過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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日本への回帰 (2/2)

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暦(こよみ)
米子市旗ヶ崎



ところが最近になって、日本が僕に帰ってきた! それもかなりの速度でもって。
そのきっかけになったのはたぶん、2年前に見よう見まねではじめてしまったこのブログではないかと思っている。 ブログを作ってみようと思ったときに僕には2つの動機というか目的のようなものがあった。 ひとつは写真家としての (実は自分を写真家と呼ぶのにすごい勇気を感じるのだけれど) 今まで撮りためた作品を、1年とか2年とかに一度の個展とか数冊の写真集にまとめるだけではなくて、無限に広いインターネットという世界でもっと日常的なペ-スで曝してみたいと思ったからだった。
ふたつ目の理由は(実はこのほうが強かった)単純に日本語をもう一度書いてみたい、と思いはじめたのだ。 何十年という長いあいだ、僕はもちろん日本語を時々話していたし、雑誌や本を読んだりしていたけれど、日本語を言葉として書いたことはほとんどなかった。 いったい自分には、日本人に通じる日本語が今でもちゃんと書けるのだろうか? という疑問は僕が常に持っていた恐れのようなものだった。
そんなわけでこっそりとはじめたブログだったが、しばらくして予期しないことが起こった。 ブログに寄せられるコメントや、そこから発展したメールのやりとりなどが少しづつ増えていって、いろいろな人たちと知り合いになれたことだった。 そこから長いあいだ忘れていた 「日本」 がすこしづつ自分に帰ってきたのである。 おたがいに匿名ということで、知人や友人や家族には漏らすことのない心の深い部分もわりと容易に伝わってくる。 そしてそのひとたちの深い部分が、自分の中の日本人と (好むと好まざるにかかわらず) ピアノの絃同士のように心地よく共鳴をするのを感じていた。 そしてそれは、日本に住んでいたころもふくめて、今まで感じたことのない安らかで納得のいく同胞感のようなものだった。コメント欄でどなたかがいみじくも言いきったように僕は 「やはりどうしようもなく日本人」 だったのである。

現在の自分は、おそらく生涯の友になるだろう人たちにもめぐり会えている。 何世代前には予想することもできなかったに違いないこんな無限の出会いが、まだこれからもどこかで自分を待っているのだと思うと、これ以上にしあわせなことはないという気がしている。

みなさん、
僕を日本へ引っぱり返してくれてありがとう。

(終)

ひとは誰でも、時によって心の火が消えかかってしまうことがある。
それが誰かに出会うことでいきなり炎となって炸裂する。
内なる精神にふたたび火をかきたててくれる人たちに、
われわれは感謝をしなければならない。
Albert Schweitzer


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コメント:

*

通じるどころか、とてもこなれた、美しい日本語だと思います。
それで拙い私の文章で投稿するのに躊躇してしまうくらい。
私もブログで知り合った人と今回の帰国でも会えるのを楽しみにしていますよ。
多分一生の友人だと思っています。
2010/12/05 [のほほん] URL #60nqeuCY [編集] 

*

私にはわかってました(笑)
だって最初からまぎれもなく日本人でしたもの。
そうじゃなくてコメントなんかするもんですか。

september30さんの文章が段々と柔らかくなっていることに、
大分前から気が付いていました。

なんだかとても嬉しいです。
2010/12/06 [ムー] URL #qiVfkayw [編集] 

* Re: No title

のほほんさん、こんにちは。
美しい日本語、だなんてと~っても嬉しくて鼻がヒクヒクしています。
ありがとう。

そういえばもう数日でご帰国ですね。休暇の旅ではないようですが、せっかく帰るのだからおいしいものを食べたり、お友達と会ったり、一生懸命に楽しんでください。
2010/12/06 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: No title

ムーさん、こんにちは。お元気でしたか?
そうですかやはり最初からわかっていましたか。(ガックリ)

文章が柔らかくなったというのはわかるような気がします。
以前の記事を最近のブログに載せるときに大幅に書き直しをしなくてはならない自分がいるから。
何が変わったのだろうとじっくりと考えたいです。
どうもありがとう。
2010/12/06 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

