過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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パリの本屋さん

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シェイクスピア・アンド・カンパニー書店
Paris, France


旅先で訪ねる名所旧跡が、自分が子供の頃からよく聞かされていていつかは行ってみたいと思っていたものだと、それを実際に目にした時に 「へーっ、これが!」 と感激するのは誰でも経験がある。
15年ほど前にパリを初めて訪れた時、エッフェル塔にはなんの関心もなかった僕だったが、あのノートルダム寺院を見た時はヴィクトル・ユーゴーの 『せむし男』 を思い出しながら、重厚なゴシック建築が持つ歴史の重みに、「へーっ、これが!」 と圧倒されてしまった。

だがそれよりも僕を感激させたのは、そのノートルダム寺院からセーヌ川を挟んだ対岸にあるシェイクスピア・アンド・カンパニー書店だった。実はこの有名な書店がそこにあるなどとは知らず、雑多な観光客に混じって歩いていた僕はいきなりその書店の前に立った時に 「へーっ、これが!」 と声に出して驚いた。

現在のこの書店はシェイクスピア・アンド・カンパニー書店としては2代目にあたり、初代の書店はあるアメリカ人女性によってこことは違う場所に開かれた。1919年のことである。 華麗だったベル・エポックの時代が終わったフランスはいわゆる 「狂乱の時代」 に入っていた時だった。それから20年以上、1941年にナチスドイツ占領下の政府から閉店を強制されるまでこの書店は当時の作家や知識人の溜まり場のような感があったらしい。スコット・フィッツジェラルド、ヘミングウェイ、ガートルート・スタイン、マン・レイ、ジェイムズ・ジョイス、など常連の名を幾つか挙げるだけで、この書店がただの本屋さんではなかったことがわかる。本屋と行っても書籍を売るだけではなく、本が買えない貧乏な作家に貸出をする図書館みたいなものでもあった。

2代目のシェイクスピア・アンド・カンパニーが現在のこの場所に再開したのが1951年だった。
初代と変わらず有名無名の作家たちがここに頻繁に出入りしたそうで、アレン・ギンズバーグやウィリアム・バロウズなどのビート作家やアメリカから流れてきたヘンリー・ミラーもここの常連だった。社会主義を信奉する店主の意向を反映して、階上には幾つかのベッドがあり誰でも泊まれるようになっていた。貧乏作家たちはここで宿泊とワインとパンをあてがわれる代わりに、書店の店員として少しだけ働けばよかったそうだ。

こうして100年近くにわたってパリに集まる世界中のボヘミアンたちの巣であったこの書店も、今の若者達や観光客にとっては、パリで英語の本が手に入るユニークな本屋としか認識されていないようだった。

時代は移る・・・



人は今でも 「考える」 ことをするという数少ない証拠の一つが本屋だ。
Jerry Seinfeld




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コメント:

* Noel

september さん、こんにちは。
私の初パリの思い出の一つに、Noelがあります。夜10時頃ノートルダム寺院に行き、沢山の人でしたが立席一番前まで出、木の十字架少年合唱団の合唱等、ミサを見学しました。12時にイエスの誕生で、その新生児像を抱えた僧達が登場し、大祭壇裏に設えたcreche(伊語はpresepio)という馬屋に幼子を寝かせます。配られた聖歌歌詞を大声で歌いました。突如、立席の柵の守衛さんが私を指さし、柵を開けて付いて来るように言い、座席の並ぶ、祭壇前最前列が5席空けてありそこに座れと。既に2人座っていました。一番目立つ最前列でミサに参加することになったのです。祭壇両脇にそんな空席が設けられているようでした。後で妻も呼ばれて来、満席になりました。ミサの中で立ったり座ったりがあり、大変な緊張でした。ミサが終わってからcrecheに眠る幼子イエスを見てホテルに帰ると3時を回っていました。
どうして我々観光客が呼ばれたのか不明ですが、信者と思われたのでしょうか。高校時代カトリック教会に通い、公教要理を教わったりしたのですが、受洗はしていません。いずれにしても私には感動的なことでした。
2014/10/22 [ペッシェクルードURL #j9tLw1Y2 [編集] 

* Re: Noel

ペさん、こんにちは。

クリスマスにノートルダム寺院の深夜のミサに出席なんて
それだけでも感動的なことですが
しかも、最前列に連れて行かれるなんてそれこそ神のお導きとしか言いようがありませんね。
これは一生忘れられない思い出となっていることでしょう。

私がこの寺院に入った時もミサが進行中でした。
あの青いステンドグラスは今も目にあります。
それにしても
ぺさんが高校のころ教会に通っていたとは今初めて知りました。
それじゃあもちろんバチカンにも行ったことがあるのでしょうね。
私はまだローマに行ったことがありません。
2014/10/23 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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