過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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マグショット 5 - リンダ  


150324

名前 リンダ
生年 1946
職業 アンティークのギャラリー経営
撮影者との関係 友人
撮影年月日 2015年3月21日


マグショット 1》 で友人のディックを紹介したが、リンダはそのディックの恋女房である。
ニューヨークのメリルリンチ本社に勤めるデッィクが最初の結婚に失敗したあと、ロサンゼルスの支店長として赴任して来た時に二人の出会いがあった。カルフォルニア・ガールのリンダは大学で化学を専攻して卒業後はカルフォルニア州の環境庁関係の団体で仕事をしていた。そのオフィスがディックの会社と同じビルの中にあったのだそうだ。ディックが45歳、リンダが32歳の時である。
男盛りのデッィクの際立ってハンサムな容貌や、洗練された洋服の着こなし、有名大企業の有能なエグゼクティブでバリバリと仕事ができてしかも独身とくれば、ビル内のオフィスレディー達には憧れの的(まと)にならないわけがない。リンダもその一人だったらしい。中には積極的に彼をアタックする女性が何人もいたらしいが、おとなしいリンダにはそれもできず、遠くからディックをひっそりと眺めているだけだった。

そのうちに妙な噂が流れ始めた。ディックはゲイかも知れないという噂だった。とういうのはあれほどオフィスレディー達の注目の真っただ中にいて、その気になれば選り取りみどりの立場に居ながら彼には浮いた話がまったく起きなかったからである。最初の結婚で二人の成人した子供を持ちながら離婚に至ったのも実はそれが原因だった、とゴシップには目のないオフィスの女性達はまことしなやかに陰でささやき合った。

そのディックが事もあろうか、リンダをディナーに誘ったのである。驚いたリンダはすっかり混乱してしまう。ゲイの男が自分をデートに誘うその意図が分からないままにリンダはディックとのディナーに出かけて行き、その場で彼女は改めてディックに単なる好奇心をはるかに超える強い感情を抱いてしまったのだ。
それは恋と呼んでもいい感情だった。
リンダは30歳を過ぎるまで何人もの男たちとくっついたり離れたりを繰り返しながら、そんな激しい恋情を感じたのはディックが始めてだった、と言っている。

二度目のデートでディックはリンダを彼の家へ招待した。そこで彼はまれに見る料理の達人であることを披露したらしい。
(僕は今でも彼の料理するディナーに招待されると、何を置いても出かけて行く)。

夜が更けるにつれて外は嵐となった。
車の運転を心配したディックがリンダにそのまま泊まっていくことを薦めた時に、リンダはそれを断って帰ろうとしたそうだ。それをリンダの警戒心と見たディックが、これは誘惑じゃないよ、この嵐ではほんとに運転は危険過ぎる、どうか今夜はここに泊まって欲しい、と主張する。
そしてリンダはそのまま泊まってしまった。
そしてその夜は何も起こらなかった。
翌朝になって、やっぱり彼はゲイだったのだ、とリンダは大きな失望感を抱きながら帰路についた。彼女としては何かが起こって欲しかったのに…

ディックが実はゲイではないということがはっきりして、あの夜に何も起こらなかったのは、誘惑をしないという彼の言葉を立派に守っただけに過ぎなかった、とわかるまでに時間はかからなかった。なにしろその翌日にまたまた二人は会って、その夜、二人はめでたく結ばれたのである。

それからこの恋人たちの上を幸せな月日が流れていった。
4年が過ぎて、いきなりディックがフロリダへ転勤になった時に、リンダは一生に一度の大決定を迫られることになる。その結果、彼女は両親や周囲の反対を押し切り、自分の生涯の仕事と決めて14年勤めていた職場を放棄すると、フロリダへと彼の後を追って移って行った。

フロリダで結婚式を挙げてから今年で32年が経ったそうだ。




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コメント:

* 馴れ初め話

アタックを受けた女性の目線で聞く馴れ初め話というのはその経験の無い側にとっては中々ドラマチックなものですね。
出来事だけでなく感情の記述もあって尚更です。
2015/03/24 [バナOKA] URL #3un.pJ2M [編集] 

* そういう

体験を是非してみたい。そういう、決断を是非してみたいっと、つくづく思います。すべてを捨てて、ついていくというのは、よっぽど強くないとできないと思います。
2015/03/24 [inei-reisanURL #pNQOf01M [編集] 

*

うらやましい。同性として、ひたすらリンダさんが羨ましいです。
そんなすてきな恋がしてみたかった~
2015/03/24 [わに] URL #- 

*

いくつになっても恋はできると思うけど、本気になれる恋をするにはやはり出逢いという偶然も必要なんでしょうね。全てを投げ捨てるほどには本気になれない相手に、恋愛気分で相手や自分さえも納得させようとしても、無理がでてくるんだろうなぁ。

それにしても「危険だから」と彼女を泊まらせ、その言葉の通りに手をださなかったのは、やはり彼女のことを本気で想っていたからでしょう。自分だったら・・・「チャンス!」とばかりに事を急いでしまいそうです。こんな気持ちでいたら、揺るぎない恋なんて夢のまた夢でしょうね。
2015/03/24 [川越URL #uvrEXygI [編集] 

* Re: 馴れ初め話

バナOKA さん、

恋愛やセックスに関して女性の側からの経験を話してくれるのは
若い時には無いけど歳を経てくるとどうってことないようですよ。
もちろんそこまで親しくなった間柄でしか起こらないだろうけど。
2015/03/24 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: そういう

inei-reisan さん、

リンダの場合、話を少し補足すると
ディックの転勤が決定した時点で二人はさんざん話し合ったのだけど
リンダは仕事や家庭(彼女はひとりっ子)の状態ではロサンゼルスから動けない、
という大前提がある以上、二人の恋は終わりにしよう、という結論に達しました。

