過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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流れ流れてエジプトへ

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奴隷市場にて (1871)
Jean-Leon Gerome (France) 
Cincinnati Art Museum


美術館の部屋から部屋へと、絵から絵へと、次々にさまざまな違う世界や違う時代にトリップするのが好きだ。
ロシアのコサックの群れを離れた僕は、いつの間にかエジブトの街を歩いていた。

道端で女が売られている。
左端に立っていた褐色の肌の若い女が、僕が近づくのを見て緋色のローブを脱ぎ捨てて全裸になった。 その女も他の女たちも、すぐ目の前を横切りながら自分たちにカメラを向ける僕をまるで見ようともしなかった。 彼女たちの眼は何も見ていない。 深く自分の中に閉じこもって、その表情もたたずまいも、生きることに疲れきっているように見える。 部屋の中の男が僕を見るとニット笑って片手の指を何本か立てる。 値段の交渉をしているのだ。 それを無視して、むんとする熱気の中を歩き続ける僕の顔の周りを数匹の蝿が音を立ててうるさく飛び回った。      

***


21世紀の現代では270万人の奴隷が世界中にいるそうだ。 下の動画に出てくる女の子はモデルでもシンガーでもなく、実生活で奴隷だった。 彼女はアメリカのあるトークショーで取り上げられたのがきっかけになってこのビデオが作られた。



美しい奴隷

もう自分がどこにいるのかもわからない
みんな盗られちゃった
ぶたれて、買われて、慣らされて
今はただ言いつけを聞くだけ

私だって前は無邪気な良い子だったのに
今は誰かの持ち物
知らない人のおもちゃにされて
恥ずかしさとクスリにまみれているけど
でもまだ感じることならできるわ
とても大きな苦痛なら。

ねえ、誰か聞こえてる?
誰かこの鎖を解いて
誰か私を自由にして
                        ----- 訳 September30



Beautiful Slave







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コメント:

* はじめの

絵がなんとも印象的で、吸い込まれました。なんだか美術館にいきたくなりました。
2013/11/24 [inei-reisan] URL #ZoAvoCE2 [編集] 

* Re: はじめの

inei-reisan さん、

むしょうに旅に出たくてもそれができない時、
そんな時私が行くのはきまって美術館です。
2013/11/24 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

特にフェミニストではないけど、
さすがにこれは共感できない。
生まれた場所と時代で決まった運命だとしても、悲惨です。
絵として歌として鑑賞するにしても美化されたくない。
2013/11/25 [ムー] URL #qiVfkayw [編集] 

* Re: No title

ムーさん、

「これは共感できない」 とおっしゃる、「これは」が何なのか
よく分からなくて戸惑ってしましました。
私の記事なのか、ジェロームの絵なのか、「美しい奴隷」のビデオなのか?
その全部なのか?

ここには奴隷制を賛美するものは何も無いと思うのですが・・
このフランス人の画家の絵でさえ、賛美とは逆のものを強く感じます。
また、
このビデオがもとになってセックスの奴隷(女性だけではなく男性も)に反する運動が
アメリカからヨーロッパへと起こりつつあります。
2013/11/25 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

そうかー。
賛美はしてないですねそういえば。
こういうもの一般に嫌悪する何かが私の中にあるんですね。
こういうものとは、特に女性弱者に対する男目線?
うまく言えないんですけど、男と女の切り口の違いというか。
気に障ったらごめんなさい。

2013/11/26 [ムー] URL #qiVfkayw [編集] 

* Re: No title

ムーさん、

「絵として歌として鑑賞するにしても美化されたくない」
というムーさんの言葉をずっと考えていました。(夜も寝ないで、 笑)

美しいものを求める、ということは芸術の宿命だと思うのです。
そしてその美しさに人は感動する。
そこで伝えられているものがたとえ醜く汚いものでも
それを美しく表現することが芸術家の役目なのでしょう。
でもそれは
内容を美化するということとはまったく違うと思います。

ジェロームの絵の中の奴隷たちを一人一人見てください。
この画家がどんな気持ちでこの女達を描いたかは明瞭です。
でもこの絵は美しい。


2013/11/26 [September30] URL #- 

*

夜も寝ないで(笑)
私の発言のせいですねすみません。
私も穴が開くほど絵を何回も見てみました。
美しいかどうか考えてみました(それって感じることだけど)

すごい絵だとは思うんです私だって。
客引き男の卑しさ
ボロ布と化した女奴隷
唯一生命力に満ちて挑発する女
その強い肉体と目に男への侮蔑と憤怒が燃えている。

うーん、男性はこの絵の前で何を感じるんだろうか。

美しいかどうかは感じ方に個人差があるから脇へ置いといて、
醜く汚い物を描いたとは思いません。
悲しい奴隷の現実を描いたんでしょう。
(マリアのような女がいるのはよくわからないけど)

ただ、見たくない物なんです。
女と男の深い河なんでしょうかこれって。




2013/11/27 [ムー] URL #qiVfkayw [編集] 

* Re: No title

ムーさん、

よくわかりました。
顔を見ながら話せばすぐに理解できたことでしょうに
短い文章の中でお互いに失われたものがあったようですね。

ムーさんはご自分の感覚を述べただけなのに
それを批判と取った私はまだまだ若いです。(笑)
きちんと説明してくださったありがとう。
2013/11/27 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

ムーさんの言ってること、多分・・よく分かります。
憤りや嫌悪など、激しい拒絶というか哀しみというか・・。
一般的に、女性であれば、皆少なからず根底から突き上げる類似の感情を持つのではないでしょうか。
2013/11/28 [fumie] URL #LGP0CJfA [編集] 

*

いいえ、ちゃんと向き合って下さって嬉しかったです。
ありがとう。チュッ。
2013/11/28 [ムー] URL #qiVfkayw [編集] 

* Re: No title

fumie さん、

私は年を経て経験を積めば男にも女の心情はわかる、
と思っていましたが、それは何と驕慢な態度でしょう!
むーさんが、男と女の深い河と言ったのはそのことだったのです。
2013/11/28 [September30] URL #- 

* Re: No title

ムーさん、

・・・・・ (赤面)
でも嬉しい。
2013/11/29 [September30] URL #- 

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