過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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モノクロの世界へ

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陰影礼賛


久しぶりにモノクロの世界へ入ってみると、どういうわけかほっとする。
それはまるで、自分のまわりの色彩に満ちた現実世界が実はマヤカシの世界に過ぎず、それはいつか必ず滅びるだろう頼りなくてあやふやな存在であるのにくらべて、白と黒とグレーのモノクロの世界には100年前も100年先も変わらずにそこに存在する 「確かなもの」 ―― 恒久といってもいいような世界があった。

ふだん見慣れたリビングルームのフロアスタンドも、モノクロのフィルターを通して見ると、裏に隠されて今まで気づくことのなかった新鮮な美しさを表してくれる。





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二つのカップ


毎日1度は必ず飲むエスプレッソ。 それ用のデミカップを普通のコーヒーカップにうっかり入れたらそのまま取れなくなってしまった。 湯で温めたり冷蔵庫に入れて冷やしたり、いろいろやってみたけどどうしても出てこない。 これは破壊するよりほかに方法はないのだろうか? もしそうするとすればどちらのカップを助けるか? これは難しい問題だ。
それも忍びなく、といって捨てるのもなんとなく気が進ます、仕方なしにそのまま放ってある。 さいわいデミカップは違う形と色のものをほかに数個持っているから、エスプレッソが飲めなくなったわけではないんだけれど、この角を落とした正方形のやつを1番気に入っていたのに…





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本棚


本というものはその数が増えることはあっても減ることはない。 日常手に取ることはまずないのに、家の中のかなりの場所を占めているのは理屈に合わないと思いながらそのままになっている。 何度か処分しようと試みたが、そのたびにこれは取って置きたい、これはいつかまた読むだろう、この本には思い出がある、と結局また本棚のもとに場所へ収まってしまう。 古い本ほど特にそうだ。 





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楽譜


先日地下室で、長いあいだ開けられることもなく積まれていた段ボールの箱を開けてみたら、むかしボストンで音楽学生をやっていた頃の教材やピアノ楽譜やノートブックなどがごっそりと出てきた。 その中には自分の作曲編曲した譜面がかなり混じっている。 そのページをめくりながら僕は、昔の恋人に40年後に出会ってしまった時のような懐かしさと切なさを感じていた。
この写真の鉛筆書きのスコアは "Why am I treated so bad?" (俺ってなんでこんなひどい目にあわされるんだ?) のタイトルでジャズオーケストラ用に書いたもので、教師だったフィル・ウィルソンのバンドで最初に演奏された時のあの興奮をはっきりと思い出していた。 僕の耳に、重厚なハーモニーをバックにソロを取るフィルのトロンボーンが聞こえている。


モノクロの世界への旅は一種の現実逃避なのかもしれない。 酒やドラッグがそうであるように…









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コメント:

*

モノクロは「酒やドラッグ」
言い得て妙です^_^
2016/03/11 [lightseekerURL #zVpgn9mk [編集] 

* 壊す前に

何が起きていて、外れない状態が続いているのか、判らないのに
取る方法が判る訳が無い、等と思う理系的思考の一方で
お湯に逆さに浸して沸騰させたら何となく取れそう、等と訳も無く
ひらめいたので一筆啓上。
2016/03/11 [H.NISHIDA] URL #- 

* Re: タイトルなし

lightseeker さん、

その上、いったん始まると知らないうちに中毒になってしまうところまで似ている。(笑)
2016/03/11 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: 壊す前に

H.NISHIDA さん、

すでにあれこれ試したあと今回の助言をもらい
ほかならぬ科学者の西田の助言なら聞かずばなるまい、と半信半疑でやってみたら…

取れた!!!

といっても簡単にすんなり出てきたというわけじゃない。
沸騰したお湯から取り出したあと中のデミカップがほんの少しだけ動いて
カタカタ音をたてるのに気づいた。
そのあとはちょうど知恵の輪に挑戦するように時間をかけて(時間は有り余るほどあるからね)
ゆっくりといじっていたら、ある時点でスポンと抜けたんだ。

取れた取れた!
やはり横浜国大工学部はすごい。
2016/03/11 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

ひゃー、モノクロについて書こうと思ってたら、
西田氏の助言で取れた!でぶっ飛んじゃいました(笑)
すごいですーーー。尊敬します。
数字だけじゃなくて実生活もお強いんですね!
一家に一人科学者を!ですね。

さて、気を取り直して、
今月のクイズ回答者が少ないでしょ?
もししたら当たるかもー。
取らぬ狸の私はどの写真を貰おうか先走って虎視眈々(笑)
で、ずーーっと写真だけを見ていったんです。
すると欲しいのは全部モノクロ。
これはどうしたわけだろう。
酒にもドラッグにも縁が無い私なのに。

どなたか心理学者さんいませんかーーー(笑)



2016/03/11 [ムー] URL #qiVfkayw [編集] 

* Re: タイトルなし

ムーさん、

西田のお陰で今朝はお気に入りのデミカップが戻って来た。
こんな些細なことなのにそれだけで今日一日が明るくなるなんて
自分でも驚いてる。
そろそろ焼きがまわったんだなあ。

ムーさんがモノクロ写真を好きと知ってちょっとびっくり。
なぜびっくりなのかと首をかしげる。
たぶん
薔薇の栽培とか花や植物に対する深い知識とか、限りない食通であるとか、陶器趣味だとか
そんなイメージがいつのまにか頭に染みついちゃったんだと思う。(僕には縁のないものばかり)
第一、洒落た料理のモノクロ写真なんていかにも不味そうじゃない? (笑)
そんな 「色」 の世界に住むムーさんだから、かえってモノクロに惹かれるんだ。
やっぱりこれは現実逃避。


あ、ところでちょっと遅れたけど
Happy Birthday!

2016/03/11 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

ぐふふ。
お祝いの言葉を戴いてしまった。
覚えていて下さったことが嬉しい。

焼きがまわったなんてことはありません(断定)
小さな棘が抜けた日は誰だって晴れ晴れするものです。

そうね、現実逃避、そうかも。
限りない食通っていうのは違うけど、
色に疲れることはあるかもしれない。
色は色でも色違いだけど(笑)

思えば洋服は白黒の組み合わせばかりだし、
本ばかり読んでるのもきっと現実逃避。
本はいい。あっという間に違う人生に飛べるもの。

そうそう、楽譜の前の美人はどなた?
なんか気になるぞ。




2016/03/12 [ムー] URL #qiVfkayw [編集] 

* Re: タイトルなし

ムーさん、

本はいい。
最近改めてまたそう思うようになったのは
映画を見るたびにイメージや音楽や登場人物を勝手にこちらに押し付けてくるのに
飽き飽きしたからね。

その点本は僕のように妄想力が豊かな人間にとって
頭のなかに自由にイメージを組み立てられるから実に楽しい。
同時に音楽も聞こえているし人物の顔も見えてるし(たいてい誰か知ってる人に似てるけど)
もしそれをそのまま映画に移行したら、もう何度もアカデミー賞を取ってるよ。


ピアノの上の写真はマヤの古い写真です。
たしか高校を卒業したころかな。
あの子は今も結婚もせず、いつのまにか大年増になっちゃった。(ため息)
2016/03/12 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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