過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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プロヴァンスの石の家 (2/4)

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ベッドルーム #5

昔は、冬の寒さやプロヴァンス名物のミストラル(野分)を防ぐために窓はうんと小さく取られたのだろう。 太い鉄格子は昔のままで、日中でもあまり光の入らない薄暗い部屋には、250年前の空気がそのまま淀んでいるような気がした。 屋根裏部屋のランプの光の下での質素な農民の生活が偲ばれる。





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マスターベッドルーム

このベッドルームだけが思い切り改装されていて、壁一面に取られた窓から、ゴッホやセザンヌが愛したあのヴォークリューズ地方の柔らかな光がふんだんに室内に溢れていた。 この家ではどの窓にも網戸というものがなかったが、外の空気を入れようと開け放しておいても虫一匹入ってこなかった。
大家のヘンドンさんはイギリス人で、ニューヨークの大学をリタイアした大学教授、奥さんは絵描きだそうで、二人とも英語、フランス語、スペイン語を自由にしゃべる。 家中至るとこに趣味の良い美術品が置いてあり、家具や装飾品や本棚に並ぶ書籍などに持ち主の教養と知性が表れていた。 そうだ、この二度に渡るプロヴァンス旅行のあとで、僕がヨーロッパ旅行をまとめたカラー写真集 『プロヴァンスからイタリアへ』 を出版した時に、ヘンドンさんはその本を2冊買ってくれて1冊は自宅に、もう1冊はこのヘンドハウスのリビングルームのコーヒーテーブルに置いてあるそうだ。 その本にはこの町やヘンドンハウスの写真も載せてある。







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窓の外には

マスターベッドルームの窓から裏庭を見る。
それほど大きくないぶどう畑があって、最初の3月の旅では裸の木々が、二度目に来た11月には豊かな葉をつけたぶどう畑がそこに広がっていた。
ヘンドンさんは人を雇ってヴァインヤードの管理から自家製のワインの製造まで任せている。 そういえば地下のワインセラーには古い木製の醸造機や樽が置いてあった。 数十本のボトルが二段の棚に並んでいて、それぞれが昨年と一昨年の収穫のようだった。 そしてそこにピンでとめられた紙片には 「一日に1,2本の割りなら自由に飲んでかまいません」 と英語で書かれていた。 もちろんさっそく試してみたら、ウーンと唸るほど良いものとはいえないにしても、アメリカの義弟が趣味で造るワインとは雲泥の差で美味しかった。 

ぶどう畑のの向こうに見える建物はあとでわかったのだけれど、家族でやっているこじんまりとしたワイナリーだった。 自由に試飲ができて、極上のものを買っても信じられないくらいに安かった。 今回の滞在では行く先々で有名なラベルの Gigondas や Châteauneuf du Pape や Séguret を始め無数のワイナリーを訪れた。 その度にワインを買い集めてきては片っ端から飲んだ。 それが、アメリカに帰国する際に持ち帰った数本はすべてこの隣家のワイナリーで造られたワインだった。 近所同士ということでこの家族とはすっかり親しくなっていたから、その思い出を持ち帰ったというわけだ。

二週間の滞在中にどれだけのワインを飲んだかといえば、ヘンドンハウスを去る前の日に全員で家中を掃除した時、僕の役目は廃品処理ということでワインの空き瓶を車に詰めて近所の回収場まで運んだ。 2度往復した。 空き瓶をざっと数えたら100本以上あった。


二度目に違う季節にここへ来た時のぶどう畑はこんな感じである。


(続)



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コメント:

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2014/03/04 []  # 

* Re: No title

鍵コメさん、

ビニールハウスの葡萄と聞いて養殖魚を思い出していました。
味に厳密な違いがあるのかどうかは私にはわかりませんが
そうでもしなければ人々の手に入らないものだとすれば
それなりの意義はあるかもしれませんね。

私の住む町の近くにも幾つかのワイナリーがあって時々試すのですが
ヨーロッパのワインにくらべてやはり味が決定的に違います。
でもアメリカの西海岸のナッパバレーのワインなど外国ものに遜色ないものができるので
気候や土壌などが重要な要素になるのでしょう。
2014/03/05 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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2014/03/05 []  # 

* Re: No title

鍵コメさん、

限定版で少数しか刷らなかったので手元には無くなってしまいました。
増刷する予定なのでその時はお知らせします。
2014/03/05 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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