Septemberさんの写真に釘付けになり、
文章に心惹かれた2年前の12月。
ブログでなかったら出会うことも
お話することもなかったであろうSeptemberさんと
こうして2年近くもどこかで繋がっていると思うと
嬉しいです。

2010/12/06 [nono_ra] URL #- 

*

自分の考えていない環境に興味を持つには、誰か媒体が必要になりますが、ワタシがアメリカに興味を持つとしたら、その媒体はSeptemberさん。
他の人が媒介して伝えたアメリカには興味がでなくても、アメリカの美しい風景や名所なんて写ってない、ただ生きてきた軌跡を読むだけでなんとなく行ってみたくなりました。
それは全くの他人なのに、なにか同じ「匂い」を感じたから。それが日本人であることも一つの理由だし、日本人であることを再確認している、という行為に共感をもてたからかもしれません。
2010/12/06 [上海狂人] URL #wuZV7DPc [編集] 

*

> 単純に日本語をもう一度書いてみたい
↑長いこと海外にいたワケではありませんが分かるような気がします。
September30さんのブログはお写真がカッコイイだけでなく
読みモノとしても興味深いですね。
外で一人で呑んだりする時があるのですが、バーで呑む時に
よくこちらにおジャマしています。
2010/12/06 [foto_cychedelicoURL #fZQeSxjk [編集] 

* Re: No title

Nonoさん、とてもすてきなコメントをありがとう。
これからも長いおつきあいをお願いしたいです。
2010/12/07 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: No title

上海狂人さんの深い洞察にはいつも考えされらます。
今までも私の心の底にあって自覚していなかったことを、上海狂人さんは何度も暴いてくれましたね。
カメラとか写真という共通点がたとえなくとも、どこかでつながることのできる人というのは貴重だし稀です。
どうか捨てないで~ (笑)

いつか酒を飲みながら心ゆくまで話せることがあると信じていますよ。
2010/12/07 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: No title

foto_cychedelico さんもけっこう長くヨーロッパで過ごされたんですが、そのころのブログと日本に帰られてからのそれとはまるで裏と表のように違うと思ったのは私だけでしょうか。
ヨーロッパでの研ぎ澄まされてピリピリとした感覚と、日本でのリラックスしてほっとした写真と。
そのどちらも私にとっては魅力です。

酒の肴に私のブログを見てもらえるなんて最高の賛辞です。
ありがとう。
2010/12/07 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

インターネットに感謝しています。
こうやってSeptember30さんやその愛読者の方々と知り合うこともできましたし、私も日本語なんてほとんど書くこともなかったのに、少しずつ、書けるようになってきましたから。(まだまだSeptember30さんの文章力にはほど遠く、恥ずかしいことに、ただの日記を綴っておりますが...)

今日も日本人の友人とランチをした時に、彼女が言っていた言葉、『みんな日本に帰って行っちゃうのよね。』。

September30さんが、『死に場所をさがしている』と仰いましたが、その気持ち、よくわかります。
2010/12/07 [けろっぴURL #ok7oinrE [編集] 

* Re: No title

けろっぴさん、こんにちは。
長いあいだあんなに日本人の嫌なところばかりしか見えなかった私が、こうやって日本に回帰することができたのはインターネットのおかげでしょう。
日本から出たことのない人たちにはたぶん理解してもらうのは難しいだろう私の気持ちを、こうやってけろっぴさんとシェアできてとても嬉しいです。
でも私の住むアメリカの田舎に比べると、けろっぴさんがお住まいのニューヨークのほうがずっと日本に近いのではという気がするのですが、どうでしょう?
2010/12/08 [September30URL #MAyMKToE [編集] 

*

September30さん、私も、September30さんの文章が、この国に長く住む日本人の気持ちを代弁してくださっていることが多く、なぜかここに来るとほっとします。私のほうこそ、September30さんと出会えてよかったとかんしゃしているのです。

ニューヨークのほうがオハイオより日本に近いでしょうか...? 確かに、日本食などは手に入りやすいかもしれませんが、他はどうなのでしょう?
 
