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過ぎたこと、過ぎて行くこと  by September30

アメリカに長く暮らしながら日本やヨーロッパを周る著者が、写真と文章と音楽で綴る随筆のようなもの

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September30

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(続々々) 煙草を嫌いになる薬

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捨てられない記憶 1991
Tejo Remy (1960 -)
The Carnegie Museum of Art, Pittsburgh USA



第6週目
煙草に手を触れる回数が(ほとんど)ゼロになった。
時々吸ってしまうのは 「それがそこにあるからだ」。
あと数本残っているこの箱が空になったらもう煙草を買うことはないだろうという自信のようなものがある。 机に向かって根を詰めて何かをやっていても、以前みたいに煙草が欲しいという周期的な欲望がまったくなくなっている。 ただ、何となく口が寂しいという気持ちがあって、その度に何かを口に入れている。 今日など2房の大量の葡萄を1日でぜんぶ食べてしまった。 体重が1kg 増えた。

第7週目
ある朝眼が覚めて、どうしようもないほど気分が落ち込んでいるのに気がつく。 考えてみてもとくにそうなるような理由は実生活では何もないから、これは薬の副作用に違いなかった。 そのことはちゃんと薬の説明書にも書いてあったが、この数週間はそんな鬱の状態にならなかったのでこれはラッキーだと思っていたのに。 まるで少しずつ溜まっていた鬱が一度に吹き出したように、頭がぼんやりと重く、考えることはすべて否定的なことばかりだ。

これにはちょっとまいった。
何をしても集中ができず、すぐに他のことがしたくなる。 本を読んでも文章が頭の中を素通りして何の意味もあとに残さないし、テレビで映画を見ても眼は画面を追っているのに頭では他の事を考えている。 ただし煙草が吸いたいという欲望はまったく起きない。
酒を飲んでみたけどそれで気分が紛れるということはなく、第一酒を飲みたいという欲望自体があまりないのだ。 それにあれほど旺盛だった食欲が少し落ちたようだ。 少し身体を動かす必要があるな、と戸外を長く歩いたり自転車に乗ってみたがこれもだめだった。 頭の中の黒雲をどうしても追い払うことができない。 もっと激しい運動が必要なのだと気がつく。 僕にとって激しい運動といえばテニスだからこれを試してみたら、これはうまくいった。 2時間が3時間のあいだ何も考えずにボールに集中することができた。 現在の週に3度のテニスを時間の許す限り増やすことにする。 インドアのテニスコートは家から歩いて行ける距離だからこれは都合が良かった。

第8週目
あいかわらず鬱の状態が続いている。
ひょっとしたらこれは薬の副作用というよりは、煙草を断ったあとに当然やって来る禁断症状というか離脱症状というか、どんな方法で煙草を止めたとしても必ず経験しなければならないものじゃないかと気がついた。
考えてみれば、過去50年以上も1日も欠かさず(そう文字通り1日も欠かさず)体内に取り続けてきたニコチンをいきなり止めたわけだから、身体も脳もビックリ仰天したにちがいない。 しかもチャンティックスなどという直接脳に働きかける薬物をこの2ヶ月飲み続けて来たから、この異変に身体をどう対処させていいのかわからず、あれこれ試行錯誤を繰り返しながら状況を好転させようと努力中なのだろう。 人間の体はどんな異変に対してもちゃんと対処して自然とそれを癒やす方向へ働く、ということを僕はふだんから信じているのである。



さてこの2ヶ月間、毎日朝晩に飲み続けてきた薬も今日で最後になった。
このあと続けて服用するかどうかは本人しだいということで、いろいろ考えてみる。
完全に煙草を断ってしまってから3週間になる。 吸いたいという欲望は今は完全に消えている。 以前なら煙草を一番美味しいと思っていた食後の1本でさえも、今は吸いたいと思うどころか煙草の事すらもう頭に浮かんでこない。 ここでいきなり薬を止めてしまえばせっかく慣れてきた脳がまた仰天してしまうかもしれない。 あるいは、止めることで鬱の状態から抜け出せることも考えられる。
このまま数日のあいだ薬を飲まないとどうなるかを見てから、今後の服用を決めることにしよう。
どちらにしても、僕は煙草を完全に断つことに成功したのである。
少なくとも現在は、という但し書きがつくけど…
今日あたり気分はどう? と訊かれれば、このオランダ人レミーの前衛彫刻みたいに不安定だよ、と答えるしか無い。

