過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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マグショット 4 - 太郎

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名前 太郎
生年 1983
職業 スポーツ用の靴のスペシャリスト
撮影者との関係 長男
撮影年月日 2015年2月18日




太郎の鼻は3度潰されている。
最初は高校生の時にレスリングの練習中に起こった。どんなスポーツをやってもいいけどフットボールだけはダメ、と母親に強く言われたこの子はレスリングとテニスを選んだ。そのレスリングで鼻を潰しただけではなく、膝や肩を痛めたり足首の捻挫はしょっちゅうだったから、母親はこれも止めさせようと躍起になったが、父親の僕が 「どんなスポーツでも負傷は避けられない」 と息子の側についたので母親はしかたなく諦めたようだった。
高学年になっってチームのキャプテンをやらされて、地域の大会で優勝したり州大会に出場したりして、シーズン中の地元の新聞に太郎の記事や写真をよく見るようになる頃には、僕と女房はほとんどの試合を見にあちこちへ出かけたが、観戦していても女房の方は息子の怪我が心配で試合を楽しむところまではいかなかったようだ。
日本人の血を引く太郎の、胴が長め脚が短めという体型がレスリングでは有利に貢献したに違いない、と父親の僕は苦笑した。

この子が2度めに鼻を潰されたのは大学生の時、クリスマスの帰省中に夜の盛り場で数人を相手に乱闘の結果だった。顔を腫らし鼻を潰されて友人に病院へ連れて行かれた。警察沙汰にはならなかったが、顔や手に包帯を巻いて帰宅した太郎を見て母親が絶句したのは言うまでもない。

そして3度目はつい昨年の事だった。8年ほど前に始めたブラジリアン柔術という総合格闘技のトーナメントに出場中での負傷だった。
今あらためてこの子の顔写真を見ていて、負傷の痕跡が鼻に残っていないのを見て安心した。ただし本人が言うには、寒い季節にはまだ痛みを感じることがあるという。


太郎は幼い時から言葉の少ないおとなしい性格の子で、成人してからも思ったことを何でも口にするというタイプには育たず、内に抱えたものを発散するためにブラジリアン柔術という極端に苛酷な格闘技を必要としたのではないか、と思っている。
現在はスポーツ用の靴専門店で、あらゆるスポーツの靴のスペシャリストとして勤務している。彼の仕事ぶりを何度かのぞいたことがあるが、親の予想に反しててきぱきとクライエントに対応しているのを見て安心した。

この子は成人してから次々と仕事を変え、僕が見つけてやった東京での会社勤めも1年足らずで挫折をしてアメリカに帰ってきた。挫折の連続の中に生きてきたとも言える太郎が、自分は何をやってもダメなんだ、というネガティブな思いだけは絶対に持ってほしくない、と父親の僕は祈っている。
酒に強いところは僕から受け継いだようで、最近は時々二人だけで飲むようになった。そんな時、以前と打って変わったようによく喋る我が子を見るのは嬉しかった。そういえば僕自身も20代になって父親と酒を飲むようになってから、初めて父親に近づいて行った事を思い出す。





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コメント:

*

太郎さん、大きくなっちゃってー。
(小さいころの写真しか見てないからそう思う)
太郎さんの写真を見た人は「わー左右対称」
と思うんじゃないかしら。
競争優位になるような遺伝子を持つ男の顔は左右対称だそうですよ。
よってモテるんだそうです。
どうですか?当たってますか?
この遺伝子は父親から受け継ぐそうで、浮気者になる可能性も高いとか(笑)
どうです?当たってますか?(笑)

2015/03/06 [ムー] URL #qiVfkayw [編集] 

* Re: No title

ムーさん、

競争優位になるような遺伝子、の事はよくわからないんだけど
ガールフレンドの獲得には20代の頃からまったく問題がなかったようです。
そこが父親とは大きく違うところ。
1年ほど東京に住んだ時もアグレッシブな日本の女の子たちにかなり言い寄られたらしい。
ところが、化粧と衣服だけに命をかけているようなそういう若い子たちといざ話をしてみると、
頭の中が空っぽですっかり失望した、と言っていました。

浮気者?
うーん、それはないと思うなあ。
そこも父親とは大きく違うところ。(笑)
2015/03/06 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* 見るからに格闘技系アスリート

よく発達した咬筋と僧帽筋、そしてこの眼差しとやや曲がった鼻を見れば、一目瞭然ですね!
たぶんがっしりした背中と太い脚をしていらっしゃることと思います。
うん。モテるのは当然ですね〜
2015/03/08 [nico] URL #- 

* いままで話を伺ってきた方々

が実際こうやってお顔を拝見できてうれしく感じます。大きな物語にいた登場人物が、いきなり目の前に現れたような、そんな感じでしょうか。鼻の話をよんだら、鼻が気になってしょうがないのだけども、第一の印象に残ったのは、この力強い目でした。
2015/03/08 [inei-reisanURL #pNQOf01M [編集] 

*

もっとお酒を飲んで、女性に翻弄されて大失恋して、厭世観に浸ってそこから生還すれば、お父さんみたいに退廃的な格好良さが出てくるかもしれないですね。
2015/03/08 [micio] URL #O/XG6wUc [編集] 