それよりも、私は自分が混沌とした大都会にしか生きることができないのでは、と思っています。なぜならば、ニューヨークは、世界中の人が集まってきていますので、自分もそこに所属していると感じることができるからです。アメリカの田舎に行くと、すごく浮いてしまうし、孤独を感じるのです。September30さんの場合は、ご家族がネイティブのアメリカ人なので、そういうことはあまりないのでしょうけれど...。よろしかったら、リタイアメント後、ニューヨークの郊外にでも引っ越していらっしゃいませんか? 田舎と都会の中間で、なかなかよさそうですよ(笑)。
2010/12/09 [けろっぴURL #ok7oinrE [編集] 

* Re: No title

けろっぴさん、若い人たちなら大都会の華やかな夜の生活が無い田舎を嫌うでしょうが、我が家ではボストンで生まれた子供たちがここの田舎で高校まで育ったのはとても良かった思っています。
ところがその子供たちも成人してしまった今、今度は逆に私のほうが都会の生活に憧れています。

シカゴなら車で5時間で、ときどきは行っています。
でもニューヨークの郊外・・・ 
いいですねえ。
2010/12/10 [September30URL #MAyMKToE [編集] 

*

我家は、外国人としては、田舎ではなかなか見つけることのできない職種のせいもあり、ずっとマンハッタンで暮らしてきましたが、子育てには、大都会よりも、田舎のほうが断然いいと思います。

マンハッタンまで1時間以内の郊外、どうでしょう?
日本は日本で食べ物がおいしくっていいですけれどね。
わ~!迷ってしまいますね v-266 
2010/12/10 [けろっぴURL #ok7oinrE [編集] 

* Re: No title

けろっぴさん、
ニューヨークでは食べ物だけではなくて日本のものはたいがい手に入るのでしょうね。
いつまでけろっぴさんの誘惑に耐えることができるか? (笑)
2010/12/11 [September30URL #MAyMKToE [編集] 

* 無題

Septemberさんの
ブログを始めた経緯や
それに対する気持ちを知ることができて
なんだか嬉しい気持ちになりました。

私は家の中では旦那といつも日本語を話しています。
Septemberさんのように
日本語力に自信をなくす感覚になることは
幸か不幸か私には訪れそうもありません。
(でも私のシェフの日本人男性は
  40年近いフランス生活で
    日本語が退化してしまっているように感じます)

Septemberさんの文章力と繊細な感覚には
いつも圧倒されています。
これからも楽しみにしています☆
2010/12/11 [tony☆URL #mQop/nM. [編集] 

*

そうですよ。
日本のものは、たいがい手に入りますよ。
ぜひ、老後の選択肢に入れておいてくださいませね。

もうひとつ付け加えると、今までロングアイランドなどに住んでいたイグゼクティブの方たちは、子育ても終わり、退職後、色々便利なのでマンハッタンに夫婦ふたりで住み、週末は車で二時間以内の別荘に行き、冬になるとフロリダのおうちで過ごす、というのが多いようです。実際私の住むビルでもそういう方たち多いです。
私には、夢のまた夢ですが、September30さん、いかがですか? 
ふだんNYに住み、週末はオハイオ、そして寒い季節は日本とか...?
2010/12/12 [けろっぴURL #ok7oinrE [編集] 

* Re: 無題

Tonyさん、幸か不幸かと書かれていますが、日本語を話すことが不幸ということは考えられません。
私もそうですが、日本語が下手になったからといって、それだけ英語ができるわけではありませんから。
日本語が退化するほど長くフランスに住んでいるシェフのかたは、きっと仏語がネイティブ並みに話せるのでしょうね。もしそうでなければ自分を100%表現できる言語を持たないわけですから、悲しいことですね。

2010/12/12 [September30URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: No title

けろっぴさん、もっと良いアイデアがありますよ。
もし私たちがニューヨークの郊外に家を構えたら、週末にけろっぴさんのマンハッタンのお宅と我が家を交換すれば?
冬にはいつでも行ける友人宅がサウスキャロライナにあるし・・・
2010/12/12 [September30URL #- 

*

それはグッド・アイデアですね!!
September30さん、遊びまくりそうですねぇ。
楽しい老後になりそうです。
2010/12/13 [けろっぴURL #ok7oinrE [編集] 

* Re: No title

けろっぴさん、
夢を見ましょう!
2010/12/13 [September30URL #MAyMKToE [編集] 

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