過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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夏祭り、サーカス、昆虫採集

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カウンティフェアの見世物小屋
Hagerstown, Maryland, USA


夏祭り、、サーカス、昆虫採集、と並べるとそれだけで子供の頃の夏に帰ることができる。
今はまだ5月の半ばというのに夏のことを書いているのは、このところ気温が急上昇して今日など31度にもなったせいだった。

学校が夏休みに入ると毎年僕らの町へ巡回して来るのが木下サーカスだった。錦公園に建てられた巨大なテントの中で、空中ブランコや象、ライオンなどの曲芸を見た。金ピカの衣装に肌を露わにした女性たちの中には自分たちと年が変わらないような可愛い少女もいて、少年たちはうっとりとその少女に恋をした。
しかしなんといっても僕らにとっての圧巻はオートバイの曲芸だった。スチールで編まれた巨大の地球儀のような円球が置いてある。明かりを消した暗闇の中で、オートバイは耳が潰れるような轟音をたてて上へ下へ横へと走り回る。オートバイのヘッドライトが暗闇に描く縦横無尽の軌跡はこの世のものとは思われないほどの迫力があった。そして美しかった。


サーカスの興行が続くあいだは、その周りにはいろいろな店屋が立ち並んだが、その一つが見世物小屋だった。
入り口には、下半身が大蛇で上半身は乳房を露わにした女性の俗悪な絵が掲げてあって、老人がしゃがれた大声で 「親の因果が子に報い、見るも哀れなこの少女・・・」 などと叫んでいる。少年たちは怖物見たさになけなしの小遣いをはたいて中に入ってしまうのだが、そこでどんな奇形の少女を見たのか、まったく記憶に残っていない。覚えているのはそこに並べられた瓶の中のアルコール漬けの胎児などのグロテスクな陳列だった。
出口から外へ出た僕らは、何となく騙されたような気になって、それ以後二度と蛇女を見に行くことはなかった。

こうしてサーカスが町を去って行ってしまったあとの夏休みを、僕が夢中になったのは昆虫採集だった。

死せる蝶たちへのレクイエム




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コメント:

*

男の子って、
育つ段階で車や機械物へ行く子と虫や植物へ行く子と別れるんだそうです。
別れた後それぞれがどうなるのかは残念ながら書いてありませんでした。
女の子には明確な分かれ道は無いようです。

September30さんは「生き物」派のようですね。

2014/05/14 [ムー] URL #qiVfkayw [編集] 

* Re: No title

ムーさん、

そうなんですか。
私の場合は蝶の採集を最後に虫や植物への興味はまったく無くなってしまい
小学校高学年ではゴム動力の模型飛行機の制作に狂っていました。
また猛烈に本を読み始めるようになったのもその頃です。
再び「生き物」派へ帰ったのは20代以後になってからでしょうか。(笑)
でもこの「生き物」たちは蝶の採集ほど容易ではなかった。
2014/05/14 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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