過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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プロヴァンスの石の家 (1/4)

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Hendon House
Vaison la Romaine, France


僕らの一行はパリからリヨン経由のTVG(高速列車)に乗って、南下すること二時間半、アヴィニョン駅で下車した。
予約してあったレンタカーを受け取るとそこからは、目的地のヴェゾン・ラ・ロメインの町までは北西に向けて50キロのドライブだった。 借りたBMWはヨーロッパではいつもそうであるようにマニュアルのシフトだったから、今回の旅も運転は僕一人に任せられることになりそうだ。 (ほとんどのアメリカ人はオートマチックしか運転できない)。
早々にハイウェイを降りると、あとは丘陵をくねくねと抜ける田舎道が続き、僕らはその年の旅行ではまだナビゲーターを持っていなかったから、地図と首っ引きで何度か道を間違えながら、もう辺りが暗くなる頃にやっとヴェゾン・ラ・ロメインの町に入った。

ヘンドンハウスを探し当てた時に、全員の口からいっせいに 「へ~!」 と声が出た。
古い農家を改造した石造りの家だとは聞かされていたけど、そのどっしりと重量感のある風情を実際に目にして思わず圧倒されたのである。 しかも予想していたよりずっと大きい。 二棟の建物が正面の回廊でつながっている。 たぶんどちらかの棟に大家のヘンドンさんが住んでるのだろう、と思ったらそうじゃなくて、この家全体がこれから2週間僕らの住む家になるのだとあとでわかった。 建物の左端に見えているモダンなサンルームは明らかに近年付け足されたものに違いない。





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前庭

鉄製の門を開けて中に入る。 左側の壁にドアがあってそれが玄関となっていた。 右側の石段を登ると、あとでわかったことだけど、そのまま直接二階のマスターベッドルームに出入りできるようになっていて、これは夜中に誰にも知られずに家への出入りができるお忍び用の通路であったに違いないなんて勝手に想像してしまう。 玄関のドアの脇に小さなレモンの木があって、その木の下の陶器の小箱の中に家の鍵が入っているから、というのがヘンドンさんの指示だったが、その通りだった。





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門を開いて

この家が建てられたのは、1700年代の半ばだそうだから、もう250年を経ているわけだ。 その頃の人々が暮らしたような質素で不便な生活を僕らも経験することになるのか、と半ばこわごわと、半ば期待をして一歩家の中へ足を踏み入れたら、その予想は完全に裏切られた。 内部は驚くほどモダンに改造されていて、18世紀にここに住んだ人たちには申し訳ないくらい快適な生活ができるようになっていた。
大小のベッドルームが5つ、バスルームが4つ、ダイニングルームとリビングルームが一つの広大なスペースを取っていて、それに十分なサイズのキッチンが付いていた。 ガラス張りのサンルームはそれだけで我が家のリビングルームよりはるかに広い。 そのうえ裏庭にはちゃんと地面にはめ込まれたプールまで付けられていている。 右棟の建物はダンスパーティでもできそうな大広間になっていて、そこにはビりヤードやピンポンテーブル、エクササイズマシーンなどが備わっていた。

家賃は4月から10月にかけての観光シーズン中は1週間に2700ドルで、それが7月のピークには3400ドルまで上がる。 ところが僕らが行ったのは最初の年は3月、二度目は11月、とどちらもシーズンオフだったから (そう、実は僕らはここには二度も来たのだ) 家賃は週1000ドルまで下がっていた。 たとえば4カップルでこの家を借りれば、一人あたりの滞在費が1週間125ドルというのは信じられない価格である。 僕らがここへ二度も来てしまったのは、この町がとても気に入ったということは勿論だけど、実は家賃の安さが理由の一つでもあったのだ。

(続)





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コメント:

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かなりご無沙汰していますが、私のブログがまだLinkされていて嬉しいです!
きっと、この記事に呼ばれたのだと思います(笑)

中々寝付かれなくて、PCを開いて、なんとなくお邪魔してみると、
私の古巣!?(前世か??)
フランスの田舎町は、何故か懐かしく感じてしまうのです...
今年の旅はここに決めました(笑)
2014/03/03 [hana] URL #- 

* Re: No title

hana さん、

お久しぶりです。
プロヴァンスのことは前に何度も書いているのに
改めてこの家のことを少し詳しく書いてみよう思ったのは
きっと、春を恋う心からでしょうね。
2014/03/03 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

こんな素敵な選択があったんですね。ヌフのお城は200eur近くしましたから。
2014/03/05 [上海狂人] URL #wuZV7DPc [編集] 

* Re: No title

上海狂人さん、

あの滞在から数年経ってしまったのでいくらなんでも家賃の値上がりがあったのだろう、
とさっきホームページを見たら驚いたことに値段はそのままでした。
2014/03/05 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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