過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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寒くない日は街を歩こう (最終回)

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コーヒーショップ
Ohio Coffee Company


街を歩き廻っていてコーヒーが飲みたくなる。
ここのダウンタウンには酒の飲めるところは無数にあるが、コーヒーショップはうちから歩いて行ける距離には2軒あるだけで、そのどちらもフレンチプレスのちゃんとした旨いコーヒーを飲ませる。
今日足を止めたのはそのうちの1軒で、僕の行く銀行の1階のロビーに入っていた。 ここではサンドイッチやキッシュやサラダなどの軽食も出しているので、ランチ時間には周りのオフィスの社員たちでけっこう混むのが、午後の遅い時間になるといつ行ってもほとんど人が居ない。 ひっそりとしている。 自分だけのこの静かな空間は、本を読んだりラップトップを開いて店のワイファイでブログの編集などをするには最適の場所となる。 以前は同じことを、引っ越す前の家のすぐ近くのスターバックスでやろうとしたが、あそこは人の出入りが多くガヤガヤと音もうるさく、まったく落ち着かないのでそのうちに行くのを止めてしまった。

今日ここに来てみると店の表にアンティークの自転車が2台置かれてある。
誰かが乗ってきたのじゃなくてこれは店内のデコレーションだろう。 訊いてみるとやはりそうで、店のオーナーの髭面のおじさんが、よくぞ訊いてくれましたとばかり説明してくれる。



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見ての通り赤い方が紳士用、青い方が婦人用というわけだが、両車とも製造されたのが1800年代の終り頃だという。 ピカピカに磨かれて完璧に手入れがされていて、タイヤに空気さえ入れればちゃんと乗り回せるそうだ。
このミスター髭面のように自転車のコレクションをやる人はこのデイトンの町にはけっこういる。 それというのは、この町で生まれたあのライト兄弟は最初は自転車屋をやっていたからだ。 この兄弟がそのうち自転車の製造では飽きたらなくなって、空を飛べる機械に手を出したのが、世界の航空史の始まりとなったからである。 この町の住民は飛行機の歴史はデイトンから始まったと胸を張って世界に誇ってきた。 それと同時に自転車に対しても並々ならぬ親しみを感じているのに違いなかった。
そのライト兄弟の自転車屋はこのコーヒーショップからは歩いてもそう遠くない所にあった。 建物はもう無くなってしまったけれどその跡にはちゃんと石碑が建っている。 そして自転車屋そのものはそっくりそのまま町外れ(といっても車でほんの10分ほどの所)のカリロン博物館へ移された。





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コメント:

*

この美しいアンティークの自転車は何で出来ているんですか?
と思ったのは佐野末四郎さんて人が木製自転車を造っていて、
マホガニーのカーブが見事な自転車なのです。
佐野さんは元々は船大工さんだそうです。

私は自転車に乗れないので、
風を切って走ってみたいなーと時々思います。
(真っ直ぐなら走れるけどいちいち降りないと角をまがれません)

2017/02/14 [ムー] URL #qiVfkayw [編集] 

* Re: タイトルなし

ムーさん

これらの自転車はメタル製。
木製自転車というのはアメリカの自転車歴史には無いようだよ。
以前どこかの美術館で自転車の車体からタイヤからスポークまで全部木製のやつを見たことがあるけど
あれは木工彫刻としての作品で実際に乗り回すものではなかった。
自転車の持つ美しい曲線は機能美ということもあって
アーチストが興味を持つのは当然だろうね。
佐野末四郎さんの木製自転車はちゃんと乗れるんだということをネットで検索して知る。
(いつものように雑学的知識の供給源としてのムーさんに感謝)

佐野さんは代々続いた船大工の末裔で記事を読んでいるうちに
何故か大昔に読んで感激したあの幸田露伴の 『五重塔』 を思い出していた。
江戸時代ののっそり十兵衛から平成の佐野末四郎まで
日本人の職人気質というのは縷々として続いているようだ。
つくづく思う。
日本人は素晴らしい人種だと。

自転車に乗れても真っすぐにしか走れないムーさん
可愛い!








2017/02/14 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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