過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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コプレースクェアーのこと

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炭焼きバーガー、ジャンボフライ付きで $1.75 (1974年ごろ)
Copley Square, Boylston Street, Boston


ボストンの町をほぼ東西に走っているボイルストン・ストリートは市内で一番の大通りで、両側にぎっしりと会社や商店が並び、昼も夜もなくいつも雑多な群衆に満ちていていた。 そしてそのボイルストン大通りと正確に90度に交差する無数の小通りは、東端のダウンタウン側からきちんとアルファベット順に通りの名前が付けられていて、ここもまた小さなレストランやバーや店屋が軒並みに並んでいる。 Arlington、Berkley、Clarendon、Dartmouth、Exeter...などの道の名前がそれだった。 洒落たことをしたものだと感心したけど、われわれ外国人にとってはニューヨークのように42番街とか76番街のように数字の方が便利なことは確かだ。

そのボイルストン・ストリートを歩いていると、途中でいきなり大きな空間へ来てしまう。 そこには大きな広場があって、群衆に揉まれながら緊張感を持って歩いていた人達が、この区域へ来掛かると何となくほっとする。 そこがコプレースクェアーだった。
写真の背景に見えているのが由緒あるコプレースクェアーホテルで、広場の右手にはボストン図書館、左手は巨大なトリニティ教会があった。 広場には大きな円形の噴水があり、夏には子供たちが服を着たままずぶ濡れになって遊んでいた。 そしてこの広場は現在はボストン・マラソンのゴール地点でもある。 僕が住んでいた頃はゴール地点がボイスルトンストリートのずっと東のプラデンシャル・センターだったのがいつのまにかここに移されたので、ランナーたちはさらに2キロほど余分に走ることになった。 (このホテルは後年取り壊されたあと、超近代的なコプレースクェアーホテルとして2009年に再建されている)。

広場の角には地下鉄の出入口があって、ギシギシと音をたてる櫛の歯のような形をした木製のエスカレータで地上まで上がってきた人は、通りを渡ればもうそこは広場の中だった。 便利だから、僕はもう思い出せないほどの数多くの人達と、会う約束をこの広場でしたものだ。 天気の良い日なら噴水の端に腰掛けて来る人を待ったし、雨や雪の日にはトリニティ教会のファサードで会うことにしていた。 僕の住んだアパートはボイルストンの東端にあったから歩いて20分、地下鉄に乗ればひと駅の距離だった。

今この写真を見ていると、さまざまな記憶がどっと蘇る。
バーガーがこんな値段で食べられた時代。 煙草が50セントで買えた時代。 アパートの家賃が150ドルだった時代。
そして僕が、
 怒りと悲しみに挟まれて生きていた時代、のことだった。




千年生きた人よりも多くの思い出を、私は持っている。
ボードレール




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コメント:

*

テレビの横でフクシアの花が元気に咲いています。さっき写真を撮ってみました。俳句を英語だけで書いたりしてみたこと・・・・・ありましたが、訳を載せてと直ぐに言われてしまいました。

行ったことないのに、懐かしい写真です。ありがとうございました。
2014/01/15 [いらくさURL #EvmDRqhQ [編集] 

*

ガソリンがガロン50セント以下だったのを知っているって…ある意味悲しいなあorz  老兵は死なず…ただ……
2014/01/15 [BowlingAlone] URL #- 

* Re: No title

いらくささん、

この花はこちらではフューシャ(Fuchsia)と呼ばれるものですね。
どこかの美術館の廊下に鉢植えが並んで吊り下がっていたのを思い出しました。
花音痴の私が覚えていたのには自分でも驚きました。(笑)

英語俳句は読者に日本人が多い場合はやはり訳無しでは不親切でしょうね。
2014/01/15 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: No title

BowlingAlone さん、

老兵は死なず、どころか私は今までにないほど元気が出ているのですが....
こういうのをカラ元気というのかなあ。

そういえば私は1975頃から車を持っていたのに
その頃のガソリンの値段が思い出せませんでした。
2014/01/15 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* フューシャピンク

フューシャピンクはアパレル業界では近年流行りのカラーです。
寒色系の方が好きな私が例外的に好きな色です。
パープルみの翳りが混ざったピンク。
明るいはずなのにちょっと憂いを含んだような。
黒のセーターの下に真っ白のシャツ、フューシャピンクのパンツ。
春が恋しいです。
2014/01/16 [たま] URL #6moyDOY6 [編集] 

* Re: フューシャピンク

たまさん、

花に疎い野暮な私ですが、アパレルとかファッションにはもっと疎いのでごめんなさい。(笑)
(それはもうとっくにご存知だと思うけど)
でも色を想像することはできます。

