだぞ。

2014/01/26 [うらら堂] URL #PTRa1D3I [編集] 

* Re: 残念ながら卯年ではなくて

うららさん、

猫年生まれというのは、あの陰陽道の権威であるhenri8さんもたぶんレパートリーに無いと思うので
私が占ってあげませう。

猫年の人は(とくに女性は)知性が非常に高く一つのことに驚異的な集中ができる性格なので自然と周りよりも秀でている人が多い。
羞恥心と警戒心が強く傷つきやすいので、他人とはなかなか親しくなりにくいが一旦親しくなって垣根に穴が見つかると、
そこからいつの間にか忍び込んできてゴロニャンと身体をすりよせる。
といっても防御心が強いので一定の線を超えることは稀のようである。
表面はおとなしいが気が強いところもあり、自分の思うことを他人にも求める傾向があるので、周りから煙たがられる場合があるかもしれない。本音は優しくて愛情深いのに理性でそれを抑制する癖が身についているようだ。
猫年同士は鬼門。もっとも相性が良いのは戌年と午年である。

以上は、私が若いころつきあっていた数人の猫年の女性から学んだことです。(笑)
2014/01/27 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* うさぎちゃんのその後

3月のクイズ→2月のクイズのうさぎ→うさぎのブローチという連想でここに戻りました。ブローチのうさぎちゃんは、その後どうなりましたか?

ところで、占っていただいたのにそれきりにしてしまってすみません。なにしろ、身勝手で分かりにくい猫年生まれですので...
と言っても、私の場合は「猫年性」は、うちで飼っている二匹のお猫様の家来としての活動でほぼ使い尽くされている気がします。
2014/03/11 [うらら堂] URL #lH9P8MKE [編集] 

* Re: うさぎちゃんのその後

うららさん、

あのうさぎのことを忘れないで気にかけている読者もおられるだろうな、
と思い結末は記事にすべきだろかと迷っていたところでした。
うららさんにコメントをいただいたので渡りに船、と報告します。

持ち主は現れませんでした。
もし現れれば、その女性のことをまたブログに書いてみようなんて楽しみにしていたのですが
どうもあのうさぎは我が家に定着する宿命にあったようです。
うさぎ年のわがGreen Eyesが近所のマーケットへ行く時などコートの襟につけています。
持ち主の目に留まるかも知れないと考えたからですが
今のところそれもありません。
2014/03/11 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re:Re: うさぎちゃんのその後

話題になさらないので、元の持ち主との再会はまだなのかもと思っていたのですが、やはりそうだったのですか。ちょっとだけ残念だけど、うさぎちゃんはよい方に拾われてラッキーでした。

この子はこれまでどこをどう旅してきたのでしょう...なんていう目で見ると、「流し」の演奏家のようでもあるけど、そうだとしても、今後はSeptember家でのんびり過ごしてもらえそうですね。めでたしめでたし。

そういえば、「流し」の歌手は、日本でも、ほとんどいなくなっているそうです
。カラオケができたおかげで伴奏の需要がなくなったとか、お客さんの好みのジャンルと曲目がものすごく増えてしまってリクエストに答えるのが無理とか、
理由はいろいろあるのでしょうけれど。
2014/03/12 [うらら堂] URL #XVgCdbeE [編集] 

* Re: Re:Re: うさぎちゃんのその後

うららさん、

流しの歌手というのは懐かしいですねえ。
60年代の盛り場のバーはどこも有線放送から歌謡曲が流れ、流しの芸人が入れ替わり訪ねてきたものです。
あまり好きではない流しが入ってきた時など、店主がそれを断るときに独特の言い方があって、それは
「よう、一回りして来なよ」 でした。
有線放送からは園まりの「夢は夜ひらく」やブルー・コメッツの「ブルー・シャトウ」が絶え間なく流れて
思い出すとあの時代だけの独特の雰囲気を醸し出していました。
2014/03/13 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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