過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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プロヴァンスの石の家 (3/4)

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ダイニングルーム

ダイニングテーブルに全員が揃ってちゃんとディナーをしたのは数回しか無かった。 というのは、僕らはほとんど毎日朝から日帰りの旅に出かけて夕食を外で食べることが多かったし、夕方早めにに帰宅した時にはリビングルームやサンルームでゆっくりくつろぎながら食事をしたからだった。

この町の中心部までは歩いて10分の距離で、そこには銀行や郵便局やレストランと並んでいろいろな店やマーケットがあった。 食料品や日常品が必要な時には 「ちょっとそこの市場まで」 という感覚で気軽に買い物ができたし、まとめて大量の食材を仕入れるときには少し離れた巨大なスーパーまで車で出かけた。 そのスーパーさえ重い買い物袋がなければ歩いて行けなくはない距離だった。 ヘンドンハウスは実に便利の良い場所にあったのである。





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ちょっとそこの市場まで

同じ場所に数週間も滞在していると、けっこう近所の人たちと親しくなったり、マーケットや店屋でも顔を覚えられてまるで地元の住民のような扱いを受けるようになる。 カフェのウェイターがちゃんと好みのドリンクを覚えていてくれたり、八百屋のおじさんもニコニコして野菜を大目に測ったり、採れたての果物をそっと袋に入れてくれたりする。 (それをしてくれるのはなぜかどこでもおばさんではなくて、おじさんだった)。 パリと違ってここではどこでも英語が通じるというわけではなかったけど、身振り手振りでちゃんとビジネスは成立するし、警察(駐車違反のチケットを貰って出頭)や医者(MJ がある日いきなり具合が悪くなった)などの少し複雑な状況には、マヤのフランス語が大いに役立った。 親としては娘をパリに留学させた見返りがようやくあったと実感したプロヴァンスの旅だった。






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キッチン

キッチンはモダンに機能的に装備されていて必要な物はすべて揃っている。
それが二度目にここへ来た時には、レンジもオーブンも冷蔵庫もさらにハイテクの最新のものに取り替えられていて、それを見た女性連は競ってシェフになりたがっていた。 最初は女性連に僕を加えた数人が手分けをして夕食を作ってみたけれど、そうなるとさすがにこのキッチンも混雑して動きが取れず、身体の衝突だけではなくて意見の衝突も発生した。 船に船頭が多すぎる、というやつだ。 そのあと代わり番に当番制でやるということに意見が一致して、男性の僕はキッチンに入るべからず、と言い渡された。
それ以後は日米共同の国際料理プロジェクトは非常にスムーズに進んだようである。






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リビングルームの作戦会議

明日はどこへ行こう、何をしよう、とワイワイと騒ぎながら少しずつ予定が決まっていくほど楽しいことはない。 この旅を通して唯一のドライバーである僕は皆に大事にされていろいろな特典が与えられた。 つまりマスターベッドルームを占拠できたり、調理当番や苦手のショッピングから免除されたり、旅行中のレストランの選択は僕の意見が優先される、というぐあいだ。

一行の一人一人が何かの形で仕事を課された。 僕には勿論のこと運転という大役があったし、作戦参謀として3人の熟女連がもっぱらスケジュールを取り仕切り、マヤはその日のすべての経費を記録して1日の終りに精算して貸し借りをゼロにするという財務の仕事、MJ の旦那のカークはドライビング中に僕の横で地図と首っ引きでナビゲーターを務めていたが、失敗が重なって自信を無くしてリタイアしたあと、その仕事は彼の息子のジョンに引き継がれた。

そんな中で何の仕事も与えられずに一人で悠々とこの旅を楽しんでいたのは詩人のパチさんだった。
この家でのパチさんの行状は前にここに記してある。


(続)



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コメント:

*

写真1枚1枚、滞在中のお話1コマ1コマ、全て別世界なのに暖かくてなぜか親しみが湧きます。いつか行ってみたくなってしまいました。今から仏語の勉強はじめようかしら・・・。
2014/03/06 [Endless] URL #d2yN2EXI [編集] 

* Re: No title

Endless さん、

気のおけない仲良しの人たちとの旅ほど楽しいものはありません。
ヘンドンハウスは寝る場所さえ気にしなければ15.6人(あるいはもっと)でも楽に収容できる大きさでした。

Endlessさんはご主人がヨーロッパ人だから
こういう写真を見ても私なんかよりずっと近しく感じるのじゃないか、と思います。



2014/03/06 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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