着るものや持ち物にもっと興味を持っていれば、私の生活にももっと色が出てくるのでしょうが
どうやら私の暮らしはモノクロのままで終わってしまいそう。
2014/01/16 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* この看板

このメニューの説明なんともそそられる文面ですね。ものすごい自信をもって売っているバーガーな気がします。
一時期メニュー書きも仕事でしたことがありましたが、あのときこそ私の語彙力のなさを思い知らされたことはありません。でも一文で、買う人の気もちがわかってくるのですよね。そういう点では日本のメニューや売り込みの看板の文章は、本当においしそうなものばかりでそそられます。だから帰国すると食べ過ぎてしますのか。もしくは食欲の塊のまま日本へいってしまうからなのか・・
2014/01/16 [inei-reisan] URL #pNQOf01M [編集] 

* Re: この看板

inei-reisan さん、

実は私も現在、時々アメリカやヨーロッパのレストランのメニューの日本語訳を仕事として頼まれることがあるのですよ。
もし自分が客ならどんな言葉を並べれば誘惑されるかを考えながら作成します。

日本の食べ物はいつも夢にまで見ながら外国で暮らしてきた私ですが
最近は洒落た高級料理やグルメより、どこにでもある大衆的な日本食屋さんに惹かれます。
いつも見ているのが、大阪で立ち飲み屋を営む人の食べ歩きサイトです。
http://ademasu.blog74.fc2.com/

他のどんなブログを読むよりもこれを読んだ時に居ても立ってもいられなくなるほど
ああ、早く日本へ行きたいと思うのは
自分もとうとう、色気より食い気の年齢に突入したのだな、と苦笑しています。(笑)

2014/01/16 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

フューシャピンクにまで話題が広がっていて・・・・・楽しくなりました。

今日の写真は、青いビオラ旅団と呼んでいる私のビオラです。
私が団長で寒い冬を勇敢に超えていく筈だったのですが、寒波で萎れて可哀そうなので部屋に取り込んで、Dismiss.

クリムゾンと濃紺のビオラは外で頑張っています。

2014/01/17 [いらくさURL #EvmDRqhQ [編集] 

* Re: No title

いらくささん、

ビオラという花の名を初めて知りました。
てっきり viola(楽器)の形をした花が咲くのかと思ったら
そうではなくて、パンジーの小型種のことだと大発見。
私は日増しに賢くなっていきます。(笑)

2014/01/18 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* 美味しい食べ物とは

>最近は洒落た高級料理やグルメより、
>どこにでもある大衆的な日本食屋さんに惹かれます。

世界中の美味しい料理を食べ歩いたある日本人美食家が、
”絶品!”と最後に唸ったのは「たまご掛けごはん」だった、
という話があります。(September氏、生たまごは嫌いだろう)

夏目漱石は”玄人の味”という言葉を使っていますが、
レストランや料理やのきれいで美味しい食べ物には、
何かしら”商売の味”が効いているように感じます。

母親が作った「コロッケ」以上のコロッケは今だ経験がありません。
2014/01/19 [henri8] URL #av6ed.vY [編集] 

* Re: 美味しい食べ物とは

henri8 さん、

『September氏、生たまごは嫌いだろう』

そういう根拠の無い偏見で人を見るのはどうもhenri8さんらしくない。
生卵は大好きで、サルモネラ菌で騒がれて誰も生卵を食べなくなった時でも
ひとりで卵かけごはんや、すき焼きには使っていました。

2014/01/19 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

仕事で色名を検索していて見つけました。
って、今頃?もう2月ですね。

「Radiant Orchid(ラディアント オーキッド)」

色見本帳の米Pantone(パントン)が、2014年の流行色を「Radiant Orchid(ラディアント オーキッド)」に決めた。アカバナ科の植物フクシアをイメージした同色は、ピンクとパープルが調和して、喜びや愛情、健康を纏うカラーと位置付けられている。

今日の私も、偶然ですがセーターの下にピンクのTシャツ。

コメントついでに、ああ、真央ちゃんよかった。
日本中がほっとしたと思います。

ずいぶん酷だけど、こんなドラマもあったのですね。
2014/02/21 [たま] URL #6moyDOY6 [編集] 

* Re: No title

たまさん、

1月前の記事へ、今頃コメントとは
色にこだわり、色のプロであるたまさんらしいです。(笑)

Radiant Orchid とか、アカバナ科の植物フクシアをイメージした同色
などと言われても野暮な私にはどうもピンときません。
でもセーターの下にピンクのTシャツ、とくれば
ありありと想像できます。
2014/02/21 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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