それでお互いに納得をしてディックがフロリダへと去っていったあと
リンダは初めてひとりになってみて、犯した過ちの大きさに愕然として
すべてを捨ててディックの胸に飛び込んでいったそうです。

結婚したあともこの二人には子供が無かったせいか
82歳のディックと69歳のリンダは気持の若いカップルです。
ディックが時々他の女に色目を使うのでリンダが後ろから蹴飛ばすところも
昔と変わらないと笑っていました。


2015/03/24 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: No title

わにさん、

『そんなすてきな恋がしてみたかった~』
と、過去形にしてしまってはいけません。 (笑)

そうだ、
今度もしよければ彼らのアンティークの店へご案内しましょうか?
私の読者の中でそんなことが可能なのはわにさんだけですからね。




2015/03/24 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: No title

川越さん、

出会いというのはもちろん偶然なんだけど、後になって振り返るとそれが必然だった
と確信できるところが運命の面白いところです。
全てを投げ捨てるほど本気になれる恋愛なんて、
誰にでもどこにでもあるわけじゃなし、たとえあっても相手がその気でなければ成就しないとすれば
われわれ普通人はそこそこのところで満足しなければなりません。

ディックが最初の夜に手を出さなかったのは
立派だけど少し古風、という感じがありますね。(笑)
相手の女性もそれを期待していたことを彼に見抜けなかったところが
彼の純情さだったのかもしれません。

2015/03/24 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* ぜひぜひ!!!

行きたい!行きたい!ぜひとも、この満ち足りた表情のリンダさんにもお会いしてみたいです。素適なご主人との32年を経て、この幸せの滲みでる顔になれるのですね。

鏡を見るのがコワイ
2015/03/25 [わに@近所特権] URL #- 

*

大概のお話は、王子様とお姫様がめでたしめでたしで、
その後のながーい歳月が二人をどう変えたかは不明ですよね。

出会いもその後も幸福な二人なんて稀有な存在です。
全てを捨てたりしたらその後はろくなことにならない。
(すみません水を差すわけじゃなく一般論です)
羨ましいと言うより死ぬまで幸せでいてほしいお二人だと、
心から思いました。

2015/03/25 [ムー] URL #qiVfkayw [編集] 

* Re: ぜひぜひ!!!

わに@近所特権 さん、

リンダの店は日曜と月曜が休みなので
そうするとわにさんの仕事のない土曜日ということになりそうですね。
メールで相談しましょう!
2015/03/25 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: No title

ムーさん、

お伽話と違って現実の世界ではすべて良しというわけには行かないようですね。
この夫婦の場合はリンダが病弱気味なのが心配。
つい昨年まではマツダのロードスターの幌を下ろして金髪を風になびかせ
颯爽と乗り回すリンダを街なかで見かけたのに
今は運転を医者に止められているようです。
2015/03/25 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

>ディックが最初の夜に手を出さなかったのは立派だけど少し古風で彼の純情さ

これはその通りだと感じます。でもその気持ちのままに朝を迎えるか、彼女のこころの中を読み取ってあえて翻すか。まだお互いの心の底が掴み切れていない時期にこの判断をするのは難しそうです。

でも2度目のデートで彼の家でディナーに応じるんですから、やり手の彼なら覆すでしょうね。彼が言葉を守っても、そうでなくとも結局はうまく行ってしまうんでしょうし。

それにしても、他人の恋なのになんだか「ちぇっ!」という気分になります。でもこういう経験ができたっていいなぁ。
2015/03/25 [川越URL #uvrEXygI [編集] 

* Re: No title

川越さん、

現代の恋愛は、お互いにあやふやな気持のままにまずセックスがあって、
そこから恋愛に変わる(あるいはそこで終わりになる)というのがパターンのようです。
本来ならその逆で、お互いの恋心が高まって高まって天空まで舞い上がり
そのあとようやく二人が結ばれる、
それが真実の恋愛だなんて夢見る私自身も、また古風な人間なのでしょう。

川越さんのブログで奥様との素敵な生活を覗くたびに
「ちぇっ!」 と私が思っていたのを知らなかったでしょう。(笑)
2015/03/25 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

出会ってすぐに襲いかかって一緒に住んでしまったりする野獣のような恋愛ばかりしてきたので、こういう美しい恋愛もあるのだということを学んで少しは反省しようと思います。
2015/03/29 [micio] URL #O/XG6wUc [編集] 

* Re: No title

micio さん、

セックスという強烈に甘美な相互作業の結果は、身体と心の区別が曖昧となり
ただの情交でさえ恋情と錯覚してしまうことが多いです。
相手がだれであろうとその瞬間は愛してしまうのでしょうね。
2015/03/29 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

>September30さま

September30さんが私のブログを見て「ちぇっ!」と言ってくれているとしたら・・・それはちょっと誇らしい気分です。

でも「隣の芝生は青い」なんて言葉があるように、現実はなかなか厳しいものがあります。もっともそんなことはSeptember30さんは百も承知の上での言葉でしょうから、やっぱり誇らしく思ってもいいんでしょうね。ありがとうございます。(^^)
2015/03/29 [川越URL #uvrEXygI [編集] 

* Re: No title

川越さん、

そうですね。
ブログという公共の場では書けないことも多々あるでしょうが
それにしても幸せな雰囲気は自然と写真や文章ににじみ出てくるものです。

我家の場合は女房が日本語が読めないといういう事実を利点として
本人が知れば目をむくようなこともけっこう暴露してきました。
読者の誰かが彼女のために英訳をするようなことがあれば一騒動起きそうです。(笑)
2015/03/30 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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