(終り)



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コメント:

*

お久しぶりでございます。
いつも、ブログをチェックしてます。でも、すごく忙しい。
今日は、感謝祭。September30様の美しい家族に乾杯。

あの写真、好評です。ありがとうございます

2017/11/24 [キャットラヴァー] URL #mQop/nM. [編集] 

*

おめでとう!って言いたかったけど、
そうも言えない微妙さですね。
服用して二か月過ぎたら後は自分の判断で決めるってとこが何とも困る。

①薬やめる→タバコをまた吸う→鬱じゃなくなる。
(つまり以前に戻るだけ)
②薬続行してタバコは吸わないけど鬱が続く。
(これじゃーねーーー・・・)

お医者様は何ておっしゃってるんでしょうか?



2017/11/25 [ムー] URL #qiVfkayw [編集] 

* Re: タイトルなし

キャットラヴァーさん

お久しぶり。
こちらも感謝祭だけど、前みたいに全家族が集まるよりそれぞれが別々に祭日を過ごすようになったのは
母親がなくなってからはこの家族にもやはり変化が起こってきているみたい。
僕が行ったパーティもせいぜい7,8人のこじんまりとした集まりでした。
(その方が僕は好き)

といいながらつい先日の姪の結婚式にはほぼ全員が揃ったから
結婚式だけは以前と変わらないようです。

クイズ賞品の写真が皆さんに好かれてるのは嬉しい。
2017/11/25 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

* Re: タイトルなし

ムーさん

いや、やっぱりおめでとうと言って欲しい。
気分が少し落ち込むとはいえ煙草を断ったことで喉の調子が良くて声がうんと出やすくなってるし
内臓の調子も上々で、健康になったなあという自覚のようなものがあるんだよね。
テニスをやっても前よりエネルギーを内に感じる。

この鬱は一時的な禁断反応で放っておけば自然と治ると信じてる。
医者に言えばまたそのための薬を飲まされるのが嫌で相談してない。
酷い状態はもう脱出したからだいじょうぶ。
2017/11/25 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*

おめでとうございます。

私、ニコチンと決別して、いいことばかりです。

食べ物が美味しいですよ。
朝、口の中がニコチン臭くないし。

鬱が早く過ぎますように。

弊害は、人のタバコの臭いに、耐えられなくなったこと。

2017/11/26 [たま みん] URL #6moyDOY6 [編集] 

* Re: タイトルなし

たま みんさん

ありがとう。
ムーさんへの返信にも書いたように健康体になったなあ、という自覚のようなものがあるんだ。
50年以上奴隷になっていたニコチンの呪縛からようやく解き放されて自由になったという喜び。
あとはこのところうっすらとかかっているこの鬱が消えれば
september30 は新しい男として生まれ変わる。(笑)
2017/11/26 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

*


匂い全般に対して敏感になり過ぎかもしれません。
シャワー浴びないで1日過ごせないし。
タバコを吸っている人と居ると洋服とか髪に匂いが移るのがはっきりわかる。
これはいいことなのか悪いことなのか?

いいこと、
1日の時間がタバコ吸ってた回数分長くなって、すごく得した気分!

鬱的気分は私もぼんやりとウェーブみたいなものがあって、いつも緩いカーブで動いているような。

そういうのとは違うのでしょうか。

2017/11/27 [たま みん] URL #6moyDOY6 [編集] 

* Re: タイトルなし

たま みんさん

嗅覚が鋭敏になったのは確かだね。
でも敏感になったと言えば味覚も聴覚も触覚も
感覚すべてがピリピリしてるみたい。

禁断症状は鬱的気分だけじゃないようだ。
すごーく怠惰になって何もしたくなくなる。
そういう時は僕には解決方法が2つしか無い。
テニスをするか、料理をするか。
2017/11/27 [September30] URL #MAyMKToE [編集] 

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