過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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冷たい冬の夜のこと

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冬の旅
Oakwood, Ohio USA



寒い日が続いている。
今この記事を書いているのが夜の八時半だけど温度は13度(華氏)である。 摂氏に換算してみたら零下10.5度という数字が出てきた。 夕食のあとでテレビのオバマ氏の演説を聴いていたらいつものように眠くなって20分ほどぐっすりと眠ってしまった。 目が覚めてまだぼんやりとしたままの頭で2匹の犬たちを裏庭に出してやる。 ほんの3分ほど外に立っているだけなのに、まるでエスプレッソを3杯飲んだあとのようにたちまち頭がシャッキリとして眠気が吹っ飛んでしまう。 コートを着ない僕の身体に鋭い冷気が水をかぶせるように襲いかかってきた。 いつもならうろうろと庭中を歩き回る犬たちも、今夜はさっさと用を済ませると戸口まで走り帰ってくる。
こんな夜は焼酎のお湯割を飲みながら暖かい音楽を聴くことにしよう。

トーマス・クァストフ (Thomas Quasthoff)
現代のドイツを代表する声楽家。 妊娠中にドラッグを使用した母から、奇形の子供として生まれる。 身長は122センチに足らず、手も足も短い。 正常な人の肘のあたりに手がある。 そのためピアノを弾くことができずドイツの音楽学校への入学を拒否された。

数々の賞を受けた現在にいたるまでに、どのような過酷な半生があったのかわれわれには想像することもできないが、ステージでの彼の顔にはそんな暗さがまったくない。 実を言うと僕は彼の笑顔が彼の歌と同じくらいに好きなのだ。
最近はジャズの領域にも積極的に入り込んできて、古いクラシックの世界から大いにはみ出している。 小さな身体をした大きな器なのである。




しかし、僕が何といっても好きなのは彼のシューベルトである。
「冬の旅」 のなかの Gute Nacht (おやすみなさい)は、あの伝説的なフィッシゃー・デスカウの 「おやすみなさい」 よりも僕は好きだ。 テンポがずっと緩やかなのも気に入っているし、クァストフのバリトンにはフィッシャ・デスカウの声にはない優しさと円(まる)みがある。



おやすみなさい



それでは、
おやすみなさい・・・




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コメント:

* 厳寒で聞くクァストフ

September 30様、初めてコメントします。東京在住者です。夏のフランス旅行準備中、調べものの途中でこちらのサイトにめぐり会い、以来、写真と文章に魅かれて時々お邪魔しています。クァストフ、3年前にベルリンで聞きました。大晦日のベルリンフィルとの共演で、フォスター、シューベルトなどを堪能しました。出生のこと、ジャズも歌っていること、初めて知りました。ジャズ愛好者はドイツにも多く、ベルリンフィルもなかなかの演奏をすると聞いたことを思い出しました。零下10度のオハイオ・・・、私もアイオワの冬を思い出しました。25年以上も前のことですが。暖かくしてお過ごしください。またお邪魔します。
2010/12/10 [kohada] URL #ttXSBCx. [編集] 

*

こんにちは。

私も夜はJazzを聴くのが好きです。
体が不自由であろうとも持っている才能を発揮出来る事は幸せな事だと思います。

そちらもとっても寒いのですね。
北海道はこの冬、まだマイナス10℃はありません。


この間のサイモン&ガーファンクルの曲ですが
『The Boxer』だったと思います。

2010/12/10 [キキURL #- 

* Re: 厳寒で聞くクァストフ

Kohadaさん、初めまして。
厳寒のベルリンで大晦日に聴くクァストフとベルリンフィル。
思ってみただけでその雰囲気が伝わってきます。
寒いのが苦手な私ですが「冬の旅」はなぜか惹かれます。冬のヴェネツィアに行ってみたいというのが現在の私の旅行予定のトップにあるのですよ。

これからもよろしくお願いします。
2010/12/11 [September30URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: No title

キキさんは北海道なんですね。
日本にいたころ音楽関係の仕事で日本中を回っていながら、
不思議と北海道だけには行ったことがないのですよ。

「The Boxer] はいい曲ですね。
彼らの歌はみなそうですが、歌詞が傑出していますね。この歌もそう。
メロディーを聴かないで歌詞だけを見て楽しめるシンガーってそんなにいないです。
2010/12/11 [September30URL #MAyMKToE [編集] 

*

「一人で過ごす晩」を待って、ようやく聴く事ができました。

奇形・障害を理由に中絶されてしまう命、
「よい遺伝子」を求めて高騰する卵子・精子バンクの値段、
「劣悪な環境では生まれてこない方がいい」という世論・・・
そういうものを支持する人達に、是非聴いて欲しい歌ですね。

ひとつの貴い命の存在を教えて下さって、有難うございます。
2010/12/14 [どくとるくまURL #m.2.LkcQ [編集] 

* Re: No title

くまさん、こんにちは。
身体のぐあいはいかがですか?
「胎教」を信じますか?
良い音楽をたくさん聴いてくださいね。
2010/12/14 [September30URL #MAyMKToE [編集] 

*

有難うございます。お陰様でまずまず落ち着きました。

「胎教」については、定義次第だと私は思います。

外界や母体の様子はかなり影響を与えると思いますが、
それを「教」と呼ぶのには、私は抵抗があります。
母親が好きな音楽を聴いて楽しんでいたら、
きっと胎児も一緒に聴いて寛ぐだろうなあ、という感じです。

例えばクラシック音楽を全く好まない母親が、
妊娠した途端にお腹だけにモーツァルトを聞かせる・・・
などというのは、ナンセンスだと昔から思っています。

September30さんは、どう思われますか。
2010/12/15 [どくとるくまURL #m.2.LkcQ [編集] 

* Re: No title

くまさん、少し落ち着かれたようで安心しました。
「胎教」は科学的な説明がつくのかどうかは私には分かりませんが、母親がリラックスすることは胎児に悪いわけはないので、そういう意味でなら効果はあるのでしょうね。
我が家の犬たちも(赤ちゃんと比較して失礼) クラシック音楽をかけているときは、明らかに気分が穏やかになっているのがよくわかります。
胎教専用の音楽ディスクを聞いたことがあります。一種のムード・ミュージックですが、胎児に好影響を与える音だけを使っていると広告文には書いてあるのですが・・・
なんでもビジネスになってしまうのですね。
2010/12/16 [September30URL #- 

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2011/01/28 []  # 

* Re: No title

鍵コメさん、
彼の障害が妊娠中のお母さんがあまりに酷いつわりのために服用したサリドマイドが原因だとは私も理解していました。私がドラッグと書いたのは文字通り『薬』という意味で、ヘロインとかの麻薬を意味したのではありません。
たしかに読み直してみますと、彼のお母さんがどうしようもない。ジャンキーであったかのようにとれるかもしれない、と反省しています。
アメリカでは ”Are you taking any drug?” と必ず医師に訊かれますが、その意味は高血圧とかアレルギーとかの何かの薬を常用しているか、ということで麻薬を常用しているかという意味ではないのです。
ちなみにアメリカでは薬局はヨーロッパのように ”Pharmacy”ではなくて ”Drug Store”と一般に呼ばれています。
ご指摘をありがとうござます。
これからは気をつけます。
2011/01/28 [September30URL #MAyMKToE [編集] 

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