* Re: 見るからに格闘技系アスリート

nico さん、

咬筋、僧帽筋などの専門用語にさすがはプロフェショナル、と感心しました。(笑)
おっしゃるように筋肉だらけの身体の持ち主ですが
衣服の上からはそれが見えずむしろ痩せ型の印象を与えます。
惜しむらくは身長が低めで、私ほど(177cm)も無いのですよ。
2015/03/09 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: いままで話を伺ってきた方々

inei-reisan さん、

3度潰された太郎の鼻は、こうやって写真で見るとまっすぐに見えると思っていたら
整体のプロ(nicoさん)から見ると、やはりその前科はすぐにわかったようでした。

今回のマグショット・シリーズをやっていて気がついたのは
ふだん親しい家族や友人たちでも、その顔をしっかりと眺めるなんてことはまずない、ということです。
それは私だけじゃなくて、皆さんもきっと同じじゃないかなあ。
2015/03/09 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

奥様のグリーン・アイズ山の写真でも感じましたが、意思の強さが伝わってくる肖像… September31さんに写真を撮っていただくと、自分の本性を暴かれそうで怖いです。
2015/03/09 [わに] URL #- 

* Re: No title

micio さん、

この子は大酒を呑んだり女性に翻弄されたり失恋したり、厭世観に浸ったり、はすでに立派に経験済みなのを知っています。
それが退廃的にならないでいるのは若さのせいに違いありません。




2015/03/09 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: No title

わにさん、

被写体になる人の本性が伝わる肖像画を撮りたいと
今回のマグショット・シリーズを始めました。
ところが、これはよくできた、と思うショットに限って
本人が気に入らないというおもしろい現象に出くわしたのです。
これは予想しなかったことで、今後の課題になりそうです。
2015/03/09 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* 傷跡など

太郎さんの鼻のこと、なんかすみません…つい見てしまうんです。
あ、この人は格闘技やってたなと感じると、ついつい耳や手の甲、脚の開き方、歩き方なども瞬時にチェックしてしまいます。東京ではしばしば只者ではない雰囲気を出している人が電車に乗っているのに遭遇します。その人が同じ車両にのってくるだけでハッとさせられるような雰囲気の人がいるんです。拝見してみると格闘技をやっている人が多いです。
そういう人の体のあちこちに残る傷跡を、醜いとか痛々しいと感じたことはありません。顔や体の正面に傷があるというのはその人の闘志のあらわれですし、マーシャルアーツなどできそうにもない私からすればかっこいいなぁとさえ思うこともあります。
だからアスリートや格闘家の役に立てそうなスキルを今学んでいるんですけどね!
2015/03/10 [nico] URL #- 

* Re: 傷跡など

Nico さん、

身体の傷といえば、私の口の右端に1cmほどの古い傷跡があります。
これは幼児の時に道で転んで、そばに生えていた竹が突き刺さったときの傷なのですが
ずっとあとになって私の顔を見た二人の易者(というより顔相学者)が口をそろえて
この小さな傷が私の人生のすべての不幸の元になっている、と言ったのを忘れません。
2015/03/10 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

>よくできた、と思うショットに限って本人が気に入らない

これって、無意識のうちにも隠しておきたい本性が、ストレートに表面に出てしまっているともいえそうですね。歳をとればさらにその傾向が強くなるのかもしれません。

「自分の事は自分が一番良く知っている」と思いきや、実は他人の方が良くわかっている部分もあるというのもありそうですし。
2015/03/11 [川越URL #uvrEXygI [編集] 

* Re: No title

川越さん、

そうそう、本人が気に入らないというのはとくに女性に多いようです。
彼女達は自分の顔がキレイに撮られていないと満足しない。
たしかに撮る瞬間と角度によってまるきり違う絵になるのが写真だから。

ただ、そのキレイという基準が本人と撮影者で違ってしまうのが問題です。
頼まれて撮るポートレートならもちろん本人の意向に従うけど
今回のプロジェクトは私自身のためのものだから
モデルの意見は悪いけど無視をしています。
2015/03/11 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

某法律事務所の似顔絵を頼まれています。
やはり、似顔絵なので、似せるというのを主体に描いています。
男性からのクレームは一度もありませんが、
女性からは、ありました。
もう少し美しく?描いて欲しいと。
頼まれた仕事なので、勿論直しました。
それから、女性の弁護士さんは、少し美人めに描くようにしています。(笑)
2015/03/12 [たま] URL #6moyDOY6 [編集] 

*

女性にとって顔というのは死活問題ですからね。
2015/03/12 [micio] URL #O/XG6wUc [編集] 

* Re: No title

たまさん、

弁護士とか医者とか政治家は性別を超越した職業だと思っていたのに
そうでもないのかなあ。
写真ではなくて似顔絵にしたというのは
そのへんに理由があったのかもしれませんね。

2015/03/12 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: No title

micio さん、

女性にとって顔は死活問題?
それはないない。

女性というのは(男から見れば)
顔よりも身体
身体よりも頭
頭よりも心
ですよ。


2015/03/12 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

男性から見た容姿というよりも、自分の美意識の問題かもしれないですね。
女性の方が美的センスが鋭くて厳しいんですよ。笑
2015/03/12 [micio] URL #O/XG6wUc [編集] 

* Re: No title

micio さん、

この世は男あっての女、女あっての男。
どんなに美的センスが鋭いからといって、もって生まれた顔が変わるわけじゃなし、
男が惚れる女、女が惚れる女、とは顔じゃないってことをいつ悟るか、というのが
運命の分かれ目なのです。
(ごめんなさい、今夜はちょっと酔っ払ってるな)
2015/03/12 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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